『思考の整理学』(外山滋比古、ちくま文庫)読了レポート

      2016/08/31

書店によく平積みになっているので、見たことある人は多いでしょうこの本。

「思考の整理学」。外山滋比古、ちくま新書、520円+税。

近くにある紀伊国屋で購入したのですが、オビで「東大・京大・早稲田の大学生協でもっともよく売れた本! 200万部突破のベストセラー!」みたいな感じで煽っていたので、ついつい買っちゃいました。

タイトル通り『思考を整理する』方法に主眼が置かれているんですが、受験でクソみたいに脳みそに知識詰め込んだはずの東大京大の学究諸君が買い求めるのも当然の内容だと思います。

というのは、学んだ・詰め込んだ知識を、いかに自分独自のアイディアに昇華させ洗練選別していくか? その方法論を述べているからです。要するに、この本は学問的に自立するための手伝いをする本なんです。

このおじいさん(著者)は、「学校で教えられた知識・身に着けるように求められた知識ばかり豊富な学生」のことを「グライダー型人間」と表現します。グライダーは、自分の力では思うままに飛べないんですね。キテレツ大百科でいえば、勉三さんみたいなもんですかね。

べんぞうさん

著者が言うには、グライダーではなく、飛行機型の人間になれ、と。飛行機ってのは自力で飛んで行ける、つまり勉強でいえば「自分でテーマを見つけてそれを追求していける人間」のことなんです。

つまりは、この本で述べられているのは、日本有数のキャッチーな思想家がウン十年かけて編み出した、「本当に面白いアイディアの捻り出しかた」。

この著者、1923年生まれのじいさんですが、2016年4月26日現在まだご存命です。92歳。長生きですねえ。

 

さて、以下、主なポイントを列挙していきます。要約みたいなもんです。ネタばれにもなっちゃうかな?

 

・朝早く、朝飯を食べる前の時間帯は、一日でもっとも効果的に創作の作業ができる時間だから有効に使うべし。というのは、睡眠の間に思考が整理されているので朝は頭がハッキリしているから。また飯を食べると必然的に眠くなる(だいたい学生が椅子に座りながら眠りに落ちる時間帯というのは昼飯後だと決まっている)から、飯のあとは寝てしまうのがいい。ちなみに著者の一日は、「朝起きる→作業する→朝昼兼用の食事→寝る→起きる→作業する→夕食→雑務こなす→寝る」というサイクルなんだとか。やるなじじい。

 

アイディアは熟成させるべし。駄目なアイディアは自然に淘汰されていく。熟成方法には二つあり、「時間の試練を経させる」か、「何度か新しいノートに移植する」こと。時間を経るなかで、無意識が勝手に働いてくれることも多い。

 

忘れ上手になるべし。今の「知識人」たちはえてして「知識量こそ命!」と考えていることが多いものだが、実は、自分のなかの自然忘却の力にまかせておくことによって、「本当に大切なところ」だけを自分の中に残すことができる。「自然忘却で肝心なことだけが残る現象」と、「古典とよばれる作品がくぐりぬけて来た時の試練」は似ている。時の経過を経てなお残るものがホンモノ。

 

・単に知識を仕入れるだけならコンピュータがいくらでもやってくれるご時世であるから、人間は人間にしかできない「創造力」をはたらかせていくしかない。過去に二度、人間はコンピュータに仕事を奪われている。一度目は産業革命のとき、二度目は今まさに起きつつあるのだが「事務仕事系」がコンピュータの手で処理されるようになるとき。

 

…こんなもんですかね。

買って損はなし、むしろ読んで得する類の本だと思います。

作家になりたいやつ、研究で生計を立てていきたいやつは必読かな?

評価:★★★★☆




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