チーム単位で動画を活用して野球上達!「Googleドライブ・Googleフォトを用いた映像・動画による野球指導システム(北大式)」について

   

チーム単位で動画を活用して野球上達!「Googleドライブ・Googleフォトを用いた映像・動画による野球指導システム(北大式)」について

自分がどういう動きをしているのか知らない人が意外と多い

「自分がどんな動きをしているかすら知らない人が多い」という野球界の現状

先日Twitterのタイムラインを眺めていると、

「練習中に自分のフォームを動画に撮ってもらっていたら、先輩にバカにされた」

というつぶやきが流れてきました。

また、

「練習中にスマホを使って動画撮影したいのに、許されていない」

という声も聞こえてきました。

 

つまり、「日本のアマチュア球界は未だに、動画を使って自分のフォームを活用する風土が存在しない」ということです。

たとえば高校野球。

一部には、積極的に動画資料を上達のためのツールとして活用しているチームも存在しますが(→例:2016年の選抜大会で準優勝を果たした高松商)、

たいていの高校では「動画を活用しながら練習する」というのはなぜかご法度のようです。

特に古い慣習が根強い強豪校ほどその傾向が強く、逆にゆるめの公立高校や進学校、理解ある指導者の方のいる学校では許可されていることが多いようです。

有名な話ですが、甲子園を何度も制覇しているある高校などは「部員は携帯を所持してはいけない」という決まり事を部員に課しています。

 

聞く限りでは、大学や社会人野球でも、練習中に積極的に動画を活用しながらフィードバックを行うチームは未だ少数派のようです。

自主練習などで選手がフォームチェックするために自主的な動画撮影を行うことはあるようですが、たいていのチームでは全体練習中に動画を撮影することはありません。

 

自分の野球歴を振り返ってみても、小学校・中学校・高校・大学の1・2年生の時まで、自分がどういうスイングをしているのかを動画を使ってチェックすることはまずありませんでした。

「自分のスイングを撮影すればいい」という考えすら浮かぶことなく、やみくもに打撃練習をして、「なんで打てないんだろう・・・」と悩んでいました。

フォームチェックといえば、せいぜいたまに鏡の前で素振りをするくらいです。

自分がフリーバッティングのときにどんなスイングをしているのかとか、ピッチャーの側から見たらどんなスイングをしているのか、今日の試合ではどんなスイングをしていたのか・・・何も知りませんでした。知ろうともしませんでした。そもそもそういう選択肢があることにすら気付けなかったのです。

 

こんな状態でしたから、指導者の方に「開きが早い!」と指摘されても、「具体的にどこがどのくらい開いているのか」すらわからないという有様でした。そんな状態のまま、「なんでアイツはあんなに打てるんだろう。センスが違うってこういうことなのかな」などとクヨクヨ悩んでいました。

 

今にして思えば、「自分がどんな動きをしているかすら知らない」というのは、普通に考えて非常にマズい状況ではないでしょうか?

 

自分の動きを把握するというテーマについては、陸上・十種競技の元日本王者で、現タレントの武井壮さんがこんなエピソードを話されていました。

当時野球をしていた武井は、全打席ホームランが打てないことが不思議でしょうがなかった。

そこで、ビデオで客観的に自分のフォームを観てみると、思っていたものと全く違っていることに気付いたという。

武井はそのときについて「雷打たれたみたいだった」と振り返り、このことにより自分の体を頭で思った通りに動かす練習をすることが大事だと理解したという。(運動神経向上委員会!武井荘のボディコントロール論は小学校で教えるべき)

 

「自分がどういう動きをしているのか知る」ことについては、次のことが言えると思います。

・「自分がどんな動きをしているのかすら知らないまま練習してスムーズに上達できるのは、ごく一部のカンの良い選手だけ」

・「自分がどんな動きをしているのかさえ把握できれば、修正も上達も比較的容易になる」

・「自分がどんな動きをしているのかを知ることによって生じるデメリットは少ない」

 

実際、プロ球団でも「自分がどんな動きをしているかを確認する」という動きが出始めています。2017年に日本一の座をつかみ取った福岡ソフトバンクホークスでは、選手個人個人にiPhoneやiPadを配布し(親会社がケータイ系の強みです)たり、あるいは「映像遅延装置」なるものを導入して「今のスイングはどうだったか」をノータイムで確認できるように取り計らったりしているようです。

〈野球×デジタル〉『福岡ソフトバンクホークス』がiPhone&iPadで試合に勝つ方法【デジタルでスポーツの勝利をつかむ #2】


 

前置きが長くなりましたが、今回紹介する「Googleドライブ・Googleフォトを用いた映像・動画による野球指導システム」というのは、ソフトバンク並みとまではいかなくても、

・自分がどういう動きをしているのか を把握できる

・上達の速度が飛躍的に向上するので、個々の力&チームの総合力が向上する

・自分の連続写真・個人的な能力(50mや一塁到達タイム・ロングティーの飛距離など) を確認できる(指導陣も指導のために利用できる)

・チーム全体として、動作を改善していこうという雰囲気を作り出せる

・野球の動作について、これまで意識していなかった、思いもよらぬ発見をすることができる

といった効果が期待できます。しかもコスト・手間がほとんどかかりません。

 

では、具体的にどのように「Googleドライブ・Googleフォトを用いた映像・動画による野球指導システム」を構築していけばいいのか? を簡単にお伝えしていきます。

 

必要なもの

用意するものは以下の通りです。

・Googleアカウント

・お金:かかりません

・写真撮影用のスマホ・カメラ・タブレットなど:私は手持ちのスマホと「Panasonic・V360MS」というカメラを使用しています

・インターネットが使えるパソコン

・野球チーム

特筆すべき特徴としては「タダ」ということに尽きます。

しかも、ほとんど手間をかけずに開始できます。

 

余談ですが、日本のアマチュア球界で「Googleドライブ・Googleフォトを用いた映像・動画による野球指導システム」を始めたのは北大野球部(ちなみに発案者は私です)が初のはずです。映像や動画を活用している個人やチームはちらほらとあったようですが、チーム全体としてGoogleのサービスにただ乗りする形で動画・画像・映像を利用する・・・という形式でやっている人or団体の話は聞いたことがありません。

ですので、「Googleドライブ・Googleフォトを用いた映像・動画による野球指導システム」が長くて呼びづらいというのでれば、このシステムは「北大式」と呼んでも良いような気がします。

 

手順

気になる手順ですが、拍子抜けするほど簡単です。PHPやJavaの知識も要りません。

普段からインターネットを使っている人であれば難なく処理できるはずです。

 


1.Googleのアカウントを取得します。すでに持っている人は不要です

2.Googleのアカウントを使って、Googleドライブの利用を開始します。ただアクセスするだけです。Googleアカウントさえ持っていれば、利用開始にあたって特別な手続きはいりません。

3.Googleのアカウントを使って、Googleフォトの利用を開始します。ただアクセスするだけです。

4.Googleドライブの「マイドライブ」内に「自分が所属するチームの映像・動画・文書・画像を入れるためのフォルダ」を作っておきます(→北大だと「北海道大学硬式野球部」です)

5.「自分が所属するチームの映像・動画・文書・画像を入れるためのフォルダ」の中に、①「個人用フォルダ→ex.〈#10 ○○選手〉」 ②「全体で共有しておきたい映像・資料を入れるためのフォルダ」を作っていきます

6.「自分が所属するチームの映像・動画・文書・画像を入れるためのフォルダ」を、全体に共有できるように設定変更します。これより下の階層のフォルダは自動的に共有されます

なお、「リンクを知っている全員が編集可能」か「閲覧のみ可能」かは自由に選ぶことができます

 

7.今度はGoogleフォトのほうに、「全選手の個人用アルバム」を作っていきます。こちらも全体に共有できるように「共有アルバム」とします

8.チーム全体に「Googleドライブの共有用URL」と「Googleフォトの共有用URL」を伝えます

9.あとは日々運用していくだけです。自分で「これが必要だろう」と思ったものはどんどん追加してきましょう

 

 その他補足事項

どういうフォルダを作れば良いか

さて、気になるところとしては

・Googleフォト・ドライブを利用開始したはいいが、具体的にどのようなものを入れればいいかわからない

というあたりだと思います。

 

そこで、「こういうものを入れたらいいんじゃないか」というリストを作ってみました。

ドライブに作ったほうが良いと思うフォルダ

・個人用フォルダ(連続写真や個人的な資料などを入れる)

・プロ右打者映像(NPB・MLB)

・プロ右打者連続写真

・プロ左打者映像

・プロ左打者連続写真

・プロ打者審判目線

・プロ打者センターカメラ

・プロ右投手映像

・プロ右投手連続写真

・プロ左投手映像

・プロ左投手連続写真

・プロ投手審判目線&捕手目線

・プロ投手センターカメラ

・プロ・アマチュアトップレベルシートノック

・数値関連(→50m走などの身体測定結果や、一塁到達タイム、個人のセイバー分析など)

・内野陣向け(→ファインプレー集やキャッチボールなど)

・外野陣向け(→レーザービームや外野手のプレー集など)

・トレーニング情報(→ウェイトのやり方・ランメニューの解説など)

・野球の最新情報(→セイバーメトリクスや練習器具など)

・授業情報(→過去問や鬼仏表、試験対策情報など)

このあたりを押さえておけば、基本的なものはすべて網羅できるはずです。

 

さらに、「どのような映像を撮影すればいいか?」も一応の基準があります。

打撃・撮影すべきもの

・横から、審判目線、センターカメラ目線、背面から + 横からの連続写真

投手・撮影すべきもの

・横から、審判目線、センターカメラ目線、背面から + 横からの連続写真

守備・撮影すべきもの

・シートノック、キャッチボール、捕球姿勢、スローイング

 

★必要に応じて、「通常速度の映像」「スロー映像」「連続写真」などを使い分ける

というあたりでしょうか。

 

このくらいの資料が集まれば、「自分の現在の実力」も、「目指すべきレベル」もはっきりします。

「根性だ!青春だ!千本ノックだ!一日1000スイングだ!」とやるのも良いかもしれませんが、

こうやって映像などを活用して自分のプレーを確認するシステムを作っておくと、かなりの速度で個人個人の実力が伸びていくことが期待できます。

 

容量について

Googleドライブは15GBまで無料、Googleフォトのほうは容量無制限です。

ご存知の方も多いでしょうが、映像データというのはかなりの容量を食います。Googleドライブの15GBというと多いように思いますが、すぐに食いつぶされます。そこで「容量を拡張してみてはどうか」という発想になるのですが・・・実は、Googleドライブは容量課金制です。値段は以下の通り。

100GB→月250円

1TB→月1200円

2TB→月2600円

10TB→月13000円

20TB→月26000円

30TB→月39000円

と、けっこうお高めです。学生チームや資金難のチームにはつらいものがあります。

 

そこで、「容量無制限のGoogleフォト」を活用します。

Googleフォトであれば「やや画質を下げる→容量無制限」「高画質のまま保存→15GBまでは無料」という二つの選択肢があります。野球の動作確認であればあまり画質が下がったところでさしたるデメリットもないはずですから、Googleフォトで「画質はそこそこで、容量無制限」を選べば、Googleドライブに課金しなくても、大量の映像や画像を保存&共有しておくことができるわけです。

ですから、北大でも以下のようにフォトとドライブを使い分けています。

・よく参照するもの(ex.野球選手の連続写真やスロー動画など)

→ドライブに入れておいて、すぐに参照できるようにしておく

・試合の映像や、個人のその日の打席など、一度見たらその後はあまり参照しないもの(参照頻度の低いもの)

→フォトの個人用アルバムに蓄積していく

このように使い分けることで、無料でありながら非常に質の良い指導システムを作り上げることができます。

 

裏技?

なお、「無料のまま、ドライブにたくさん映像を上げる方法」も実は存在します。

 

具体的には、

「Googleフォト経由で映像をアップロードする」

→「ドライブのほうに勝手に生成される『フォト』というフォルダの中に、フォトにアップロードした映像が追加される」

→「『フォト』フォルダの中にある映像ファイルを、ドライブの中の目的とするフォルダに移動させる」

という手順です。

 

つまり、フォト経由でアップロードした映像がドライブのほうにも反映されるので、その反映されたファイルをドライブ内で移動させるわけです。どういうわけか、こうするとドライブの容量をまったく食いません。

ただし、この方法には「Googleフォトにアップロードしてからドライブに反映されるまでかなりのタイムラグ(数日単位)がある」という致命的な弱点がありますので、あくまでも非常用です。また、2017年11月の時点ではこの方法が使えましたが、もしも↑の減少がGoogle側のシステムに生じた不具合だった場合は修正されるはずです。もしかすると今後は使えなくなるかもしれません。

 

なぜかiPhoneユーザーに優しくない

Googleドライブは非常に使い勝手のいいサービスなのですが、

「Googleドライブは、iPhoneで見ると不具合が生じることがある」

という弱点があります。実際「パソコンで見るとドライブの変更が反映されているのに、iPhoneでみるとなぜか反映されていない」という事態が幾度となく起きています。

 

現実的な対応策としては「なるべくGoogleフォトのほうを活用する」ことでしょうか。現在のところ北大野球部では、iPhoneユーザーでもGoogleフォトであれば不具合なく見れているようです。

なお、この不具合の原因として「GoogleとAppleの不仲のせいでは」と疑う声もあります。

 

DropboxとかLINEじゃだめ?

一応、DropboxやLINE、YoutubeやEvernoteといったサービスでも映像共有はできます

・・・が、正直、Googleドライブ・フォトの利便性に比べると見劣りがします。

 

具体的な欠点を挙げてみると、

・Dropbox→容量が少ない、アップロードが遅い、登録が面倒くさい

・LINE→容量が少ない、データの有効期限がある、使えない拡張子がある

・Evernote→アップロードが遅い、データの制限がある

 

それに対して、

・Googleドライブ&フォト→アップロード速度が速い、組み合わせると容量無制限、どんな拡張子でもOK、共有が簡単、すぐに利用開始できる

といった長所があります。

 

 

まとめ

以上で、「Googleドライブ・Googleフォトを用いた映像・動画による野球指導システム」の説明は終わりです。

 

これからの野球界ではどんどんこういうやり方はメジャーになっていくはずです。

導入するデメリットは特にない&導入することによるメリットが非常に大きいやり方だと思うので、

これまでのやり方に固執し続けるチームと、柔軟に映像や動画を活用しながら練習していくチームとでは確実に差が付いていくでしょう。

 

常に最新の情報に対する感度を高めておいて、時代の一歩先を常に行き続けたいですね。

 - 動作, 野球, 野球アイディア