バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 前編

   

バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 前編

「バタバタ・ぎこちないフォームの人」「美しくないフォームの人」は、だいたい重心移動の軌道がおかしい

重心移動が ①上下左右に向かって蛇行している人 ②不要なブレーキをかけてしまっている人は、意外と多い

バッティングもピッチングも、基本的には

「重心をできるだけまっすぐに(直線的に)移動させていき、そこから一気に回転運動へと持っていく」

という要素がメインとなります。

 

身体重心とは、「身体の各部分に対してはたらく重力の総和を代表する一点」です。

 

身体重心には、

「物体が並進運動・回転運動するときの中心である=要するに、運動するときの中心となるのが身体重心である」

という性質があります。実際、水泳の飛び込みの映像などを見ると、「身体重心を中心に身体が回転していること」がはっきりとわかります。

 

 

人体は全体としては固体だとみなせるので、

「ある人がある姿勢をとっているとき、かならずどこか一点に身体重心が存在する」

といえます。

通常、気を付けをした場合はへその下に身体重心があります。身体重心は姿勢によって位置が変わり、身体の外に出ることもあります。

 

この「重心移動のやり方」というのは多くの打者・投手にとって盲点となっています。

 

たとえば、バッティングで重要な「軸足股関節の鋭く深い内旋」にしても、

重心移動の方法が適切でなければ、とたんにやりにくくなります。

 

あるいは、ピッチングで重要な「並進運動の速度を高める」ことに成功しても、

肝心の重心移動のやり方がめちゃくちゃだと、踏み込み足でうまく地面を捉えにくくなったりします。

 

「重心移動がきちんとまっすぐできているか」

「重心移動に不要なブレーキをかけていないか」

この二点は、より高いレベルへと挑戦したい投手・打者が磨きをかけねばならないポイントであり、

ここを押さえているかどうかで相当な差が付くポイントでもあります。

メカニクスにある程度詳しい人でも、案外盲点になっているポイントです。

 

 

①上下左右に重心が蛇行しないこと。「なんか並進運動のかっこうがスムーズじゃない」投手・打者は要注意!

バッティングでもピッチングでも(そしてランニングでもフィールディングでも)身体重心は、なるべく「蛇行」させたくありません。できるだけ「直線的な軌道」を描いてほしいものです。

 

この「重心移動はできるだけ直線的にやるべきだ」というのは案外直感的に理解することができます。

「車をできるだけスムーズに加速させたい」とき、あなたはこの図のように蛇行させますか? それとも…

こちらの画像のように、直線をぶっとばしますか?

 

もちろん、車をスムーズに加速させたいなら、左右に蛇行させるのではなく、直線的にぶっ飛ばすべきです。

なぜなら、車が左右に蛇行すると、その分「エネルギー」と「速度」のロスが起きるからです。

 

左右に蛇行するのも、「上下」に大きくぶれすぎるのも、どちらもNGです。

100メートル走のランナーやマラソンランナーの走りを見てもらえるとわかりますが、

走っているときの彼らの身体重心は上下左右にほとんどぶれません。

 

逆に、身体重心が大きく上下左右にぶれすぎてしまうようなランナー・スプリンターは優れた成績は残せないともいえます。ランニングのスピードを上げるのに使うべきエネルギーを、重心の上下動や左右蛇行に浪費してしまうのですから。

一般的な感覚からしても、上下左右にフラフラ・ブレブレしながら走ってもスピードは出なさそうですよね?

 

まとめると、以下のようになります。

足を上げきったあとの並進運動のときに、身体重心が上下左右にブレすぎると、エネルギーロスが大きい

パターン1:上下にぶれすぎる…ランニングフォームが悪い人と一緒。上下にぶれると、そのぶんエネルギーロスが起こる

パターン2:左右にぶれすぎる…左右にぶれるぶんエネルギーロスが起こる。車を加速させるときに蛇行させるか? かならず直線で加速させるはず。

 

バッティングもピッチングも、うまい人は重心移動が直線的にできている

ではひるがえって、今度は「身体重心が直線的に移動している選手のフォーム」を見てみましょう。

まずはピッチングから。

足を上げることによって一度身体重心の位置が高くなります。

そこから並進運動を開始するのですが、並進運動の間、ホーム方向に向かってかなり直線的に重心移動できていることがよくわかります。

もう一丁。

今度は横から。並進運動のときに身体重心がスムーズに降りて行っていることがわかります。

 

今度は打者編です。

並進運動の距離が小さいのでピッチャーよりはわかりづらいですが、こちらもやはり足を上げきってからの並進運動では直線的に、蛇行させずに重心を移動させています。

 

おおざっぱにまとめると、

・構えたところからまず足を上げて、身体重心の位置を引き上げる(→位置エネルギーを確保する)。

・そこから並進運動を行っていく。このとき、身体重心は上下左右にぶれたり蛇行させたりすることなく、(ピッチャーはバッター側から見て、バッターはピッチャー側から見て)直線に近い軌道でスムーズに下ろしていく

わけです。

これを理屈としてわかっているのとそうでないのとでは相当な差が付きます。

 

実際に「身体重心のベクトルの向きはどこを向いているか?」という概念を使って考えると、いろいろなケースが説明できます。

 

・「身体重心がまっすぐホーム方向へ向かって出ていく人」は、並進運動のときに軸足(特にインエッジ)で地面をガッチリと押さえて、身体をグッと加速させることができます。並進運動もスムーズです。正統派の投手に多いタイプです。

これについては以下の動画がわかりやすいでしょう。

もちろん、「身体重心というのは姿勢によって変わる」のですから、

「グラブ側の手でうまくバランスをとることや、振り出し足(フリーフット)や体幹部をうまい位置に置いておくこと」

も必要です。

 

逆に、たとえば「右投手で、身体重心が右打者方向へと向かっていく投手」は、以下の2つの選択肢のどれかを選ぶことになります。

①うまくいけば、DeNAの山崎康晃投手やキンブレル投手のように、インステップしつつもうまく身体をタテに使って、威力と角度のあるボールを投げることができる(もちろん、胸郭の柔軟性・体幹や下半身のスペックがかなり必要になる)。

②うまくいっていないケースだと、

「腕が横振り&肘がつぶれながら出てくるため、肩や肘に負担がかかる」

「インステップで、前足に乗り込みきれない」

「並進運動のときに、上半身が勝手に突っ込み→投げた後に三塁側に身体が流れるor後ろに体重が残りすぎる = 要するに、ギッコンバッタンした投げ方になる」

「ボールの回転がスライダー気味になる」

といった症状に悩まされる。

 

→②については、実際にその場で立ってみて「身体重心の移動方向を利き手側へわざと向けてみる」と実感しやすいでしょう。

②を手っ取り早く修正するには「身体重心の移動方向をグラブ側に変え、思い切ってお尻からアウトステップしてみる」といった即効薬があります。いきなり大げさに変えるリスクは高いですが、遊び感覚でやってみる価値はあります。「あっ、こうすればスムーズに重心移動できるんじゃん」という感じで何かを掴めるかもしれません。

 

ただ、根本的な解決をするのであれば

A:「身体重心を感知する能力を高めるためのトレーニングを毎日継続して、身体重心がどこにあるかが本能的にわかるようにする」

B:「三関節直列状態を作って地面反力をもらいながらうまく身体重心をコントロールしつつホーム側へと押し出していって最後にトリプルエクステンションで勢いをつけ、押し出された身体重心を踏み込み足の三関節直列で受け止める」ための基礎的な動きづくりのメニューを徹底して行う

といった手段も使う必要があります。

 

※なお、①の「インステップしながらもうまく投げられる投手」になりたいのであれば、A・Bを実行するとともに「胸郭周辺と体幹部を柔軟に保っておくこと」「股関節外旋筋群の柔軟性を保っておくこと」「下半身と体幹に強靭な筋力をつけること」といった手段も補助的に用いていくと良いでしょう。並進運動の後半に「両側から壁にはさまれた狭い空間のなかで身体をタテにコンパクトに使うイメージ」です。

 

労力と根気は要りますが、AとBの方法を使えばほぼ確実に効果を出すことができます。

 

 

 


今日の分はここまで。

明日は、「②重心移動に対して、不要なブレーキをかけてしまっているケース」と「そもそも①と②を解決するためには、身体重心を感知するためのトレーニングが必要だよ」というテーマについて説明します。

 

 

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