ストレートに弱くなる練習、強くなる練習がある?

   

 ストレートに弱くなる練習、強くなる練習がある?

「トップハンド側の半身がしっかりと入っているかどうか」が一つの判断基準

速球に強い形、弱い形

何回か前の記事で、

「MLBだと、150km/hオーバーのファストボールであっても、少し甘く入れば、下位打線の打者でも軽々スタンドに運ぶ」

「それは、筋力とか体格云々の話ではなくて、ただ単に打ち方の問題である」

ということを書きました。

 

具体的に言うと、以下のようなポイントを押さえておくことです。

・右半身がしっかりと(トップハンド一本でのタイヤ打ちの形が目安)入っているか?

・耐衝撃性がどれだけ強いか(ボールの衝撃に対して強い状態・姿勢・関節角度などが用意できているか)

・ボールとバットの芯が重なり合うような軌道に入っている(直衝突・正面衝突・中心衝突)かどうか

 

・(余談:変化球のとき)ポイントが前になって右半身が使いにくい場合:「左肘がある程度しっかりと伸びた状態」かつ「ヘッドスピードが最大になるところ」で当たっているかどうか? 変化球の場合、最悪右手が離れてもホームランにすることは可能

 

…逆に、速球に弱くなる(=飛ばない・打球初速度が低い・右打者ならバックネットの一塁側にチップする・ポップフライを量産する)打ち方を考えることもできます。

 

一番わかりやすいのは「連ティー」の形です。

・振り下ろすようなバットの軌道

・捕手側の半身が入っていない(タイヤをトップハンド一本で打つときのような、衝撃に強い形になっていない)

・手首をこねくり回すような(インパクト付近で手首が返ってしまうような)スイング

ストレートはだいたい青い線通りの軌道で来ます。

タイヤ打ちの形と比べてみましょう。

ストレートを強く打ち返せそうなのはどちらでしょうか?

 

「アマチュア野球の場合、たいていの投手の投球内容は5割前後がストレートである」

ということを踏まえたうえで、どちらのほうが良い結果をもたらすでしょうか。

 

 

速球に強い形が自然と習得できる練習法

MLBの打者は容易に150km/hオーバーのファストボールをスタンドに放り込みます。

速球に強いか否かは、彼らが日常的に行ってきた練習法にカギがありそうです。

 

メジャーリーガーの練習法としてよく見るのは

・正面ティー(フロントティー)

・置きティー(ネットまである程度の距離をとって行う)

・軽く投げる試合前のハーフ打撃

この3つです。

 

正面ティーも、距離を長めにとる置きティーも、軽く投げるハーフ打撃も、やってみるとわかりますが、「トップハンド側の半身(右打者の右半身)がしっかりと入った形」ができていないと打球は飛んでくれません。これらの練習を毎日繰り返していくうちに、自然と速球に強い形が養成されていくのです。

 

なお、速球に強い形とは「ホームランを打ちやすい形」でもあります。

速球を強く弾き返せるなら打球初速度も高くなり、かつトップハンド側の半身がきっちりと入っていればおのずと打球角度も上がり、そのままホームランになりますから。

 

速球に弱い形を習得できる?練習法

逆に、速球に弱くなりやすい練習はどんなものでしょうか。

 

・良い音を鳴らすことを意識する素振り

・斜めからのティー

・連ティー

・高速のマシン打撃

 

それぞれについて、簡単に説明していきます。

 

「良い音を鳴らすことを良しとする素振り」について

 

実は「良い音を出すことを目的とする素振り」もまた、速球に弱くなる練習の一つだと思っています。

 

やってみるとわかりますが、

「ボトムハンドの脇を締めることによってヘッドを走らせないと、良い音は出せない」

「ボトムハンドの脇を締めつつ右半身を入れるのは、意識しないと難しい」

→「素振りの数をこなせばこなすほど、トップハンド側の半身を入れることがおろそかになりがち」

→「トップハンド側の半身を入れずに、ボトムハンドの脇だけを締めてヘッドを走らせようとしがち」

だからです。

 

「ボトムハンドの脇を締める」と「トップハンド側の半身を入れる」というのは意識的にやらないと両立しにくいのです。1スイングの強度も非常に高くなります

だいたいの人は、素振りを繰り返すことによって「ボトムハンドの脇を締めてヘッドを走らせる」ことだけに注意が向き、「トップハンド側の半身をしっかりと入れる」ことがおろそかになります。たくさん振る人、たとえば一日1000本素振りする人などはほぼ間違いなくそういう形になってしまいます。

そして、右半身をさほど入れずにボトムハンドの脇を締めてヘッドを走らせる…というのは「速球に弱くなる形」を作ることになります。先ほど紹介した「連ティーのようなスイング」になるからです。タイヤ打ちのような、トップハンド側の半身が入った打ち方とは対極です。

 

また、仮にその2つの条件=「ボトムハンドの脇を締めつつ、トップハンド側の半身を入れる」が揃ったとしても、確実性という点ではいまいちでしょう。

 

なぜなら、「ポイントの幅が狭くなるから」です。

ボトムハンドの脇を締めてヘッドを走らせるなら、「ボトムハンドの脇が締まり、右半身も入っている」という2つの条件が揃ったドンピシャのタイミングでとらえる必要があります。

具体的に指すと、この↓タイミングです。

写真・動画に出ているスタントン選手の他にも、B・ハーパー選手や、打撃練習・記録の節目でホームランを狙う時のイチロー選手や、山田哲人選手・王貞治さんなどはこのようなポイントでボールをとらえてスタンドまで持っていきます。

しかし、ホームラン競争や打撃練習ならともかく、実戦で時間的余裕の少ないストレートに対してそれができるでしょうか。ましてや剛速球を投げてくる投手を相手に。ストレートだけならまだしも、変化球も投げてきます。きわめてハンドアイ能力に優れる人ならこれでも高い率を残せるかもしれませんが、たいていの人には難しすぎる打ち方です。

 

 

しかし、私が推している「ボトムハンドの脇を空けてトップハンドで押し込むようなスイング」あれば、

①:ボトムハンドの脇が空いていて、トップハンド側の半身が衝撃に強い形で準備されている、捕手寄りのポイント

②:①よりも投手寄りの、ボトムハンドの脇が自動的に締まり、ヘッドが一番走るポイント

という2つの選択肢があります。こちらのほうが対応力が増すのはある意味当然のことです。

 

②で打球が飛ぶのは当然ですが、フィジカルさえ強化すれば、①でもホームランを打てます。バリーボンズ選手やミゲルカブレラ選手はそういう境地にいます。外人だからできると言われそうですが、きちんとトレーニングをすれば日本人でも十分可能だと踏んでいます。

 

「ボトムハンドの脇が締まり、かつトップハンド側の半身がきっちり入っているというドンピシャのタイミングでとらえる打ち方」

よりは、

ボトムハンドの脇をさっさと空けてしまってポイントをボール2-3個分くらい自分のほうに引き寄せ、その分トップハンド側の半身をきっちりと衝撃に強い形で準備しておくスイング」のほうが得策ではないでしょうか。フィジカルさえ強化すれば、平均打球速度・平均飛距離・確実性ともに上昇すると見込んでいます。

 

※注釈

なお、「ボトムハンドの脇を空ける打ち方」であっても、ポイントがたまたま前になったときは自動的にボトムハンドの脇が締まります。先ほど紹介した②のポイントですね。

 

また、ここまでで紹介してきた「ボトムハンドの脇を空けてトップハンドで押す」というのはあくまでも大まかな打ち方の話で、そういう打ち方をしている人でもコースや球種によっては(たとえば外角や緩い変化球)ボトムハンドの脇を締めて打ちに行くこともあります。逆に、ボトムハンドの脇を締めて打つ人でもコースや球種によっては(たとえば内角やインハイの速球)ボトムハンドの脇を空けて打ちにいくこともあります。

ボトムハンドの脇を空ける締めるというのは、あくまでも「傾向の話」であるということをご了解ください。そういう傾向が存在すること自体は確かです。

 

 

最後に、素振りについてもう一つ。

想像してみてほしいのですが、たとえばバリー・ボンズ選手のような打ち方は素振りで音が出やすい打ち方でしょうか?

有名な話ですが、バリーボンズ選手のエルボーガードは特注のもので、ボトムハンド側の肘をまっすぐに伸ばせない構造になっています。ボトムハンド側の脇はスイング中ずっと曲げたままです。

ですから、実は素振りというのは「野球の基本」でもなんでもなく、ただ単に「努力感」と「速球に弱くなる形」を求めて行うものにしか(結果的に)なっていないのではないか…というのが私の意見です。

 

少なくとも、メジャー仕様の「トップハンド側の半身をしっかり入れて、ボトムハンドの脇は空ける」という打ち方には素振りは適していません。むしろ邪魔です。メジャーリーガーの練習動画などを見ていても、いわゆる「素振り」はほとんどしていません。

素振りはアメリカだと「ドライスイング」と呼ばれているようです。ドライスイングは打席に入る前の意識づけとして行う選手はいますが、夜中まで熱心にブンブン振る選手はほとんどいません。「空振りの練習をして何になるんだ」という感じでしょうか。

 

メジャー仕様の打ち方であれば、手首が返るタイミングはなるべく遅くしたいのです。素振りで音を鳴らそうとすると手首の返しが必然的に早くなります。もしも素振りをするのであれば、トップハンドの動きを確認するなど、目的とする動きをインプットするために行うのが良いと思います。

 

「斜めからのティー」について

斜めからのティーは、トス角度の関係で

「(右打者なら)右半身が入っていなくても、ボトムハンドの脇を締めてポイントを前にして引っ張り込む」

という技が使えてしまいます。さらに、ティーネットがすぐ目の前にあるので、打球がそれほど強くないのに満足してしまうという勘違いも犯しやすい。落合博満氏も「斜めからのティーはファウルゾーンに引っ張り込んでいるのと同じ」だとして否定的でした。

斜めからのティーに関しては「打つ人の意識次第で、良い練習にも悪い練習にもなる」といったところでしょうか。やるのであれば、トスする人をなるべく正面に近づけて打つべきだと思います(ただ、それなら初めから正面ティーをする方が良いという気もします)。

 

漫然とやるのであればやらないほうが良いですし、そもそも

「斜めからのティーやるくらいなら、その時間使って置きロングティーとかコース別の置きティーやったほうが良くない?」

と思うケースが大半です。

 

連ティーについて

連ティーは、次々にボールが来るので、単純にトップハンド側の半身を入れる時間的余裕がありません。

もしもやるのであれば、

①一球一球しっかりと振り切れるテンポで、

かつ

②高めの速球をスタンドインさせるための「トップハンド側の半身をクルッと回転させるだけで打球に良い角度が付いて飛んでいく」というスイングを身に付ける

という目的でやったり、スイングの感覚修正やハンドアイ能力向上を目的にして行うべきです。

 

「たくさん振り込めば強くなる」とか「リストの返しを強くする」とか「軸を作る」といった目的はまったく合理的ではありません。

 

「高速マシン打ち」について

高速マシンも、「目慣らし目的」「軌道を頭に入れる目的」でバントや見逃しの数をこなすなら有用だと思います。

 

しかし、高速ストレートマシンを(木製バットで)打つというのにはデメリットもあります。

 

1.スイングが小さくなる。芯に当てることに集中するようになる

2.タイミングが取りづらく、しかも高速球だとトップハンド側の半身が入るだけの時間的余裕がない操作しやすく芯が広い金属ならまだしも、木製だと至難の業

 

というものです。要するに「高速マシン打ちをすると、手先だけで芯に当てて払うような小さいスイングになってしまいやすい」と考えています。

 

繰り返しますが、高速マシンの球を見ることは「目慣らし目的」では有用です。150km/hの球を一日50球くらいバント・見逃しするのであればむしろメリットのほうが大きいでしょう。

 

「まぐれ」で打ててしまうこともあるから勘違いしやすい

ざっくりとまとめます。

 

★やればやるほど「速球に弱い打ち方」になりやすい練習★

・良い音を鳴らすことを意識する素振り

・斜めからのティー

・連ティー

・高速のマシン打撃

 

↑こういった練習をすると、こういうスイングになる↓

・振り下ろすようなバットの軌道

・捕手側の半身が入っていない(タイヤをトップハンド一本で打つときのような、衝撃に強い形になっていない)

・手首をこねくり回すような(インパクト付近で手首が返ってしまうような)スイング

 

そして、こういう症状が出る↓

・基本的に打球が飛ばない

・ミートポイントの前後幅が狭い

・速球が逆方向のバックネット(右打者なら三塁側バックネット)へと飛んでいく

・ポップフライを連発する

・内野ゴロはぼてぼて

 

逆のアプローチのほうがはるかに効率的に上達できます。

★やればやるほど速球に強くなる練習★

・正面ティー(フロントティー)

・置きティー(ネットまである程度の距離をとって行う)

・軽く投げる試合前のハーフ打撃

 

↑こういった練習をすると、こういうスイングになる↓

・右半身がしっかりと(トップハンド一本でのタイヤ打ちの形が目安)入っている

・耐衝撃性が強い(ボールの衝撃に対して強い状態・姿勢・関節角度などが用意できている)

・ボールとバットの芯が重なり合うような軌道に入っている(直衝突・正面衝突・中心衝突している)

 

↓そして、こういう結果になる

・打球が飛ぶようになる(打球初速と打球角度の増大による、平均飛距離の伸び)

・ミートポイントの前後幅が大きく、対応力が上がる

・打ち損じが減る(特にストレート)

・ポップフライは激減する。フライになるにして、外野への良い感じのフライになる

・内野ゴロは速い打球で、かつトップスピンになる

 

日本では昔から、

「バッティングはね、難しいよ。一人の選手が一生かけて追究するものなんだよ」

と、いかにも職人技のように語る人もいるのですが、ただ単に自分でわざわざ回り道をしておいて「自分でバッティングを難しくしておいて、自分で苦しんでいる」だけのではないだろうかと思います。実際はもっとシンプルです。シンプルに打てば飛びますし当たります。

 

また、「メジャーリーガーの打ち方は真似してはいけない」とも言われますが、どう考えても一番シンプルで合理的で効果的な打ち方をしているのはメジャーリーガーです。バリーボンズ選手やミゲルカブレラ選手やジョーイボットー選手など、シンプルの極みです。

逆に日本人打者はわざわざ自分で反動を付けて目線のブレを大きくしてオーバースイングに…といった複雑怪奇な打ち方をしている選手も多いのです。逆に、「日本人打者の打ち方は真似してはいけない」と言いたいくらいです。

 

今日の論文

 

 

(後記)

最近生活リズムが2時寝→12時起きとかなり乱れていたので、今日で修正します。10時半寝→6時起き にします。

日光を浴びる時間が少ないのと、夜のトレーニングはなんとなく鬱っぽい感じがして嫌なのです。トレーニングはやっぱり朝にやるに限りますね。

 

では、また明日!

 

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