バッターに必要なフィジカルって何だろう?

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目次

バッターに必要なフィジカルって何だろう?

「物質としての身体」とバッティング

「体重」とバッティング

特に最近はメジャーリーグで、速球系への対応の必要から中間型打法が主流になりつつある(↓の本で解説しています)こともあり、

「体重移動によって身体の回転を起こす」メカニズムが見直されつつあります。

さて、体重移動を使ってスイングするのであれば、単純に身体の質量が大きい(体重が重い)ほうが有利です。

「身体の質量」(体重)が大きければ、前足のところに置いた体重計(フォースプレート)の数値も大きくなりますよね。

 

フォースプラットフォームの数値が大きいということはつまり、地面反力=地面からもらえる力が大きいということです。

地面反力は前足経由で骨盤に作用し、身体の回転を起こす主要な動力源となります。

ma=F(回転運動の場合はdL/dt=N)という方程式の通り、地面反力(と、骨盤の重心に対するモーメントアーム)が大きいほど、骨盤の回転速度(角運動量)は大きくなります。

(体重移動のメカニズムを「Launch Positionのときに頭と足で二等辺三角形を作る」ような打ち方の中に組み入れると、理屈上は最短のスイング時間になるはずです。

これからのメジャーリーグでは、どんどん高速化していく球速に対応するため、そういう打ち方が正統派になるでしょう)

 

ただし、体重が大きいほうが良いとはいっても体重が不必要に大きすぎたり、体重が大きいはいいが脂肪ばかりで筋肉がない、ということは避けたいですよね。

筋肉は身体にとってのエンジンで、脂肪は積み荷みたいなものです。

エンジンは出力が大きい方が有利ですが、積み荷が多いと動きにくくなりますよね。

腹筋に血管が浮き出るほど筋骨隆々である必要は特にないとは思います。

でも、少なくともある程度筋肉があって「がっちり」している必要はあります。

 

あとは、個々人の身長との兼ね合いでしょうか。

バッティングに関していえば、これからは、手足を振り回しやすい(慣性モーメントが小さいので加速させやすい)豆タンク・小兵型、あるいは中背でがっちりしたタイプの選手が有利になってくるはずです。

一昔前のメジャーリーガーのように異常なほど筋骨隆々…というよりは、しなやかさと高い出力を兼ね備えたタイプが生き残っていくと思います。

(一応目安を言っておくと、日本人が硬式木製でホームランを量産したいなら、最低でも80kg、できれば85kgくらいは欲しいところです)

 

ただ三合飯やタッパ飯とプロテインを詰め込むだけではなく、

「自分が最高のバッティングパフォーマンスを発揮できる体型とはどんなものだろうか」

という目的地をまず設定し、自分で調べを付け、専門的な知識を持っている人に指南を仰ぎ、計画的に身体作りを行っていくべきです。

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「柔軟性」とバッティング

バッティングに必要な柔軟性って、何でしょうか?

 

ピッチングならともかく、バッティングに股割りは要らなさそうですね。

じゃあ、リスト(手首)の柔軟性?

確かに手首はバットのヘッドスピード獲得に大いに貢献しますけど、手首周辺の筋肉が発揮できる筋力って高が知れてますよね。

 

私が打者に必要だと考えている柔軟性とは、

「体幹の筋肉、肩甲骨周り、胸郭の柔軟性」

このあたりです。下半身はそれほど柔軟でなくても構わないと思います。

 

ここらへんが柔軟であれば、バッティングで「楽」ができます。

「楽」というのはつまり、「一部の筋肉だけに頼って速度を稼ぎ出す」のではなく、

「複数の部位をバランスよい比率で使って速度を稼ぎ出す」

ということです。

 

これは、桑田真澄さんが『心の野球』で紹介されていた「共同募金の法則」です。

一つの筋肉に100の力を出させようとすると、その筋肉に負担がかかります。パフォーマンスも上がりません。

でも、いくつかの筋肉が協力し合いながら動けば、負担は分散され、加速もスムーズにいきます。

 

バッティングでいうと、広背筋や僧帽筋中部の筋力に頼りっきりじゃいけないんです。

胸郭・肩甲骨周り・体幹の筋肉をバランスよく使えば、共同募金の法則で楽にスイングできます。

これらの筋肉を柔らかく使えると「ハーフスイングの判定が難しいバッター」「柔らかさを兼ね備えた打者」になります。

また、「体幹の筋肉、肩甲骨周り、胸郭の柔軟性」に富んでいる打者は、このツイートでいう「上側の三角形」を小さくできます。

 

引き手側の肩甲骨をスムーズに「伸展・外転(背骨から引きはがすような感じ)」できると、

あるいは体幹・胸郭を十分な余裕をもって捻ることができると、

「上側の三角形」の投手側の頂点を捕手側の頂点に近付けることができるので、

いわゆる「回転半径の小さい振り出し=真の意味でコンパクトなスイング」が可能になるんです。

逆に、上半身を筋肉ダルマみたいにしてガチガチに固めてしまうと、そういうスイングはできなくなります。

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「物質としての身体」まとめ

つまり、

・体重は重めのほうが有利、ただし①筋肉で体重を増やすこと ②身体に見合った体重であること が必要

・「体幹の筋肉、肩甲骨周り、胸郭の柔軟性」があるとより有利

ということです。

 

「出力様式」とバッティング

「上半身の瞬発力」とバッティング

振り出しの瞬間(バットが急加速する瞬間、Bat Launchとも)からインパクトまでの間の時間は、わずか「0.2秒」程度です。

 

引き手についていえば、腰と肩とのセパレーション幅が最大になった直後に引き手側の中部僧帽筋・広背筋がググッと予備伸張され、

この2つの大筋群の短縮開始(伸張反射開始)によってバットの急加速=Bat Launchが始まります(と私は考えています)。

 

そして、バッティングで大きな筋力発揮が必要なのは「振り出しの瞬間<のみ>」です。特に上半身。

上半身では、特に「振り出しの瞬間」に筋力(関節トルク。特に引き手側肩関節の外転トルク)をドカーンと発揮します。

あとは大して筋力を発揮しなくても、ボトムハンドのムチの仕組みをうまく使えば、バットが勝手に加速されます。

 

もちろん、押し手を強めに使う打ち方(メジャー打法・中間型打法)の場合は、その後で押し手側上半身の強力な出力が起きます。

具体的に言えば、振り出しの瞬間には、押し手側肩関節は「内転・伸展トルク=肩甲骨を寄せながら腕を後ろに引く力」を出して(ここまでは押し手の比率が低い日本打法でも共通です)、メジャー打法・中間型打法の場合はインパクトにかけて押し手側肩関節で「内旋・屈曲トルク=バットを起こしながら投手側に押し出していく力」を強く発揮します。おそらくここに肘関節の大きな伸展トルクも加わるでしょう。日本打法の場合は内旋トルクがメインで、屈曲トルクはさほど発揮されていないと考えられます。

 

…いずれにせよ、「振り出しからインパクトまでは0.2秒」なのです。

そうなると、普段のトレーニングメニューがその「0.2秒」のためのものになっているか? というのも大切になってきます。

 

0.2秒という時間の短さに対応するには、筋肉量・最大筋力よりも「力の立ち上げ効率=RFD」です。

単位時間当たりに、どれだけマックスに近い出力を立ち上げることができるか? がRFDです。

 

 

極端な話、

ベンチプレスの1RMが150kgと100kgの人がいるとして、

150kgの人がRFDをまったく無視したトレーニングをしていて、100kgの人がRFDを普段から意識して鍛えていれば、

バッティングの時には100kgの人のほうが打球を飛ばせる

ということが起きるかもしれないわけです。

 

最近はバーベルシャフトに取り付けてRFDを測定する器具なども徐々に広まりつつありますが、

たいていのアマチュア野球選手は未だに「重たいものをゆっくり挙げるトレーニングだけ」をやっているというのが現状ではないでしょうか。

 

力-速度曲線という有名なカーブがありますが、いわゆる「高重量にこだわりすぎるウェイト」ばかりやっていると、どんどんグラフの右側(=力は大きいが速度は小さい)に寄ってきます。

野球部の性なのかどうか、「マックス〇〇キロ挙げる」というのは一つのステータスのようになっている感もありますが、実際は野球は「力のスポーツ」というよりは、「いかに短い時間にデカいパワーを出せるか」のスポーツです。

(Training Scienceより)

 

挙上速度はどれくらいなのか? ストップアンドゴー方式でも力を出せるか? 神経系に「一気にマックスまで持って行く」ことを覚えさせているか? その「一気にマックスを出し切る」クセや感覚をバッティングでも活かせているか?

「上半身の力を0.2秒で使い果たす」「ゆっくり力を出している暇はない」というバッティングの特性を考えたトレーニングメニューを組むのと、組まないのとでは長期的にどえらい差が付きます。

「下半身の出力」とバッティング

上半身は「振り出しの瞬間にほとんどの筋出力が終わる」と書きました。

予備伸張が使えるとはいえ、時間にすれば0.2秒程度。

 

では、下半身はどうなのでしょうか。

「下半身は上半身よりも力を発揮する時間が長い」これは直感的にわかると思います。

 

下半身もやっぱり「パワー」です。

ただし、下半身の役割は、「重たい重たい体幹部と上半身を載せて回る」というものなので、上半身と比べると圧倒的に「大きな力」が必要です。

大きな力を、できるだけ瞬発的に出す…つまり、

「踏み込むときに最下点まで沈み込んで、そこから一気にドカーン!と身体を跳ね上げるように力を発揮する」

感じです。

 

「最下点まで沈み込んで」は、要するに伸張反射をフルに使いきるための準備です。

いったんグッと沈み込むことによって、下半身の強力な筋肉たちを引き伸ばすんです。

そこから一気にドカーン!と切り返します。

 

「前足を締めてカベを作る打ち方」では大して打球は飛びませんが、

この「最下点からの切り返しで打球を飛ばす」テクニックを使うと、

下半身で強大なエネルギーが合成されますので、面白いように打球が飛んでいきます。

 

なお、下半身が本格的に力を出す時間帯は「踏み込み足のかかとが接地してからインパクトまで」なので、時間にすれば0.3秒前後です。

上半身よりも長いとはいえ、やはり瞬発的なパワー発揮が必要になりますよね。

 

以上のことを踏まえると、打者の下半身の鍛え方は

・「まずは高重量を安定して挙げられるようにする」←最低限の出力の大きさを確保する

・それから、下半身のプライオ系種目を意識的に多めに行う

というのが基本戦略です。(※ベーシックなウェイトトレーニングによってネガティブ刺激に耐えられるだけの筋力を養っておかないとプライオでケガするリスクが高まります)

 

バッティングの時の下半身の力の出し方に特に近いのは、

ドロップボックスジャンプや通常のボックスジャンプ、ハードルジャンプや、低重量でのバーベルスクワットジャンプなどでしょうか。

メディシンボールのバックスローや投げ上げ、三段跳び、垂直跳び・五段跳びなども良いでしょう。

 

これらの種目を継続的に行っていくと、脳・神経系統が「0.3秒前後という短時間で大きな力を出し切る」ことを覚えます。

あとはそれをバッティングに転用するだけです。

 

理想的なイメージを言うと、

「低めの姿勢で踏み込んで、そこから一気にジャンプする感じ」

で打てば、打球は果てしなく飛んでいきます。ハンマー投げのようなイメージですね。

 

「体幹の筋肉」とバッティング

バッティングの時、腹斜筋群にはネガティブな=引き伸ばされながらこらえるタイプの、かなり強い負荷がかかります(よくプロ野球選手が脇腹を痛める理由です)。

そのため、体幹の筋肉のトレーニングとしては「ハンギングレッグレイズ」や「ハンギングレッグレイズツイスト」、「ヒューマンフラッグ」(あとは「ブリッジ」「逆立ち歩行」など)などがおすすめです。単純に「できたらカッコいい!」というタイプのトレーニングでもあります。「フィジカルに自信を持ちたい」方にも向いています。

体幹の筋肉については、これらの種目のように「ネガティブ刺激に耐えつつ、動きをコントロールする」「引き伸ばされてから、頑張って切り返す」タイプのトレーニングを普段から行っておくと良いでしょう。

少なくとも、ぬるま湯の腹筋台クランチを数百回繰り返すよりははるかに有意義です。

 

なお、「体幹の筋肉はRFD・プライオ的な種目をどうしてもやりづらい(体幹は質量・慣性モーメントともに大きいため急激な減速加速が難しい)」ということも付け加えておきます。体幹の筋肉はバッティングのときに「下半身で生成したエネルギーを、<ロスせず伝える>」という役割を果たすもので、それ自身が積極的にパワーを発揮するというよりは、エネルギーの伝達役という大事な役目をきっちり果たさせてあげるべきです。

打者の場合は、ネガティブ負荷にさえ耐えられるようになっておけば良いかなという感じもします。

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「出力様式」まとめ

つまり、

・上半身…0.2秒という超短時間での爆発的パワー発揮が必要。特にRFDなど

・体幹…バッティングの時の「捻り戻し」=ネガティブな負荷に耐えられるトレーニングをする

・下半身…①高重量を挙げるだけの出力を確保して ②プライオをやり込んで ③バッティングに活かす

が必要です。

 

「身体操作」とバッティング

「身体重心感知能力」とバッティング

「身体重心感知能力」って、あまり耳にしたことがない言葉だと思います。

しかし、実はバッティングを売りにして上のカテゴリーに上がりたいのであれば、この「身体重心感知能力が高いか低いか」はかなり重要になってきます。

 

まず、「高いレベルで洗練されたスイング」のためには、以下のような条件が必要であることがわかっています。

・「Launch Position(前足のかかとが接地した時点)で、両足の間に重心が位置していること」

・「Launch Positionで、身体重心の真上あたりに頭が位置していること」

この二点は、アメリカの野球指導者たちの間ではもはや常識のように言われていることです。

バッティングにおいては、前足のかかとが接地する瞬間=Launch Position から回転運動が始まるわけです。

 

そして、効率の良い回転運動を行うためには、回転の中心がなるべく身体重心と一致すること。

というよりは、回転の中心と身体重心との近さを指して「効率の良さ」と言います。

身体重心がイラストのような位置にあると、

①目線がブレない ②素早く回転を開始できる ③筋肉に余計な緊張が生まれない

といった好ましい結果を手にすることができます。

 

逆に、回転の中心が身体重心から遠くなればなるほど、回転の効率は悪くなります。

①目線がブレる ②回転に入ろうとしてからタイムラグが生まれる、急加速できない ③筋肉に余計な緊張が出てくる

ということになります。

トレーニング動画を観ていると、武井壮さんも、おそらく本能的にそれを悟っているんでしょうね。

 

逆立ち(両手の間に身体重心を落とす)して、その状態で回転してみる。

後転して、逆立ち歩行して、また帰ってきて、前転して…を繰り返す。

軽いウェイトを持って繰り返しジャンプしてみたり、左右に踏み出して身体を捻ってみる。

 

いずれも、身体重心を良い位置に持って行かないと難しい動きばかりです。

こういうトレーニングをバカにせずに、数多く、長い期間継続していると、

「意識せずとも身体重心の位置を適切にコントロールできる」ようになっていきます。

つまり、身体重心感知能力・身体重心に対する感覚がどんどん育ってくるわけです。

 

身体重心の位置がズレていると「なんか気持ち悪いな」「なんかしっくりこないな」と感じるようになります。

そういう感覚を持っている人は、Launch Positionでも自然と「両足の間に重心があり」「重心の真上に頭が来る」ような姿勢をとるでしょう。

 

とにかく、地球上で直立二足歩行をしている人類にとって、

「身体に対して常に重力がかかり続けている」

というのは忘れてはいけない事実なのです。

 

身体重心感知能力は「身体の教養」と言っても過言ではないでしょう。

 

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