バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その5

   

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その5

三関節直列+トリプルエクステンションについて語る前の下ごしらえ:ピッチングとバッティングの違いとか

「バッティングとピッチングの違い」についてはいろいろな説があります。

「バッティングとピッチングの共通点」についてもやはりいろいろな説があります。

 

本当は今すぐにでも「三関節直列+トリプルエクステンション」についての自論を展開したいのですが、

論理的な下ごしらえのために、今回はまず「バッティングとピッチングの共通点・相違点」について、自分なりの考えを述べてみます。

 

言いたいことその1:バッティングとピッチングの共通点と相違点はいったいどこにある? → 共通点は「並進運動を回転運動に転換すること」、相違点は「地面反力と身体重心との位置関係」

 

バッティングもピッチングも、基本は「並進運動→回転運動」です。

ただし、ピッチングとバッティングとで多少の違いはあります。

具体的に言うと「踏み込み足の地面反力と、身体重心との位置関係」が異なります。

 

(https://www.youtube.com/watch?v=IFYyelriuAI、https://www.youtube.com/watch?v=DzJms7RW02Aより)

 

…まず、矢印の左側では並進運動が行われています。

そして、「前足の接地による地面反力の獲得」を契機として、「並進運動から回転運動への転換」が始まります。

ここでの主役は「骨盤」です。並進運動の間、骨盤は相手打者or投手に対して「横向き」をキープ。そして前足の接地をきっかけにして、骨盤は一気に回転を起こし、相手打者or投手に正対します。

 

まず、バッティングの場合。

並進運動を続けてきた身体重心と地面反力との間には、ある程度の距離があります。この距離の長さのことを「モーメントアーム」と呼びます。図に「重心と前脚の地面反力の間」と書いてある部分の長さが、モーメントアームです。

 

それに対して、ピッチングの場合。

こちらは、「身体重心が移動していく延長線上に地面反力があるのが理想的」という特徴があります。

ピッチングでは、並進運動を続けてきた身体重心が踏み込み足からの地面反力によって突然「ブロッキング」されることによって、上半身が「慣性の法則+末端加速の法則」に従って急加速します(=急ブレーキをかけた電車のなかに立っている人が、頭部が急加速するようにして進行方向に放り出されるのと同じ)。

 

バッティングの場合は「踏み込みの際、地面反力と身体重心との間にある程度の距離がある」ことが特徴でしたが、ピッチングではむしろ「踏み込みの際、地面反力と身体重心とが近いorほぼ完全に一致する」ことが望ましい(特にオーバースローの投手)と考えられます。

「ピッチャーには強靭な下半身が必要だ」と昔から言われていますが、実際その通りです。並進運動してきた身体重心をしっかりと一発でガシッと受け止めるだけの下半身の強さが必要です。小難しい話をしなくても、「一日150スイングの身体的なきつさ」と「一日150球を投げる身体的なきつさ」を比べてみればすぐにわかる話です。

 

 

…つまり、バッティングとピッチングは「並進運動→回転運動」という様式自体は同じなのですが、「並進運動を回転運動に変える方法」「地面反力と身体重心との関係」が異なるのです。

ピッチングでは「身体重心が描く軌道の(ほぼ)延長線上に地面反力がぶつかる」のに対して、バッティングでは「身体重心と地面反力との間に、ある程度の距離がある」というわけです。

 

 

★バッティングとピッチングの違い まとめ★

大雑把に回転様式の違いをまとめると、バッティングは「身体重心に対して、地面反力がすれ違うように作用した結果、回転運動が起きる」。以下の図のようなイメージです。念のためですが、①と②がまったく同時に起きるわけではありません。①が先で、②が後です。

ピッチングは「身体重心を地面反力によってブロッキングすることで並進運動に急ブレーキをかけた結果、慣性の法則と末端加速の原理に従って(=急ブレーキをかけた電車の中にいる人は頭部が急加速するようにして倒れる)、上半身が急加速される」のだと言えます。

https://twitter.com/m42jp/status/740873651222765568

 

なお補足ですが、ピッチングとバッティングでは「並進運動の重要性」も違います。

打者はけっこうノーステップ打法(並進運動がほとんど起こらない)で打つ人がいるのに対して、ピッチャーでノーステップ投法を採用する選手はいないですよね?

 

要するに、「ピッチャーのほうが、並進運動が大事」なのです。

原理的に考えれば当然です。

ピッチャーの投球の原動力は「並進運動をブロッキングした結果、急ブレーキがかかった電車の中の人のように、慣性の法則+末端加速の原理で上半身が加速すること」なのですから、そもそも並進運動のスピードがなければお話しにならないのです。

聞いたことがある人もいると思いますが、ピッチャーは助走を付けて投げるだけで球速がグンと上がります。これもやはり、助走をつけることで並進運動の速度が上がるからです。その速度が上がった分だけ上半身の加速度合いも上がりますから、球速も当然上がります。

それに対して打者はほとんど並進運動をしなくても、踏み込み足の地面反力で身体を回転させるだけである程度打ててしまいます。

 

この「並進運動の重要性の差」も、知識として知っておきましょう。

 

言いたいことその2:身体重心はどのような軌跡を描くか?

バッティングの場合:身体重心はどういう軌跡が理想なのか?

気になっている人は気になっていると思いますが、

「じゃあ結局、バッティング・ピッチングでは、身体重心ってどういうふうに動くんだろう」

と思いませんか?

 

バッティングにおける私なりの「理想の身体重心の軌道」を考えてみました。

その条件は、真横から見た場合2+投手側から見た場合2で、4つあります。

 

①真横から見た場合:身体重心は、打者の真横から見て「構え:低 → 足上げ時:高 → ステップ後:低」へと位置を変える。

最終的には、インパクト時に「前脚ー身体重心ー頭部が一直線をなす」のが理想。

https://twitter.com/sevenislandsz1/status/925120732769558528

 

②投手側から見た場合:並進運動時は、「捕手側から投手側へと、蛇行する曲線ではなく直線に近い軌道を描くようにして移動」していく。前足接地後は、「前足の地面反力との間の距離が、長すぎず短すぎずで最適化されている」こと。

 

ちなみに、図の上側のモデル(アーロンジャッジ)の続きはこうなっています。参考までに。

 

明日は「ピッチングのときに、身体重心はどのような軌跡を描くか?」というテーマと、

ようやく本題の「ピッチング・バッティングの身体重心移動と、三関節直列+トリプルエクステンションの関係」についてお話しします。

では、また明日。

 

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