野球界に「両投げ」ブームが来た! 両投げのメリット解説

   

野球界に「両投げ」ブームが来た! 両投げのメリット解説

両投げに挑戦する価値は十分にある

「両投げ」はもはや、漫画の中の絵空事ではない

「左右両方で投げることができる人」といえば、有名なのが『MAJOR』の主人公・茂野吾郎。

小学生のころは右投げで、故障により左投げにスイッチしました。

 

『ドカベン』に出てきた「わびすけ」こと木下次郎も両投げの投手。

投げる直前まで右で投げるのか左で投げるのかわからない(注:現在ではルール上禁止されている)という荒業を披露し、山田太郎率いる明訓高校を苦しめました。

また、ちょっとマイナーどころでは『砂の栄冠』の主人公・七嶋裕之が右投げで150kh/h、左投げでも140km/hを記録しています。

 

・・・とまあ、「両投げ」というのは野球人のひとつのロマンである、くらいに思われていて、

実際にそれをやってみようと思う人はあまりいなかったのではないでしょうか?

 

しかし実際、最近「両投げ」を試みる野球選手というのが確実に増加しています。

 

たとえば、今年の春の神宮大会大学の部でベスト4入りを果たした東海大北海道の武沢龍矢投手(4年=東京成徳大深谷)や、鶴岡東高校の工藤大輔選手、所沢商の増田一樹選手、鳥取城北の寺坂黎哉選手、元大阪桐蔭(現:東邦ガス)の水本弦選手、立教大学の赤塚瑞樹選手、プロ野球では南海・阪神でプレーした近田豊年投手など。wikipediaの「スイッチピッチャー」の項目を見る限り、けっこうな数の投手が両投げに挑戦しています。

 

またメジャーリーガーでは、ダルビッシュ投手が左投げで120~130km/hを記録していますし、

グレッグ・ハリス投手に続いてMLB史上二人目となるスイッチピッチャーのパット・ベンディット投手は、「スイッチピッチャーvsスイッチヒッター対決」でかなり話題になりました。

 

あるいは、両投げとはちょっと違うかもしれませんが、「野球には左利きの方が有利だから」という理由で親や兄弟によって「左利きに矯正」された人もいます。NPB史上三位の本塁打数を記録した元南海の門田博光選手も、後天的な左投げです。

 

・・・というわけで、両投げは漫画のなかだけのモノではありません。

では実際、両投げを使いこなすことのできる投手はどんなメリットを得ることができるのか? を考えてみましょう。

 

①投球の幅が圧倒的に広がる。打者の苦手なほうで投げることができるし、投手としての持ち味を活かすことができる

両投げを使いこなすことができれば、↓こういう状況にうまく対処することができます。

・「右のサイドスロー・アンダースロ―は左打者に弱いことが多い」

・「左のサイドスロー・アンダースロ―は左打者にめっぽう強い」

・「相手の打者が、左投手・右投手のどちらかを極端に苦手にしている場合がある」

 

たとえば、投球練習は右と左の両方でしておいて、

相手が左打者だったら左のサイド・アンダースロー、相手が右打者なら右のサイド・アンダースロ―で投げてやる・・・ということも可能です。

 

有名な話ですが、元日本ハムのソレイタ選手(左打者)は、「左キラー」として名高い元西武の永射保投手(左投げ)を苦手にしていました。永射投手が出てくると、あのいかついソレイタが涙目になっていたとか。あるいは、元大洋・ロッテの平岡一郎投手(左投げ)なども「王キラー」と評されていました。

現在左キラーとして有名なのは、日本ハムの宮西投手や巨人・森福投手でしょうか。

 

両投げを使いこなすことができれば、「左打者のときには左キラー、右打者のときには相手の苦手なほうを選ぶ」という芸当も可能になります。

 

②ケガ対策にもなる:残機が「2」に増える

単純な話、両投げを習得すれば、肩や肘のストックが「2」に増えます。

もちろん故障しない投げ方を習得するに越したことはないのですが、どれだけ良い投げ方をしていても肩肘にはなかなかの負荷がかかることがわかっていますから、少しでもケガのリスクは減らしておきたい。

 

左右両投げであれば、極端な話、たとえ右肘が使い物にならなくなっても左腕がまだ残っています。

両腕が逝ってしまえばそれまでですが、それでも「残機が1」の人よりは「残機が2」の人のほうが選手生活を長く続けることができます。

「これが壊れたら一発でアウト」よりは「こっちが壊れても、もう片方ある」のほうがメンタル的にも安定するだろうと思います。

 

③左右のバランスが良くなる

そもそも、ダルビッシュ投手が左投げを始めたのは、「左と右のバランスを整えるため」だと聞いたことがあります。

また、『砂の栄冠』でも、七嶋投手が左投げに挑戦したのはもともとチームとして「利き手側にグラブをはめて守備をする」という練習を行っていたからです。

 

ためしに、普段とは反対の腕で投げようとしてみると、「自分の左半身ってこんなに不器用だったのか・・・」と愕然とすると思います。

多くの選手は、利き手と反対側の半身が不器用で、筋肉もあまり動きませんし、可動域も狭いことが多いものです。「使わないものは退化する」というのが人間の身体の大原則ですから当然と言えば当然ですが・・・。そういれば、東大野球部の浜田監督が、選手たちに「左手で歯を磨け」という指令を出されたことがあるという話を聞いたことがあります。経験的に、左半身が不器用だと知っておられたのでしょう。

 

野球は左右非対称のスポーツですから、右投げの人間は右半身にばかり意識が集中して、左半身がおろそかになりがちである・・・というのは案外意識されないことですが、意外と重要です。

「センスがある」と言われている右投げの人の投球フォーム・打撃フォームを見ていると、右半身に加えて左半身の使い方が非常に巧みであることがわかります。逆に、センスがないといわれている人は右半身ばかり使って、左半身がコントロールできていない。

 

たとえて言えば、右投げで右半身しか使っていない人というのは「自転車を右手一本で片手運転している」ようなもの。そうではなく、自転車を正確に&スピーディーに操るには、「左手と右手を両方とも使って運転すること」がマストです。

野球の動作というのは投げるのも打つのも「回転動作」。

回転動作ということは、右利きの人が速く回転する(=つまり、スイングスピードを上げる・球速を上げる)ためには、

「右半身で力を加える」のと同時に、「左半身で引っ張る」が必要なのです。

 

センスのない人は右半身だけで回転運動をやっているので、単純な話、「2分の1」の力しか出せません。

センスのある人は「左半身でリードする」+「右半身で加速させる」ので、「2分の2」の出力ができます。

小柄ながら140km/hを投げる人と、大柄なのに120km/hくらいしか出ない人との差は、案外この辺りにあるのかもしれません。

 

ちなみに、右投げの人が左半身をうまく使えないと、球速や打球速度が上がらないのみならず、故障のリスクも増します。

・「左半身の使い方がうまくない右バッターが、ファールを打ったり空振りしたりした際に左手首を故障する」

・「人間は利き手とは反対側の、不器用なほうをケガすることがけっこう多い:たとえば右利きの人の左足首捻挫・左ひざ負傷・左もも内転筋の肉離れなど」

 

特に前者の「右打者の左手首」というのは見過ごされがちですが、かなり多いケガです。

私自身もそのケガがきっかけで左打ちに転向しましたし、野球仲間でも「ファールを打った時に左手首を故障した右打者」を二人知っています。手首には小さい骨・靭帯が密集していて血流が少なく、回復にかなりの時間がかかるので、厄介なケガです。

もちろん、右投げの人が左半身をうまく使えないと、「右半身」にも負担がかかることになります。左半身がサボっているツケが、右半身に回ってくるわけです。投球動作の時には、特に肩・肘にその負担が重くのしかかります。

 

…というわけで、「利き手とは逆側の腕を普段から使う」のは、

①パフォーマンスアップ

②ケガ防止

という二つの意味で重要なことだといえます。

 

ボールを投げるときに利き手と逆の腕で投げてみたり、普段右打ちなら左打ちをやってみたり。

普段の練習・日常生活からの工夫が必要です。

 

④わりと注目される&アピールポイントになる。投球練習で相手ベンチがざわざわする

今のところ、「両投げ投手」というのはかなりレアな存在です。

両投げで「そこそこ」の球を投げる選手は、たぶん日本全国で50人いるかいないかでしょう。間違いなく、プロでもアマでもかなりのレアものです。

 

野球人口がだいたい700万人とすると、50/7,000,000=0.00000714285、つまり全体の 0.000714%。

つまり、プロ野球選手よりも貴重です。

裏返せば、両投げをモノにすることができれば、格段にプロ野球選手になりやすくなるのではないでしょうか。話題性も十分ということで、もしかすると実力以上の評価をしてくれるかもしれません。

あるいは、「もともと右投げが本命で、左投げもある程度できる」というくらいの選手が、次第に左投げも上手にできるようになってくれば、ひとつアピールポイントが増すことにもなります。「左バッターが相手だから、ワンポイントの左を投入する」という手間が省けるかもしれません。

 

もちろん、「両投げを習得するのはプロ野球に入るよりも難しい」というわけでは決してありません。

単に、両投げというのは今までの日本球界であまり真面目に考えられてこなかった、心理的盲点だった、というだけの話です。

両投げというのはせいぜい「遊び」くらいに考えられていて、「一本に絞る」ことを美学としがち(=エースと心中とか、職人気質の尊重とか)な日本人の気性からすると、あまり性に合わなかったのではないでしょうか?

 

でも、現実にMLBでは両投げの投手が登場していますし、日本でも近年両投げの選手が(おそらく)増加傾向にありますし、この記事の中で触れているように「両投げ」にはなかなか捨てがたいメリットがあります。

「三日三晩で習得」というわけにはいかなくても、あるいはゴールデンエイジ(この仮説自体、最近眉唾ものとされているようですが)を過ぎてしまった大人の選手であっても、「両投げ」に挑戦してみるメリットは十分あります(というより、デメリットもリスクもありません)。

 

さらに、「相手チームに与える心理的効果」も大きいでしょう。

 

たとえば、相手のチームの先発投手が右で3球投球練習をしたとします。

この時点で、こっちのチームの打者は「おっ、右投手だな」と判断するでしょう。

ところが、相手の投手は右で三球投げたあと、涼しい顔でグラブをはめ替え、左で投げ始める。

すると、こっちは「えっ」となります。右じゃないのかよ、と。

 

試合に入ると、右打者には右のサイド、左打者には左のサイド。たまに気まぐれで右打者のインコースに左投げのクロスファイアを投げる。

打者からすれば、自分の打席が来るまで相手投手がどっちで投げてくるかわからないのですから、嫌なものでしょう。特に、「打席に入る前にきっちりと相手投手の投球をイメージして準備する」というタイプの打者などはほとほと困り果てるはずです。

また、打者目線からすると「一回りめ・二回りめまでは右投げで来て、急に左投げに変わる」投手はかなり慣れづらいでしょう。せっかくボールの軌道に目が慣れた来たころにコロリと変わられたらたまったものではありません。

 

采配をふるう監督にしても、相手投手が両投げなので、「代打の切り札」も使いにくくなります。

 

なお、「過去、両投げで成功した人間はMLBにもNPBにもいない! だから両投げはやめておけ」などと言う人もいると思います。

そういう人は、きっと野茂選手が海を渡る前にも「日本人投手でメジャーで通用した投手は過去にいない!だからやめたほうがいい」と言い、イチロー選手がメジャーに移籍するときにも「日本人野手で通用した人間はいない!やめておけ!」と言い、大谷選手が二刀流に挑戦するときにも「過去に成功した人間はいない!かならず失敗する!」などと言っていたはずです。

そういう、「過去ばかり見ている人」のアドバイスは真に受けないことにしましょう。結果を出せばたちまち「ま、通用することは最初からわかっていたよ」と手のひらを返すはずです。耳を貸すべきなのは、「君には絶対できる」と言ってくれる人の言葉だけ。

 

これまでに成功した人間がいなければ、自分が初の成功者になればいい。そのほうがやりがいがあるでしょう。

さらに、「一握りの人間だけができる」なら、その一握りになればいい。

それだけの話です。

 

⑤両投げを練習の中に取り入れるデメリットは特にない

「両投げをすると、本来の利き手側の投球がおろそかになるのではないか」と危惧される人もいると思います。

実際はむしろ逆。

まず、右投げなら、右投げの練習が終わってから左投げをすればいいので、時間は大してとられません。ただでさえ時間が余りがちな投手なら、暇な時間は多少なりともあるはずです。

 

さらに、「左投げを練習すると右投げがうまくなる」という現象も起きます。

この現象は、スポーツ科学では「バイラテラル・トランスファー」(「動作の対称転移」とでも訳すのか?)という名前で知られています。

 

アメリカで本格的にトレーニング理論を学んだ希少な日本人である小山啓太氏の良著『野球選手のTHE肉体改造』で、バイラテラル・トランスファーについて触れられています。

また、右投げの選手が左で投げること・右打ちの選手が左で打つことで運動能力や運動能率・技術向上に効果を上げる、バイラテラル・トランスファーを活用するにも(…)

例えば、右投げの選手が肩やひじを壊して投げられない状態の時に、左で投げることによって、脳はクロスオーバーで運動能率を考え指令を出すため、その指令は故障していて使っていない右で投げるための部位にも、筋肉の収縮や神経伝達が表れる。

「バイラテラル・トランスファー」は、まだ日本ではあまりなじみのない概念ではありますが、間違いなくこれから広まっていく概念でもあると思います。あまり多くの人が知らない今のうちに、先行者利益をむさぼっておきましょう。

 

・・・というわけで、

・両投げを習得できればかなりの強みになるし、習得し切れなかったとしても害はない

・両投げを練習に取り入れるデメリットは特にない

・両投げを練習に取り入れるメリットはけっこうある

・片方しか使わないことによる害がかなり大きい

ので、これからの日本野球界では「両投げ」はもっともっとメジャーになっていくはずです。

 

もしかすると、両投げ習得のためには初動負荷トレーニングが役に立つかもしれない

そういえば、初動負荷トレーニングの体験談にこんなものがありました。

 初動負荷トレーニングを始め、一年半が経ちましたが一番最初に感じたのは柔軟性の向上でした。そして体が軽い、動かしやすいというのが第一印象でした。最初の頃は体が柔らかくなる事が嬉しく、体を柔らかくする為に通っていました。
ところが個人的には柔軟性をあげるだけのつもりだったはずが、初動負荷トレーニングの大きな特徴である「神経系のトレーニング」もマシンを動かしていただけで一緒に行われていたのです。気が付いたら今までできなかった動作ができる様になっていました。
右投げの私ですが遊びで左で投げてみたら今までの三倍以上の距離を投げる事ができてしまい驚いてしまった事がありました。動作を反復して習得するのではなく、気づいたらできる様になっていた事が野球に限らず数多くありました。
まさにそれは初動負荷トレーニングによって筋肉と神経の機能が向上した結果だと思います。(…)

一方、一般的なウェイトトレーニングでは必ず力を入れて、力みながらトレーニングすると思います。しかし実際投げる、打つ時は「力を抜け、リラックスしろ」という言葉を使います。
トレーニングを力みながら行っていたらプレーでも力みがでるのは必然的だと思います。初動負荷トレーニングは常にリラックスする事ができ、力む動作もありません。つまり、動作内容も含め、より実践に近いトレーニングであり、野球動作そのものと言っても過言ではないと私は思います。そして、今までトレーニングしてきたなかで走り込みの意味、体幹、チューブトレーニングの必要性、様々な疑問を持っていましたが、初動負荷理論は私が納得する答えをだしてくれました。

ワールドウィング市川「体験者の声」より引用

 

とても示唆に富んだ体験談だと思います。

 

初動負荷トレーニングの特徴としてよく挙げられるのが、「身体のアンバランスを矯正できること」。

実際、初動負荷トレーニングの提唱者である小山氏は、「フリーウェイト(=バーベルを使った普通のウェイトトレーニング)で身体のゆがみを矯正することは難しい」と述べられています。私の体感としてもその通りです。たとえば、スクワットをやったからといって左右の脚の筋力差が縮まることはなく、むしろ高重量になればなるほど「弱いほうの脚」「不器用なほうの脚」に余計な負荷がかかるという感触がありました。

 

一般的に、右投げの人は右半身をよく使用しているため全体的に筋肉がゆるんでいて、逆に左半身は可動域が狭く硬い、と言われます。・・・ということは、右投げの人が左腕をうまく使えないのは、そのような「身体の左右の差」がマイナスに影響しているとも考えられます。

 

初動負荷トレーニングを「単なる器具を使ったダイナミックストレッチである」と理解(誤解)している人も多いようなのですが、上の体験談を見ればそれが間違いであるということに気が付くと思います。単なるダイナミックストレッチで、「できなかったことができるようになる」はずがありません。

「できなかったことができるようになる」ということは、当然、「左投げ」という「できなかったこと・難しいと思っていたこと」も、できるようになる可能性があるということに他なりません。

 

「できなかったことができるようになる」のはなぜかといえば(推測ですが)、

・初動負荷マシンによる動き(=良い動き、プロの一流選手のような動作)を繰り返すことで、神経系統がそのような動きを覚える。師匠のワザを盗む弟子のようなイメージ(というか、それよりもはるかに効率的)

・初動負荷マシンによって、①筋肉の柔軟性向上 ②神経系に↑のようなインプットがされて、正の転移が起きる ③筋肉と神経の協調能力が高まる

ことによって、「思い通りに動かせる身体」が出来上がる(→これは武井壮さんの持論でもある)のだと思われます。

なお参考までに、初動負荷トレーニングは機能麻痺の方の症状に対しても卓効があるということが明らかになっていますし、小山氏も「機能麻痺の方が良くなるトレーニングこそが良いトレーニングだ」という意味のことを述べられています。

 

というわけで、両投げをマスターしたいのであれば、初動負荷トレーニングを取り入れてみることがかなり役立つはずです。

 

 

まとめ:どうせなら「両投げで、両方ともオーバー・サイド・アンダーを駆使できる投手」が出てきてほしい

ここまで、「両投げのメリット」「両投げを効率よく習得するための方法」について触れてきました。

 

近い将来には「両投げ」が当たり前になっている可能性は高いと思います。

大人になってからでも両投げは十分に上達するのですが、子供のうちから両方の手で投げていれば、簡単に両投げをマスターすることができるはずです。先見性のある親御さんなら、子供に両投げ用のグローブ(か、右投げ用と左投げ用を一つずつ)を買い与えることでしょう。

 

・・・野球の歴史を紐解くと、「時代の一歩先を行き、圧倒的な結果を残す選手」が時代ごとに表れて、その時代の野球のレベルを引き上げてきました。現在ならイチロー選手がそうです。

これから先、本当の意味で時代の一歩先を行く選手が登場するとしたら、どんな選手でしょうか?

私は、それは「両投げで、オーバー・サイド・アンダーを使い分けることのできる選手」だろうと思っています。

半分妄想ですが、半分本気です。というか、両投げのメリットを考える限り、このままいくと間違いなくそういう選手が出現して、その時代の野球に大きな影響を与えるだろうと思っています。

 

もしも「両投げで、右投げ左投げそれぞれでオーバー・サイド・アンダーを使い分けることができる選手」が出現したら、どんな投球を披露してくれるでしょうか?

 

たとえば、こんな芸当も可能だろうと思います。

・オーバー特有の変化球・サイド特有の変化球・アンダー特有の変化球をすべて操る。

→オーバースローでは「SFF」や「シュート」や「ツーシーム」「縦スラ」など、サイドでは「横スラ」や「シンカー」、アンダーでは「低めスレスレのストレート」「チェンジアップ」など。これらを一球ごとに組み合わせる

 

・一球ごとに投げ方を変える。クイックやノーワインドアップやセットポジションなどを自在に使い分ける。それでいて抜群のコントロールとキレを誇る。

→右投げで対右打者なら、初球ワインドアップからアンダースロ―で外角低めへのチェンジアップでストライク・二球目はクイックでオーバースローでインコースにシュートボールで空振り・三球目はノーワインドアップからサイドスロー、アウトコースの横スラで空振り三振。

二打席目では今度は左投げ。初球、大きなワインドアップからオーバースロー、人を食ったようなスローカーブでストライク。二球目はクイックでサイドスロー、インコースへの強烈なクロスファイアで見逃し。三球目はノーワインドアップからアンダースロ―、低めスレスレへのストレートで見逃し三振・・・

 

バッターからするとタイミングの取りようがありません。タテ・ヨコ・深さの三つで揺さぶられるので目線もブレブレになります。おまけに上横下のどこから投げてくるのかまったく予測がつきません。

「身体を思い通りに動かす能力をめちゃくちゃ鍛える」と、このような投球も十分可能でしょう。きちんと神経と筋肉の機能を高め、技術練習を効率的に繰り返していけば、決して絵空事ではないはずです(個人的感想ですが、ウェイトトレーニングばかりやっていてはこのような投球はできそうにない気がします)。

 

こういう投手がまず日本に出てきてほしいですね。

一度「あ、両投げで上手・横手・下手投げってできるんだ」という事実さえできてしまえば、どんどん増えていくと思います。日本的な思考法だと「一つの投げ方だけでもマスターするのに時間がかかるのに、六つの投げ方をやろうとするなんてけしからん!」となりそうですが、そんなことはありません。

一つの投げ方にこだわろうとするから時間がかかるのであって、「どの投げ方でもうまく行くような共通の原則」をよく考えて(実際に存在します)、身体に覚えさせてしまえば、どの投げ方でも確実にマスターできるはずです。

現在の日本球界では、「投手とはこういうものだ」という常識・固定観念が根強く、「両投げ」も「上手・横手・下手の併用」も心理的盲点になっていますから、今こそがチャンスだといえます。

 

両投げ&上手・横手・下手の投手が登場すれば、ただでさえ面白い野球が、もっともっと奥の深いスポーツになるはずです。

皆さんもぜひやってみてください。

まずは、遊びから。

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