リア充とぼっち、将来勝ち組になるのは・・・ぼっち!? ―『内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える』(講談社+α文庫)のツボ

      2016/08/31

 

スマートフォンの圧倒的普及率を背景にして、ネット文化が日本の隅々にまで行きわたる時代がやってきました。

いまや電車の中、教室の中、家の中、トイレの中、いつでもどこからでも気軽に簡単に「インターネット」に接続できる時代です。そんなインターネットの恩恵と害毒をいちばん受けているのは、間違いなく「ぼっち」の方々でしょう。

o0350019811986635243ぼっちに対する世間の視線(イメージ)

たとえ現実では少数の友人しかいない人間であっても、直接顔を合わせるやりとりが必要とされないネット上では思う存分自分の存在をアピールしてヒーローになることができます。「ネット弁慶」と俗に言われる人々の中には、自分が現実の人間関係にうまく溶け込めないことを原動力にしてインターネットに打ち込み、時には数千万人のネット住民に向けて文字を使った大演説を繰り広げることができる人もいます。

ただしその一方で、いきおい「ぼっちタイプ」の人間がどうしても多いネット上の意見に毒されすぎてしまうと、現実の人間関係を構築するのに尋常ならざる悪影響(勝ち組負け組や、学歴の優劣、リア充とぼっちの区分など、余計な考えをするようになる)が出ることも確かではあります。

 

そんな「教室の斜め後ろあたりに座っていて、休み時間は寝ているかスマホでネットをしている、友だちの少ない人たち」に焦点を当てたのがこの「内向的人間のすごい力」です。

タイトルからわかる通り、この本では、いわゆる「リア充」でもなく、「人気者」でもない、ふだんは「大人しい人」と形容される「ぼっち」たちに秘められた能力が解き明かされます。

 

この本を読み終えるころには、「リア充はなんでもできるスーパーマンだから俺たちぼっちとは違うレベルの人間なんだ、ぼっちにできてリア充にできないことなんてない」という悲劇的な考えが間違いであることに気が付くでしょう。

 

当たり前のことではありますが、現代では見過ごされがちな事実です。

リア充にとって得意でも、ぼっちにとっては苦手なことがあるのと同様に、

ぼっちにとっては得意でも、リア充にとっては苦手なことがある。

 

すべての能力においてリア充が優れているわけがない。

 

 

この本の中では、次のような話題が取り扱われています。

・内向型人間とはどのような人々か?

・内向型として成功を収めた人々

・内向型人間にありがちなこと

・内向型人間に対する偏見

・外向型人間と内向型人間が衝突するケース

・外向型人間と内向型人間がうまくいくケース

・内向型人間が外向型人間として生きることができるケース

 

このリストで、「内向型人間」を「ぼっち」あるいは「コミュ障」などと置き換えて、同時に「外向型人間」を「リア充」と読み替えてみると、よくネットで話題になるようなテーマばかりであることがわかります。

人間が人間である以上、自分が「群れ」の中でどのような立場にあり、どのような役目を果たすことができるのかが気になるのは当然ということなのでしょう。

邦題も、「『ぼっち』が世界を変える」と訳した方が現代日本ではウケたんじゃなかろうかと思います。

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さて結びになりますが、この本の中でもっとも「ぼっち」を勇気づける意見で締めてしまいましょう。

 

内向型人間が淘汰されずに現代まで生き残ってきたということは、人類にとって内向型人間が不可欠な存在であることを示している。

もし外向型人間ばかりが生き残るようであれば、人類はスマートフォンも小説も存在しない、現在よりもっともっと低い水準の文明で生きる羽目になっていたであろう。

 

ぼっち万歳!

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