野球の上達のために使えそうないくつかの法則…技術練習は「自動化」のためにある?

   

野球の上達のために使えそうないくつかの法則…技術練習は「自動化」のためにある?

野球に使えるものはすべて使おう。。

野球は人間がやるものだ

私は一時期、「人間の認知とか心理ってどうなっているんだろう?」と思って、心理学や認知心理学や脳科学あたりの本を読みまくっていたことがあります。

というのは、死ぬまでに「すべての学問と知識をぜんぶ理解しておきたい」「この宇宙のすべてを解明したい」という欲がもともとあって、それを達成するために一番必要なのは「人間がどのようにものをとらえ、感じ、考え、反応するか?」という知識なんじゃないか? とうすうす思っていたからです。

数学をやるのも人間の認知ですし、自分は世間や周囲の人や社会から冷遇されていると感じるのも人間の心です。哲学も言語学も、結局は人間の認知をもとにしてやっているんだから、それらの学問をすべて理解するためにも、まずは人間の認知について知っておきたいと思いました。それで、人間の脳とか心とか認知といったものについて調べていました。

 

そのときにいくつか、

「これ、野球に応用できるんじゃないかな」

と思えるような法則・原理を知りました。

 

よく考えてみると、野球もやはり「人間の認知」がもとになっています。

人間がボールを目で見て、身体を自分のイメージ通りに動かして反応し、

観客の歓声を聴いて、相手ベンチの様子を見てサインは何かを考えて…と、人間の認知能力がなければ野球はできません。五感を封じられたら野球はできませんし、脳死状態にある人は野球をプレーできませんよね。

 

野球に使える法則

前置きが長くなりましたが、今回紹介する法則は以下の通りです。

これらは「使える法則」ですが、逆に「使えない法則」?も。

これらの法則について、ひとつひとつ簡単に説明していきます。

 

法則1:野球の動作は「感覚と無意識」で攻略せよ。技術練習は「自動化」のためにある

私は、野球では

「いかにすべての動きを自動化するか? いかに意識に頼らないでプレーできるか?」

が大事だと思っています。

 

バッティングもピッチングもベースランニングもスローイングも、果てはチームとしての連係プレーもそうです。

自動化できなければどこかで必ずぼろが出ます。アウェー・ビジターでの試合の時や、緊迫した場面の時などは特にそうです。甲子園でよく「魔物」が出ると言われますが、あの魔物の正体は「練習の段階で自動化しきれていないこと」だと私は考えます。

たいていの高校球児にとっては緊張する舞台である甲子園で、相手の声援も大きくて、緊迫した場面…。自動化しきれていないプレーほど、ボロが出やすくなります。練習を適当にやることが多かったチームほど、そういう場面でやらかす確率が高まります。

 

そういえば最近、Twitterで秀逸な表現を見つけました。

「寝起きの状態で打席に立ってホームランを打つ」。

日々の練習は、「自動化」のためにある。

自動化が極限まで進めば、「ホームランは朝飯前」くらいの境地に達することもできるのでしょう。

 

法則2:学習効果の転移…地道なインプットを続けると確実に変化が訪れる

「ピザって10回言って」と言われて、

言われたとおりに「ピザ、ピザ…」と言った後、

「じゃあ、ここは?」とヒジを指す。

「ヒジ」と言いたいのに、つい「ヒザ」と言ってしまいたくなります。

「ピザ」の「ザ」を引きずるからです。

これが、「学習効果の転移」です。

 

野球にも使えますね。

たとえば、

「ドリル系のメニューをたくさんやったあとに、そのドリルでやった動きが入っているメニューをやる」

とか。

 

ドリル系のメニューをやった直後は特に感覚を掴みやすいと言えます。

体力面を考慮しても、「軽いドリルを多めにやる→実際に打ってみる→休みがてらドリルをやる→実際に打ってみる」といったサイクルが考えられますね。

 

法則3:「意識的にやっていたこと」は、慣れてくると無意識でもこなせるようになる

車の運転や自転車の運転は特にそうだと思いますが、基本的に人間は何事も「慣れれば簡単にできるようになる」生き物です。倒立も、逆上がりも、ハンドスプリングや四股などもそうです。慣れれば簡単にできます。

 

ということは、ドリルによって「意識的な動きの反復」をひたすら繰り返していけば、そのうち無意識でもできるようになると考えられますね。特にバッティングはこの方法がモノを言います。身体への負担が少ないドリル系のメニューをたくさんやればいいのです。

 

 

なお、「意識的にやっていたものを無意識的にできるようにする」の逆で、

「無意識でやっていたことを意識に上げる」こともできます。

 

ただしこの「無意識→意識」というルートが曲者です。

これまで無意識で自然にできていたことを意識に上げると、「頭が混乱してしまう」ことが多いのです。

 

野球の場合、たとえば「並進運動のときにボールを持った腕をどう持ち上げて、どうリリースまで持っていくか」といった、本来はほぼ無意識で行われるべき領域にまで意識を介在させてしまうと、俗に言う「投げ方が急にわからなくなる」ことがあります。指導者がよく「腕をこう上げて~」などとピッチャーに指導することがありますが、そこに意識を向けてしまうとイップスの原因にもなりかねません。

 

「意識をどこに向けるか」というのはとてもデリケートな問題なのです。

 

法則4:レミニッセンスの原理…週休2日は合理的?

「レミニッセンス効果」というものがあります。

コトバンクで調べてみました。

記憶改善現象。一般に記憶されたものの保持量は時間の経過とともに減少するが(忘却曲線),条件によっては学習直後よりも一定時間を経てからのほうが保持量が増加することがあり,これをレミニッセンスという。

 

要するに、野球の場合は

「たくさん反復練習をしたら、一度休憩を入れてみる」

という形になります。ぶっ続けは案外効率が良くないもので、適度に休息を挟むほうが実は効果的です。

 

体力面に余裕があるオフの日なら、たとえば「朝に100本バットを振って、昼には野球以外のことをやって、夜にまたバットを振る」なんてこともできるかもしれません。

大切なのは、「根性に任せてぶっ通しで練習している間にうまくなる」のではなく、「反復練習→休み→反復練習→休み」というサイクルを計画的に繰り返しているほうが上手くなる可能性が高いということ。

どうやら、たくさんやって休んでいる間に、脳のなかで運動についての記憶が整理されるようなのです。

 

小説家志望や漫画家志望・クリエイター志望の多い創作界隈では、よく

「アイディアが出なかったら、寝れば良い。寝て起きたらアイディアは勝手に出る」

という格言を聞きます。

私もよくレポートのネタやブログのネタが見つからないときにこの「困ったら、寝る」を使っています。

寝る前に「よし、これとこれについて考えておこう」とはっきり考えておいてからしっかりお昼寝や睡眠をとると、不思議とアイディアがひらめくのです。これに何度救われたかわかりません。

 

これも、ある意味ではレミニッセンス効果かもしれませんね。

 

この法則からすると、むしろ「適度に休みを挟んだほうがむしろうまくなる」わけです。

時間の単位こそ違いますが、最近話題になった「部活動に週休二日制を!」という動きも、ある意味理に適っているのかもしれません。大投手の桑田真澄さんが「彼女を作りなさい」「勉強をしっかりやりなさい」という意味のことをおっしゃっていますが、理屈から言えば確かにその通りなのです。

部活をやるときはしっかり考えながら意図のある反復練習を繰り返して、残りの時間は野球以外のことをしっかりやる。「休むのが怖い」という気持ちはわかりますが、真面目に練習し過ぎるとオーバートレーニング症候群にもなりやすいですし、視野を広く持ったほうが結局は上達も早くなるのです。

 

法則5:人間の意識的な並列処理能力には限界がある

あとは、

「人間が同時に高いクオリティで意識できることは1-2つ程度」

「一つのことにフォーカスしたらそれ以外は意識しにくくなる」

ということにも注意しましょう。

 

たとえば、「音楽を聴きながらトレーニングをする」のはまだ簡単ですが、

「数学の問題を必死に解きながら素振りをする」のは至難の業です。

 

これは野球の動作そのものにも言えることで、

「脚の動きと指の動きを同時に意識する」

といったことは非常に難しいです。

 

よくあるのが、指導者が

「お前の投げ方・打ち方はここが悪いから、しっかり○○しなさい!」

とアドバイスをしたはいいものの、そこにばかり気を取られてしまってかえって打てなくなる・投げられなくなるケース。

 

あるいは、部内に「怖い先輩」がいて、その先輩に送球するときにだけ

「暴投したらどうしよう。。。」

というほうに意識が向いてしまって、投げ方がわからなくなって、ついにはイップスになる、とか。

 

私は基本的に「○○しなさい!!」という形の指導が嫌いなのですが、その理由の一つがここにあります。

自分のプレーに集中したいのに、指導者が口を挟むとそっちにばかり意識が行ってしまうからです。

 

法則6:時間分解能の限界…あまりにも短い時間に行われることをリアルタイムで意識することはできない

人間は、

「ものすごく短い時間に行われること」

はまず認識できません。

 

たとえば、以下の映像ではよく見ると一枚のサブリミナルの絵が紛れ込んでいるのですが、初見で気が付く人はどれくらいいるでしょうか。

初見で、しかも通常の速度だとまず気づきませんよね。

 

野球でも同じで、たとえば

「投げる瞬間の指先の感覚」

「バットとボールが接触した瞬間の衝撃」

などをリアルタイムで適切に把握することは非常に難しいです。時間が短すぎるのです。神経伝達が間に合いません。

 

私たちは普段自覚しませんが、人間の認知というのは

「常に0.数秒遅れている状態」

です。

 

走っている車を見ているとき、車の実体は常に0.1-2秒程度の距離だけ先に進んでいます。

人間からすると「いまあの車はあそこにある」ですが、実際は0.1-2秒程度だけズレているのです。

もしも仮に、「ものすごく高速で走ってきた車にはねられる」としたら、私たちが「まだぶつからない、まだぶつからない、もう少しでぶつかる…」と思ったころにはもうすでにはねられているわけです。

 

というわけで、我々が「これは現実世界である」と思っているものは、実は現実世界ではありません。

私たちは常に「現実世界から0.1-2秒だけ遅れたもの」を知覚していて、しかもその遅延に普段は無頓着なので、あたかも「自分は今まさに現実世界をしっかりと把握しているのだ」と思い込んでいるだけです。

 

ちなみに、人間は「あまりにスケールが小さいこと」も意識することはできません。

たとえば、「人間の指は最小13ナノメートルの凹凸パターンを区別」できるという研究結果が発表されているようですが、逆に言うと13ナノメートル以下のものを人間が指を使って識別することは不可能、ということでもあります。

 

まとめ

今回紹介した法則は以下の通りです。

法則1:野球の動作は「感覚と無意識」で攻略せよ。技術練習は「自動化」のためにある
法則2:学習効果の転移…地道なインプットを続けると確実に変化が訪れる
法則3:「意識的にやっていたこと」は、慣れてくると無意識でもこなせるようになる
法則4:レミニッセンスの原理…週休2日は合理的?
法則5:人間の意識的な並列処理能力には限界がある
法則6:時間分解能の限界…あまりにも短い時間に行われることをリアルタイムで意識することはできない

 

これらの法則について知っておくだけでも、野球の上達速度が変わってくるはずです。

ぜひ、有効にお使いください。

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