ピッチャー育成方針 ver.1.0 「パワーピッチャーを複数枚育てて圧倒的に勝つ」

ピッチャー育成方針 ver.1.0 「パワーピッチャーを複数枚育てて圧倒的に勝つ」 ★チームレベルでの方針 目指すべきなのはこれ。   「ストライクが取れて、球速のあるパワーピッチャー」を複数枚育て、 ケガさせないように・相手が対応しにくいように、継投でどんどん繋いでいく。   要するに、MLB方式。相手からすればこれが一番厄介なはず。 先発で良い投手が出てきて、攻略する前にサッと切り替わる。そこでまた良い投手が出てくる。3-3-3のリレー、あるいは5-2-2や4-3-2、6-3という継投で凌ぐ。相手投手が「完投してくれる」なら、良い投手でも終盤に何とか捕まえることもできそう(スタミナ切れや打者の慣れやクセ発見など)だけど、良い投手が次々に出てくると厳しい。   なぜ「ストライクが取れて、球速のあるパワーピッチャーを複数枚」なのかというと、 単純に考えて、   「球速がない」→打たれやすい 「ストライクが入らない」→ランナー多くなり、失点も多くなる 「一枚しかいない」→力ある相手だと途中で捕まる、ケガリスク上昇、相手が対策しやすい   なので、その反対をやる。 もっと具体的には   ・ケガしていない ・平均球速145km/h以上(抜いて投げる場合でも140km/h前後) ・ストライクが簡単にとれる ・複数種類の球種:ファストボールに加えて、「曲げ系の高速変化・落ちor抜き系の高速変化・球速が低く曲がりの大きいブレーキングボール」の3種類があると最高。 →たとえばMLBレベルだと「150km/h台後半のファストボール+140km/hちょっとのスラット+高速チェンジアップやスプリットなど直球と見まがう球種+曲がりの大きいスライダーやカーブ」という組み合わせの先発投手が多い。     まずはこのような投手陣を「育てる」ことを最優先する。 素質じゃない。きちんと鍛えればこの程度のレベルであれば誰でも達成できる。 そして、このような投手を育てられないと明るい未来はない。野球のレベルが上がってくると、パワーピッチャーが複数いないと安定しては勝てない。「エースと心中方式」では長丁場のリーグ戦・レベルの高い相手に対して結果を出すことは厳しい。 野球というのはルール上「攻撃=一点でも多くとる」「守備=一点でも少なく抑える」という両輪が揃えば勝てる確率がグンと上がる競技なので、一点でも少なく抑えるにはどうすればよいか、ということを念頭に置くと、↑のような結論になると思う。こういう投手を複数枚用意したい。     ・「ケガをしない」「ケガのリスクを最小限にする」ことが最優先。まず個人レベルで徹底する。一度ケガをすると数週間~長いと数年単位で響く。技術も肉体も停滞するし、後々響いてくる。やってしまったものは仕方ないが、チーム単位・個人単位でケガ・故障を最小限に食い止めるようなシステムを作ること。     ・野手⇔投手の行き来をスムーズにする。 特に人数が多くないチームは投手陣が薄くなりがち。投手陣の層が薄いと継投が使いにくいし、個々の投手への負担も増加。投手陣は多すぎるくらいで丁度いい。 枚数を揃えるには「現時点で投げ方が良い人を、鍛え上げる」のが最も手っ取り早いので、野手で良い投げ方をしている人は、積極的に投手もやってもらうようにする。 育成の難易度で言っても「野手のほうが投手よりもはるかに育てやすい」「ホームランや長打は簡単にコンスタントに打てるようになるし、守備や走塁の動きはマニュアル化して高速でインプットできるようにすればよい」のだから、良い投げ方をしている野手には「お試しでもいいから!」と投手をやってもらう。もちろん、その選手の肩肘への負担(特に、投手としての投球練習と野手としての送球とがダブルパンチになると球数がかさみやすい)も十分注意。 逆に、「肩肘に重めのケガをした投手」は、積極的に野手の練習もする。転向も考えてみる。ケガをしている投手というのは時間を持て余すものだし、そのまま放っておくとふさぎ込んでしまいがちだし、バッティングの筋がいいことも多々ある。ケガが治るまでバッティングをやってみるのもいいのではないか。もちろんけがの種類にもよるが、肩肘が痛くてもバッティングは痛みなしにできる、という場合も多いのである。本当に治らなかったら肩肘への負担が少ないポジションをやればいいし、治れば投手に復帰しても良い。 桑田真澄の常識を疑え! KUWATA METHOD ― 父と子に贈る9つの新・提言 ! posted with ヨメレバ 桑田 真澄 主婦の友社 2015-03-18 Amazon Kindle 楽天ブックス 図書館   ★個人レベルでできること ・結局、やるべきことを継続しつづけるだけ。 ・「毎日欠かさず続けること」を大切にする。やることやって、伸びるのを気長に待つ。   ・すでにある程度「投げる動作」がうまくできている人 →トレーニングすればわりとすぐ結果が出る。出力強化を優先するが、ケガのリスクは軽減しておく ・投げる動作にどこか致命的な欠陥がある人 →そのままトレーニングで出力を上げたところでケガするだけだし、投げ方がおかしいといくら頑張っても球速は出ないので、悪い言い方だが先は見えている。しかし、投げる動作の改善によって一気に球速が上がる可能性はある。   こういう投手の場合、「まずは<明らかにおかしい投げ方で投げ続けることによるケガのリスク>を軽減する」と同時に、 気長に「投げる動作の改善」に取り組んでいくのが良いと思う。焦って投げ込んでケガして役割を果たせなくなるのが最悪。 まずは「ケガのリスクが少ない≒球速が出る合理的な投球動作」を、じっくり身に付ける。「球速の出る合理的な投球動作は習得できるものである」「きちんとトレーニングして、ケガのリスクを最小限にしておけば、誰でも140km/hは出るものである」ということを理解する   ・また、ケガを防ぐには「出力を圧倒的に高めておいて、あえて抜く」という手もある。ダルビッシュ有投手がウェイトの効果を聞かれた際に「今までは100%で150km/hだったが、ウェイトをやってからは抜いても150km/hを投げられるようになった」という趣旨の発言をされていたが、やはりMAX(キャパ)が大きければ大きいほど、手を抜いたときのレベルも高くなる。 100メートルを10秒で走れる人にとっては15秒で走ることは簡単だが、MAXが15秒の人にとってはきつくなる。ケガのリスクも上がるだろう。そうなると、「本当は150km/hオーバーできるけど、あえて141-2km/hくらいに抑えておく」のは、常時150km/hを全力で投げ続けるよりも安全なはずである。 こういった理由から、(投げ方に特に不合理な点がない投手の場合に限るが)ケガを防ぐためには「出力アップ」が有効である、と考えている。 野球×統計は最強のバッテリーである - セイバーメトリクスとトラッキングの世界 (中公新書ラクレ) posted with ヨメレバ データスタジアム株式会社 中央公論新社 2015-08-06 Amazon Kindle 楽天ブックス 図書館   ★ピッチング・スローイング系 投動作そのものの練習①低負荷、遊び感覚 意外と 「投げるという動作そのものを、遊び感覚で、低負荷で、練習する」 ということを意識的にやっている選手は少ないのかなと思う。 毎日のメニューをみても、キャッチボールをやって、ブルペンに入って、トレーニングして、おしまい…という選手が多い。   しかし、初めて自転車に乗れたときのように 「遊びのなかで、ポン、とできるようになる」 というのを何回か繰り返していけば、投球動作そのものの完成度も驚くほど高まると思う。   いま150km/hを超える剛速球を投げる人にしても、「何個かの大切なコツをつかんで」かつ「致命的なケガをしなかった」からこそ、速い球を投げられるようになったのだと思う。はじめてボールを握っていきなり剛速球を投げられる子供はいないはずである。 この「コツつかむ」と「ケガしない」を両立するためには、「投げるという動作そのものを、遊び感覚で、低負荷で、練習する」ことが必要だとも思う。高負荷のピッチング練習ばかりしていてはケガのもとである。     ・肘投げ:肘から先・体を前後に揺らす動きを使って投げる ・肩投げ:肩よりも上だけを使って投げる ・捻り投げ:体幹から上だけを使って投げる ・右足右手投げ:右投げの人は右足を出しながら投げる …ここまでの4つは、「子どもが投げる動作に習熟するまでのプロセス」でもある。投げ方がおかしい人は、その「投げる動作への習熟」というプロセスをきちんと毎日なぞりなおすように練習すべきだと考えている。   ・真下投げ:https://www.youtube.com/watch?v=Snh4sHCnPdk&t=116s ・サイドスロー:サイドスローでボールを投げる。ムチを振るように指先を加速させるイメージを掴む ・アンダースロー:アンダースローでも投げてみる。 ・キャッチボール:いろいろ試しながらやる。「動きを試してみる」とか「相手の胴体の中(ほぼストライクゾーンと同じ広さ)に投げる」など   ・ドッジボールorハンドボール投げ:野球のボールじゃないものを投げてみる。投げるという動作そのものの上達 ・バレーボールスパイク:投げる時の腕の動きと同じ。 ・バドミントンのスマッシュ:投げる時の腕の動きと同じ。 ・ジャベリックスロー:投げる時の腕の動きと同じ。 ・サンドボール真下投げ:重いものを投げてみる。 ・シャドー:特に「グラブ側の腕の使い方」や「下半身の使い方」を重点的に。実際にボールを持っていないので投球腕側の練習にはなりにくい プロ野球連続写真大鑑―1934ー2014 (B・B MOOK 1076) posted with ヨメレバ ベースボール・マガジン社 2014-07-02 Amazon Kindle 図書館   ピッチング ・ブルペン(打者無し):10分間で区切る。希望すれば延長可。10分ならだいたい40球投げられる。目的をはっきり持って短時間で済ませる。だらだらやらない。10球テンポよく投げて何球入るかを数える「10球ストライクチャレンジ」なども挟んでよい。  ただし、「実戦では必ず打者が打席に入っている」ということを考えると、バッピや打者付きブルペン・試合での登板などで経験値を積むほうが優先 ・ブルペン(打者有り):打者を立たせた状態で投げることも練習しておく。打者側の練習にもなる ・打撃投手:7割くらいで投げる。10分でだいたい60球くらい。「打者が入っている状況でテンポよくストライクを取り続けること」に慣れる。打者なしブルペンしか経験していなくていきなり試合で登板するよりはマシ   ・対戦 ・シート打撃 ・紅白戦 ・練習試合 ・公式戦   投げる動きそのものの練習②比較的高負荷 ・助走投げ ・ノーステップ遠投 ・大遠投:高い角度で投げる。45度以上のイメージ   球数制限について…チームとして「壊さない工夫」が必要。完投からの中1日先発とか、ブルペンで何度もorずっと作らせるとか論外。基本的には「継投」「ブルペンでの消耗度を最小限にする」「複数枚育てる」のがチームとしてやるべきこと。    枚数を揃えてフレッシュな状態で登板してさっさとつなぎ、球数は最小限に抑える。ピッチャーが足りないからしょうがない、じゃない。そもそも枚数を揃えるための方策を打ててなかった時点で負け。  個人でできる自衛策としては、全力投球と「抜いて投げる」を使い分けるなど。   ★身体操作と重心感知 ・四股 ・前転 ・後転 ・開脚前転 ・開脚後転 ・側転 ・立ちからのブリッジ ・ブリッジ歩き ・ランニング(砂地のトラックor凹凸が激しいところを、身体の感覚を研ぎ澄ませながら走る) ・跳ね起き(手あり、手無し) ・倒立(独り立ち・歩き・伸肘からの歩き50m) ・受け身(後ろ受け身・横受け身・前受け身・前回り受け身) 豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品 posted with ヨメレバ ジェフ・パッサン ハーパーコリンズ・ ジャパン 2017-03-07 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 図書館   ★ローテーターカフ・肩肘保護・胸郭・体幹のトレーニング ローテーターカフ …アウターマッスルと連動させながら、上腕骨を安定させるという機能を果たさせながら動かして鍛える。ローテーターカフを疲労させる・筋肥大狙いで高負荷をかけるのは慎重になるべきだと思う。「単独の筋肉に効かせる」のは、野球の動きの理想である「特定の筋肉に負荷をかけないで動く」の対極にある。その観点から、連動させながら鍛えることができるライイングアウター・ライイングインナーなどを特に推奨。 ・エクスターナルローテーション(外旋・棘下筋) ・インターナルローテーション(内旋・肩甲下筋) ・30度レイズ(棘上筋) ・インクラインリアレイズ(三角筋後部) ・肩甲下筋チンニング ・キューバンプレス   ・ライイングアウター ・ライイングインナー   肘から先 ・綱登り…上腕筋。肘の保護 ・リバースアームカール…上腕筋。肘の保護 ・指トレ…2-3kgのボールを指先でつまんでは離す。経験的に良いとされているが、効果が出るのかどうか・効果が出るメカニズムなどは不知   胸郭 ・ブリッジ ・スタンドトゥスタンド ・ブリッジ歩き ・ウィングストレッチ ・ぶらさがり(順手、逆手、大逆手) ・キャットバック ・倒立(壁、パタパタ、屈伸、壁から独立、倒立歩き、静止、腕立て、伸肘) ・うんてい ・オーバーヘッドベンド ・体幹側筋ストレッチ   前方斜めサブシステム …右投げの場合、「左内転筋・左大殿筋・左腹斜筋・左ハムストリング」などが協働しながら、踏み込んだ足の膝を基点にして骨盤を回転させる。コントロール向上のためにも重要。ちなみにバッティングでも使われる。 ・ロシアンツイストwithハサミ ・ベンチサポーテッドもも上げ ・ノーステップスロー ・真下投げ   体幹強化 …主に腸腰筋。腸腰筋は上半身と下半身をつなぐ強力な筋肉。   ・ロシアンツイストwithハサミ ・ハンギングレッグレイズ ・エアウォーク ・ブリッジ ・対角上げ下げ ・サイドプランク ・足上げて綱登り 野球における体力トレーニングの基礎理論 posted with ヨメレバ 中垣...

「投手と野手の体型の違い」について

「投手と野手の体型の違い」について シルエット・フィジカル強化の方向性は大分違っている 投手と野手の平均体格差について。投手のほうが身長も体重も高い傾向にある MLB (2013頃のデータ) 投手 188.9cm 94.7kg 捕手 184.3cm 95.3kg 野手 184.8cm 91.2kg ・野手に比べて投手のほうが、身長が5cmほど高い ・捕手を除く野手に比べて、投手のほうが、体重が3-4kgほど重い   NPB (2013頃) 投手 180.4cm 81.3kg 捕手 179.1cm 83.0kg 野手 178.0cm 80.2kg ・野手よりも投手のほうが身長が高い ・体重は野手とほとんど変わらない。捕手より2kgほど軽い   ・・・というわけで、基本的には野手よりも投手の方が ・身長は高い ・体重も重い傾向にある と言えそうです。   参考にしたもの NPBとMLBの平均身長調べた プロ野球選手、チーム別平均身長とMLBメジャー平均身長   投手と野手の体型差について。MLBの一流選手を例に さて、「野手よりも投手の方が、平均的な身長・体重はやや高い・重い傾向にある」と言えそうです…が、 「野手と投手は同じような体型をしている」 とは言えなさそうです。   というのも、基本的に 「野手は上半身が投手に比べてゴツく、投手は下半身が野手に比べて太い」 からです。   たとえば、以下の画像のような「上半身がめちゃくちゃごつい体型」の投手って、ほとんどいないですよね? (https://www.youtube.com/watch?v=BnB4fC5Q_vkより) (https://www.youtube.com/watch?v=Cvo_u_nOD6Uより) (https://www.youtube.com/watch?v=x3wNEVKl_60より) (https://www.youtube.com/watch?v=f8znCR2RXY8より)   投手の体型といえば、一般的にイメージされるのは ・腕や肩まわりにはあまり筋肉が付いていない ・その代わり、お尻を中心とした下半身や体幹・胸郭は分厚い&がっちりしている というものでしょう。細身の投手であっても、お尻は大きいものです。   二刀流の大谷翔平選手は、どちらかといえば投手の体型ではあります。 そもそもの根本的なサイズ感が大きいというのももちろんありますが、 腕や肩まわりが野手のようにごついというわけではありません。 (https://www.youtube.com/watch?v=IFYyelriuAIより)   では、なぜこのような 「野手→上半身がごつい・下半身はそれに比べるとさほど太くない」 「投手→下半身と体幹が分厚い・上半身(特に腕と肩)は比較的ほっそりしている」 という違いが生じるのか?   簡単に説明します。   プロ野球連続写真大鑑―1934ー2014 (B・B MOOK 1076)posted with ヨメレバ ベースボール・マガジン社 2014-07-02 AmazonKindle ...

簡単に良くなるのは「走塁→打撃→守備→投手」の順だと思う

簡単に良くなるのは「走塁→打撃→守備→投手」の順だと思う 「走塁→打撃→守備→投手」 走塁が一番すぐ変えられる。打撃はその次に簡単。守備はやや難しく、投手の能力を向上させるのはかなり難しい 走塁は「意識の変化」が動きの変化に直結するし、意識そのものを変えることも簡単。だからすぐに変わる 野球において 「いちばん簡単に向上させやすいものは何か」 と聞かれれば、間違いなく「走塁」が一番に来るでしょう。   走塁でやることといえば、まずは 「リードの幅を大きくとろう」 「盗塁でスタートを切った後、一度ホームを確認しよう」 「ベースの回り方はこうしよう」 といった決まり事を作り、それを徹底すること。   「リードの幅を大きくとろう」と思ってなおリードを大きくできない人というのは基本的にいませんし、 「盗塁で一度ホーム方向を確認」というのも、かなり容易に習得できるクセです。   だから、走塁は本当に簡単に変わります。 徹底した意識づけさえすれば、1時間の間に相当な変化を起こせるのが走塁です。 機動破壊の解析力 健大高崎 強豪を撃破する99の攻略法 posted with ヨメレバ 田尻 賢誉 竹書房 2018-03-16 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 図書館   打撃も簡単。はっきり方向性を示してある程度時間をかければ簡単に変わる われらが某○○○大野球部のリーグ戦での打撃成績なのですが、 昨年と今年で大きな変化がありました。   去年の秋は、 10試合で「二塁打5 三塁打0 本塁打0→長打総数5本(本塁打は20試合に1本ペース)」。 ほとんど長打も出ず、貧打に喘ぎました。   これが、今年の春のリーグ戦では 10試合で「二塁打10 三塁打3 本塁打8→長打総数21本(本塁打は20試合に16本ペース)」 になりました。   「10試合で8本塁打はエグい!」という声も多く聞こえました。 ひょっとすると、国内にある国公立大学のなかで一番長打力があるかもしれません。   単純に考えて、たったの半年で長打総数は4倍、本塁打ペースは16倍になったことになります。 いきなり打つようになったので、「某○○○大どうしたの? 何かやったの?」という問い合わせ(?)を数多くいただきました。   打撃は、 「こうすればいいよ」 「そっちに行っちゃだめだよ」 という方向性はけっこうはっきり決まっています。   たとえば、「こうすればいい」というのは「ボールとバットの軌道を合わせる」「投球に対して平行な=地面から見ると少しアッパー気味にスイングする」「トップハンド側の半身(右打者なら右半身)をガッチリと入れ込んだ状態でインパクトする」「軸足の内旋を鋭くする」といったところ。 逆に、「そっちに行っちゃだめだよ」というのは「ダウンスイング」「振り下ろすようにスイングする」「トップハンド側の半身を入れ込まないでインパクトする」「軸足に体重を残す」といったところ。   その「そっちに行っちゃダメな方向」にさえ行かず、 逆に「こうすればいい」という方向さえきっちりと提示してやれば、 バッティングが悪くなることは基本的にないと思っています。   だから、バッティングを向上させるのはかなり簡単だと感じています。 とにかく「良い方向性」だけ示してやって、あとは放置でも何とかなります。 方向性さえ正しければ、早くて一日のうちに、遅くても数か月でほぼ確実に結果が出る…というのがバッティングです。 野球における体力トレーニングの基礎理論 posted with ヨメレバ 中垣 征一郎 ベースボール・マガジン社 2018-04-20 Amazon Kindle 楽天ブックス 図書館   守備はわりと難しい。ドリルの反復と、実際にある程度の数をこなすことが必要 バッティングに比べて守備の向上はやや難しい。   なぜなら、 守備の場合、「こうすればいい」はある程度わかっているけれども、 結果に反映されるまで辛抱がけっこう要るからです。   バッティングは、たとえば「この角度で打ちあげてごらん」「この角度で身体を回転させてみたらどうかな」といったアドバイスをすれば、5分で数十メートル最大飛距離が伸びることもあります。   しかし、守備に対して即効性のあるアドバイスというのはなかなかありません。 仮に「こうすればいい」というアドバイスをしたとしても、今度はそれを「自分のものにする」までしばらく時間がかかります。   ドリルも日々反復する必要がありますし、実打の打球も受ける必要がありますし、試合でもそれができるようになるまでしばらくの辛抱です。守備は、だいたい数か月~一年単位で良くなっていくものだと思っています。   投手の能力向上はかなり難しい。下手にいじると壊れたりおかしくなったりしやすい。投手の自主性にまかせるのが一番良い。気長に待つ さて、簡単に向上できるのは 「走塁≧打撃>守備」 という順番だということでした。   この3つに比べて段違いに難しいのが「投手育成」です。 投手育成の場合、やや特殊な事情があります。   ・そもそも「こうすればいい」というのが非常にわかりにくい。たとえば投げるリズムにしても、その投手の身体的特徴や感覚的な好みによってかなりばらつきがある。打者はかなり「理想の打撃」が想定できるが、投手が「理想の投球」を想定することは難しい ・下手にいじったときの損害・・・大きい。ヘタをするとイップスや大不調に陥る ・ケガのしやすさ・・・肩肘などをすぐ壊しやすいから、下手にいじれない ・感覚の繊細さ・・・他人に感覚を押し付けられるとほぼ間違いなく乱調する。   「投手のフォームをいじって良くなった試しがない」と感じる指導者も多いようです。 いろいろ考えあわせると、結局は投手が自分で研究して、自分で試行錯誤しながら地道に進んでいくのが良いのでしょう。   投手の成長というのは基本的には「数か月~数年」かかるものだ、と思っておきましょう。 プロ野球連続写真大鑑―1934ー2014 (B・B MOOK 1076) posted with ヨメレバ ベースボール・マガジン社 2014-07-02 Amazon Kindle 図書館 「言葉」があなたの人生を決める posted with ヨメレバ 苫米地英人 フォレスト出版 2013-08-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 図書館

「ストライクが入らない投手」について自分が思うこと その1

「ストライクが入らない投手」について自分が思うこと その1 結局投手が投げる目的は「相手を最少失点に抑えるため」であって、それ以上でもそれ以下でもない。良いピッチングをして注目されるためでもないし、ブルペンで気持ち良く投げることでもない へぼ投手あるある:自分で溜めて相手に掃除させる プロ野球だとそんなことは少ないと思うのだが、 アマチュア野球ではけっこう 「試合になるとまるでストライクが入らなくなる投手」 「出てくるたびに四死球を出しまくって試合をぶち壊す投手」 が存在する。   お恥ずかしながら、大学野球レベルでもそうである。 だいたい彼らの投球パターンは 「先頭打者を四球で出塁させる→バントで進塁→ヒットで一点」 と綺麗に点をとられるとか、もっとひどくなると 「四球出す→死球出す→ヒット打たれる→満塁になってにっちもさっちも行かなくなる→場合によってはそのまま押し出し→逃げ場がなくなって置きに行った球を長打にされて大量失点→降板」 というパターンにはまり込んでいく。   さて、野球の試合の「勝ち」の定義は 「試合終了時に一点でも多くとっているチームが勝ち」 なのだから、 攻撃陣の役割は「一点でも多くとること」であり、 逆に投手・守備陣の役割は「一点でも少なく抑えること」である。   この論理からすると、 「ストライクが入らない投手=四死球を連発する投手=相手打線の得点期待値をひたすら上げ続ける選択肢ばかり選んでいる投手 よりもひどい投手は存在しない と思う。   なぜなら、投手に求められる「相手を一点でも少なく抑えること」の真逆をやっているからである。チームの勝ちから一番遠いことをやっている、としか表現できない。 最新! ピッチングの科学 (洋泉社MOOK) posted with ヨメレバ 川村卓 洋泉社 2017-04-05 Amazon Kindle 楽天ブックス 図書館   ボール球を投げたくて投げているのではないことはわかるが、では「ストライクをとる練習」を毎日続けている投手がどれだけいるのか? しかし、どうやら 「投げたくてボール球を投げているわけではない」 らしい。   ストライクを投げたいのに投げられない…ということは、たぶん今までのやり方がどこか間違っていると考えるのが自然だと思う。   じゃあ、「ストライクファースト」のためには何ができるだろうか。   「ストライクファースト」のためのアプローチ そもそもストライクゾーンを感覚的に&論理的に把握できているか? 「ストライクを投げる」には、まず 「ストライクゾーンをはっきりと認識すること」 が必要だと思う。 ここをおろそかにしていると空回りするのではないか。   ルール上はこうなっている。 公認野球規則では、ストライクゾーンを「打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。 このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。」 と定めている。(wikipedia) ただし、実際はもう少し違った形になっている。   まず、高めはもっと狭い。 私の所属しているリーグだと、ベルトよりも一個以上上のボールはまず取らない。プロでもそうである。 逆に少年野球だと、すねの中間あたりまでストライクをとることもある。 また、左右の幅はメジャーリーグだと外角が広かったりする。逆に内角は狭いそうだ。   あるいは、カウントごとに、審判ごとに、審判の利き目ごとに、投手の印象によって、球種によって、打者の身長によって、フレーミングのうまさによって、ストライクゾーンは微妙に変わる。実は「ストライクゾーン」というのはルール上ははっきり定義されているが、その広さは場合によってまちまちなのである。   だから、試合でストライクを投げるために大切なのは 「とりあえずどんな審判でもここに投げておけばだいたいストライクだろう、というゾーンに投げられるようにしておくこと」 だと思う。これならはっきりしている。   具体的に言うと、 「左右:ベースをボール半個分かすめるところまで」 「高低:低めはひざの頂点をボール半個分かすめるところまで。高めはベルトの上端よりもボールの上端が少しもはみださない高さまで」 ここのゾーンの中に投げる練習をすることだと思う。これならたいていの審判はストライクをとってくれる…はず。   というわけで、以下「ストライクゾーン」はそういう意味で使うことにする。 公認野球規則 2018 Official Baseball Rules posted with ヨメレバ 日本プロフェッショナル野球組織 ベースボール・マガジン社 2018-03-23 Amazon Kindle 楽天ブックス 図書館   「本番になると突然ストライクが入らなくなる」投手のために 練習の方法が隙だらけ:目的は「<試合で>相手を最少失点に抑えること」 あなたのチームにも一人はいないだろうか。 「ブルペンでは良いのに、試合のマウンドに立つと突然ストライクが入らなくなる」 という投手。 全国にたぶん3万人くらいはいると思う。   そういう投手は、おそらく 「ブルペンでは気持ちよく、自分の投げたい球を投げている」 のだろう。全否定するわけではないが、こればかりやっているとどんどん「試合では」病が悪化するかもしれない。   たとえば、普段の練習でのブルペンでは、たいていの投手が 「次、スライダー!」→投げる→うまく決まらない→「もう一球!」→何度か繰り返す 「最後、ストレート! 決まったら終わりで!」→投げる→決まらない→「もう一球!」→何度か繰り返す こういう流れにしていると思う。自分の技術を追究するという意味では良いと思うが、「試合への対応」という意味ではウーンと首を傾げざるを得ない。   「試合」と「ブルペン」はあまりにも違いすぎる。   たとえば、ざっと挙げるだけでもこんな違いがある。 ・相手打者が立っている。強打者なら「打たれたら…」と思うかもしれないし、俊足なら「出したくないな…」と思うかもしれない。相手打者は雰囲気も独特だし、揺さぶりもかけてくる。 → ブルペンに打者は通常いない。いても味方の打者である。 ・審判のゾーンに合わせる必要がある → ブルペンに審判は通常いない。 ・試合展開からくるプレッシャー。ここで打たれたら逆転とか、三塁にランナーがいて暴投できないとか、走者がやたら揺さぶってくるなど。 → ブルペンにはそれがない。 ・投球一球一球の重み。試合で一球ボールになると「あれ?」となり、二球ボールが続くと「やばい!」と感じる投手が多いはず。→ブルペンではその重圧がない。 ・試合のマウンド独特の風景 → ブルペンからの風景と試合のマウンドからの風景は違う。注目も浴びる。グラウンドの片隅の目立たないところから、一気に注目の中心になる。 ・マウンドの掘れ具合や硬さや傾斜がブルペンと違う → ブルペンと同じはずがない。おまけに前に投げた投手の掘れ跡ががっつり。 ・相手のヤジ → ブルペンでのヤジよりも試合のマウンドでのヤジのほうがひどい。 ・相手校の応援 → ブルペンだとわりと他人事にできるが、試合のマウンドだとモロに受けることになる。 ・味方からの声かけ → ブルペンでは気楽だが、試合のマウンドになるととたんに頻度も圧力も高まる ・自分のなかの声との闘い → 試合のマウンドで「◎◎したらどうしよう…」と考え始める人が多い。いよいよ逃げ場がなくなる。 ・配球の違い → 投げたいボールを自分で決めることができない。基本的には捕手のサインに従う。ブルペンでは自分で決める。   さて、こういう「ブルペンと試合のマウンドとの違い」を考えてみると、 「ブルペンでは気持ちよく、自分の投げたい球を投げている」 投手が、 「ブルペンでは調子が良いのに、試合で急にストライクが入らなくなる」 のは、当たり前といえば当たり前だと思わないだろうか。   ひたすらバッピを買って出る。バッピをやってからブルペンに入ってみる そういう「試合になるとストライクが入らないブルペンエース」にうってつけの方法がある。   簡単なことで、「バッピを買って出る」ことである。 バッピとはもちろん「バッティングピッチャー」である。   バッティングピッチャーは以下のような条件で投げる必要がある。   1.打者が付いている。 2.ボール球に対するプレッシャーがある。 3.打者(他人)のペースに合わせて投げる必要がある。 4.7-8割くらいの力感でテンポよくストライクゾーンに投げ続ける必要がある。   毎日とは言わずとも、たとえば 「週三回はバッティングピッチャーとして登板する」 ようにするとか、 「キャッチボールを軽くやって、バッピで10分くらいポンポンと投げてから、ブルペンに入って2-30球くらいテーマを絞って投げる」 ようにする…といった練習方法をやっていけば、「試合で急にストライクが入らない」ということもかなり減るのではないか。投手のボールを打てるので、打者のほうも良い練習になる。 野球における体力トレーニングの基礎理論 posted with ヨメレバ 中垣 征一郎 ベースボール・マガジン社 2018-04-20 Amazon Kindle 楽天ブックス 図書館   たかがバッピ、されどバッピ そういえば、 「バッピをやると試合でもストライクがポンポン入るようになった」 「打者がどういう球にどう反応するかという経験値を得ることができた」 「10割の力でフン!と投げるよりも、8割の力感でポンポンと投げる方が打者は打ちづらい」 というのを聞いたことがある。   往年の大投手である稲尾和久氏のエピソード。稲尾氏は抜群のコントロールで知られた。 入団当初は注目された選手ではなく、監督の三原脩も「稲尾はバッティング投手(打撃投手)として獲得した」と公言していた。実際、島原キャンプでは中西太・豊田泰光・高倉照幸ら主力打者相手の打撃投手を務めており、口の悪い豊田からは「手動式練習機」とも呼ばれていた。この時、稲尾は各打者の打撃練習中に4球に1球ボール球を投げるように指示された(ストライクを投げ続けていると打者が打ち疲れてしまうため)。この4球のうちの1球をストライクゾーンのコーナーギリギリを狙って投げる練習をし、制球力を磨いた。キャンプ後半になると、投手として成長した稲尾の前に逆に打者が打ち取られる場面が増えたため、中西と豊田が三原に「稲尾を使ってみてほしい」と進言したという。(ウィキペディア)   ほとんど労せずストライクを投げるだけの習熟度に達しているプロの投手ならともかく、 「そもそも試合でストライクがとれない」 というレベルにあるアマチュアの投手は、週に2-3度はバッピに志願登板してみてはどうだろうか。   むしろ、「バッピがブルペン」くらいの状態になっても良いのではないか。 なぜなら、基本的に試合ではいつでも打者が打席に入っているわけだし、どのみちストライクがとれなければ自滅する運命にあるからだ。バッピならその両方をクリアできる。   このように考えていくと、さて、「打者を立たせない状態で投球すること」にどれだけの意味があるのだろうか。 せいぜい「本当に気になったところを集中的に修正する」ときくらいで、 「打者を立たせた状態で投げながらひたすら考え続ける」ほうがよほど試合に直結するのではないだろうか。   バッピは意外とバリエーションをつけることができる。 「変化球も投げるよ」と言っておけば、変化球の練習もできる。クイックで投げることもできるだろう。打者のほうからしても実戦に近い打席が欲しいのである。 また、バッピといっても肩がパンパンになるまで投げ続ける必要はない。一日10分くらいで切り上げればよい。球数は10秒に1球くらいだから、1分6球だとして60球。バッピの前に軽くキャッチボールで肩慣らしをして、バッピを10分くらいやって、それでも満足いかなければブルペンに入ったり遠投したり…というサイクルを習慣にしたほうが良いのではないか。   確か武井壮さんがおっしゃっていたことで 「体力が新鮮な状態で身に付けた技術は、まず本番では発揮できない。なぜなら、本番で体力が新鮮な状態というのはあり得ず、たいていどこかしら不調がある。だから、練習で、<万全ではない状態><ある程度疲れた状態>でもできる限りを出せるようにあらかじめ演習しておく」 という考え方がある。   常に「自分の意のままにならない状態でもストライクをとる練習をすること」。 これは、「ブルペンで気持ちよく投げるだけの投手」に一番足りていない要素だと思う。 ブルペンで気持ち良く投げれば投げるほど、思う通りにはいかない試合のマウンドとのギャップが大きくなる。     バッピを普段からやっておけば、試合でストライクを投げるのはかなり楽になるはずだ。まずは「ストライクゾーンに投げる」というアバウトなコントロールを身に付けること。アウトロー云々はそれからである。習慣的にバッピをやれば結果的にはコントロールもコマンド能力も向上するはずである。 ストライクさえ投げ続ける能力があれば、アマチュア野球で最も多いパターンである「四死球で自滅」は激減するだろう。   プロ野球連続写真大鑑―1934ー2014 (B・B MOOK 1076) posted with ヨメレバ ベースボール・マガジン社 2014-07-02 Amazon Kindle 図書館   「言葉」があなたの人生を決めるposted with ヨメレバ苫米地英人 フォレスト出版...

イン・アウト・高め・低めをホームランにするためのイメージについて

イン・アウト・高め・低めをホームランにするためのイメージについて ※個人のイメージです。効果には個人差があります 色々な情報を総合して考えてみた 色々な人の話や、上手い人の感覚や、打撃のメカニクスを勉強したりしているうちに、 「このコースってこう打てばいいんじゃね?」 「低めってこうやれば放り込めるんじゃね?」 というパターン集を作りたいな…と思うことが多くなってきました。 ある程度万人に通用する「ホームランマニュアル」を作れば、もっと多くの人がホームランを打てるようになるんじゃないかと。   そこで、作ってみました。 基本的に右打者を基準にしております。 野球における体力トレーニングの基礎理論posted with ヨメレバ中垣 征一郎 ベースボール・マガジン社 2018-04-20 AmazonKindle楽天ブックス ...

「フィジカル×動作×マインド=結果」という方程式

「フィジカル×動作×マインド=結果」という方程式 上達の方程式 上達の方程式:「フィジカル」×「動作」×「マインド」=「結果」 「もっとうまくなりたいけれど、何に力を入れればいいのかわからない…」 そんな悩みを抱えている選手はきっと多いはずです。   そこで、「自分には何が足りないのか?」「自分は何を強化すればいいのか?」を明らかにするための、わかりやすい式を考えました。 ★上達のための方程式★ 「フィジカル」×「動作」×「マインド」=「結果」   もちろんこの式は数学的に証明されているわけでもなんでもないのです(私が作っただけ)が、 しばらく自分のなかでこの方程式の使い勝手を試してみた結果、「なかなかええな」という結論になりましたので、今回の記事で詳しくご紹介します。 野球×統計は最強のバッテリーである posted with ヨメレバ データスタジアム株式会社 中央公論新社 2015年08月 Amazon Kindle 楽天ブックス 図書館   「フィジカル」「動作」「マインド」という言葉の定義 いちおう方程式という体をとっているからには「変数の定義域をはっきりさせておく」ことが必要なので、簡単に説明しておきます。   「動作」:実際に物理空間で繰り返し表現される競技動作のこと [youtube https://www.youtube.com/watch?v=7ey8ohqDwCw] …たとえば、バッティングやピッチングの動作、フィールディングやランニングやスローイングの動作など。 少し意味を狭めて「メカニクス」と言ってもいいでしょう。       フィジカル:その選手の身体面に関するすべてのこと。物理空間のこと全般を指す [youtube https://www.youtube.com/watch?v=M773LEiUUag] …筋力・筋量・体格・身体各部のバランス・身体各部の骨長・脳のコンディション・体調・病気・ケガの具合・身体操作能力・運動パターンのバリエーション・目と手の連携能力・目のスペック・走力・SAQ・力の立ち上がりの速さ・パワー・感覚の鋭さなど、とりあえず物理的なものすべて。 一般的な「フィジカル」という言葉よりもかなり広い意味で使っています。ただ一つ共通しているのは「物理空間に関連する」という点。       ・マインド:その選手の精神面に関するすべてのこと。物理空間よりも一段上のこと=情報空間のこと全般を指す 「バリー・ボンズ語録」 …ゴールの高さ・ハイレジリエンス(精神的な打撃に対する回復力が高いこと)、エフィカシーの高さ(ゴールを達成する自己能力の自己評価)・コンフォートゾーンの高さ・セルフトークの質・ブリーフシステム(信念体系。「男は○○であるべきだ」「野球部は坊主であるべきだ」など、本人が正しいと思っていることの集合体。価値体系みたいなもの)・学力・野球やトレーニングに関する知識の豊富さ・人生に対する哲学の完成度など、 「物理空間よりも一段上のこと=情報空間のこと全般」のことを指す。   一般的な「メンタル」とか「心」とか「精神力」といった言葉よりもかなり広い意味ですね。 ただ一つ共通しているのは、上記のマインドの例のどれも「物理空間よりも抽象度が高い、情報空間のこと」であるという点です。   (簡単に言うと、情報空間とは「物理空間よりも一段上にある空間のこと」です。たとえば、走っている車を『いまあの車はあそこを走っている』と指差したところで、実際には人間の認知には0.1-2秒の遅れがあるので、その車の実体はすでに0.1-2秒ほど先の地点に行ってしまっていますね? この「そこにあるように見える車」が人間にとっての物理空間で、「実際には先に行ってしまっている車」こそが情報空間だ、ということです。情報空間で起きたことがまずあって、天下り式に物理空間でもそれが表現されるわけです。要するに、情報空間を先に変えてしまえば物理空間にもそれが反映されます)   基本的にはこの3つ、「フィジカル・動作・マインド」を軸にして考えていきます。 この3つがきちんとバランスよく高いレベルで揃えば必然的に結果も出ますよ、 逆にどれか一つが極端に低かったり、3つとも低いレベルだったりすれば結果は出ようがありませんよ、と私は考えています。   「フィジカル・動作・マインド」のフローチャート…まず動作を伸ばす、そしてフィジカルで差が付く。マインドは終始重要 では、具体的にどのように 「フィジカル×動作×マインド=結果」 という方程式を使えばいいのでしょうか?   まず、たいていの選手は「動作」を改善することによる伸びしろがデカいですよね。 つまり、「今ある自分の身体を100パーセント使い切る」ということです。 身体は小さいけど飛ばせる選手・身体が大きいのに飛ばせない選手などがいる…ということを考えると、まずは動作から手を付けるのが得策です。 特に、日本人打者の場合は「軸足に残して振れ」「開かずに振れ」「インパクトの時に手首を返せ」といった明らかにおかしい指導を受けてきていることが多いので、そこの動作を改善してやるだけで相当即効的な効果が出ます。一日で飛距離が数十メートル伸びることもあります。 投手の場合はもう少し地道にやる必要がありますが、「つかんだら、早い」というのは共通です。     そうやって動作を改善して、「100パーセントを出し切ってもなお敵わない」なら、今度は「100パーセントそのものを引き上げる」しかない。 そこでフィジカルの強さが物を言います。 フィジカルを強化することによって、「100パーセントそのもの」を引き上げるのです。   よく出す例ですが、「175cm70kg、BIG3の合計が300kgの打者」と「三年かけて肉体改造して、175cm85kg、BIG3の合計が500kgになった打者」なら、動作やハンドアイ能力等さえ一緒であれば、まず間違いなく後者のほうが優れた打撃成績を残します。100%の水準がより高いレベルにあるからです。後者の7-80%が、前者にとっての100%となります。   つまり、「まずは動作で100%を目指し、それと並行しつつ、フィジカルで100%そのものを引き上げる」です。 ただし、フィジカルを鍛えるにはある程度の時間がかかるので、これは早めに手を付けたほうが良いでしょう。 数か月単位・一年単位・数年単位での計画が必要になってくるのですが、ものすごく身も蓋もない話をすると、「幼少期からの長期的な育成計画」すら必要になってくるかもしれません。一例を出すと、成長期の適切な栄養補給とトレーニングによって基本的な体格面(身長・体重)の向上が期待できます。   そしてマインドですが、これは「終始重要で、かつ最も時間がかかる」ものです。先ほど「マインドの例」で挙げたものを再び書いてみると、 ゴールの高さ・ハイレジリエンス(精神的な打撃に対する回復力が高いこと)、エフィカシーの高さ(ゴールを達成する自己能力の自己評価)・コンフォートゾーンの高さ・セルフトークの質・適切なアファメーション(夜と朝に唱える言葉)・ブリーフシステム(信念体系。「男は○○であるべきだ」「野球部は坊主であるべきだ」など、本人が正しいと思っていることの集合体。価値体系みたいなもの)・学力・野球やトレーニングに関する知識の豊富さ・人生に対する哲学の完成度など となります。   たとえば、ゴール(目標の高さ)を限界まで引き上げるのにも時間がかかり、エフィカシーの高さを上げるにも時間がかかります。セルフトークの質を上げるには長期間のアファメーションが必要です。ブリーフシステムを変えるのにもやはり時間がかかります。知識量が増えるのにもある程度の期間が必要です。 用語ばかり出して申し訳ないのですが、要するにマインドというのは「じわじわと向上していく」「最初から最後までくまなく重要」なものです。 きょうトレーニングに行くか行かないかを決定するのもマインドで、動作を改善するための情報を集めてくるのもマインドの役目ですから。日々の練習の質を決定するのも、フィジカル強化のスピードを左右するのもマインドです。「自分がどこのレベルまで到達したいか」もマインドによって決定されます。 コンフォートゾーンの作り方posted with ヨメレバ苫米地英人 フォレスト出版(株 2010年08月 AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo ...

球速アップしたい投手向け:「下半身・グラブ側の手・ボール側の手」の基本的な使い方について その1

球速アップしたい投手向け:下半身・グラブ側の手・ボール側の手の基本的な使い方について その1  シンプルに、シンプルに、シンプルに考える。徹底的に分析したうえで、あえてシンプルな原則だけに絞る 投手の基本的な下半身の使い方:軸足をパワーポジション(下肢三関節の直列と適度な屈曲)に入れて身体重心を運ぶ→軸足の伸展力発揮で身体重心を捕手側に加速させる。身体重心が踏み込み足の上に向けて移動するように。→踏み込み足の伸展力でブロッキング(ジャベリン型と日本型とがある)。→上半身と腕が急加速する。これはどんな投手でも共通。実際に画像と映像で確認してみよう! まずは、 「現代野球の優れた投手(=ケガ少なく、速球を安定して投げられる投手)に共通して見られる下半身の使い方」 を紹介します。   ・軸足をパワーポジション(=下肢三関節の直列と適度な屈曲状態。個々人で最適解が異なる)に入れて、身体重心を運ぶ。並進運動。 ・軸足の伸展力発揮で身体重心を捕手側に加速させる。並進運動の速度を稼ぐ。身体重心が踏み込み足の上に向けて移動するように押し出す。身体重心が上下左右に蛇行したり、自分で勝手にブレーキをかけないように注 (→過去記事:「バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 前編」「バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 後編」) ・押し出されてきた身体を、踏み込み足の伸展力で一気にブロッキングする(急減速させる)。ブロックの仕方にはジャベリン型と日本型とがある。ジャベリン型は左股関節が回転の中心になり、日本型は骨盤中央が回転の中心になる ・下半身の急減速によって、慣性の法則と末端加速の原理に従い上半身と腕が急加速する   以下、わかりやすく動画と画像付きで流れを追っていきましょう。   フェーズ1:軸足をパワーポジション(=下肢三関節の直列と適度な屈曲状態。個々人で最適解が異なる)に入れて、身体重心を運ぶ。並進運動。 日本の投手は、 「踏み込み足を上げるときに軸足を一度ピンと伸ばす」 人が多いですが… もちろん、軸足がこんなにまっすぐな状態なままステップして投げることはできませんね。 必ず、そこから軸足を適切な角度に曲げます。 このように、 「自分にとって一番体重を支えやすいような形まで、軸足を曲げる」 という動作が入ります。   MLBの投手だと、 「足を上げた時に軸足をある程度折ってしまう」 という方法を採用する投手も多いです。   別に日本人だからできない・欧米人だからできるという話ではなく、 「どういうタイミングで並進運動を開始するか? =並進運動を早めに開始するなら軸足を早めに折る必要があるし、足をしっかり上げきってから並進運動に入るのなら軸足ははじめは折らず伸ばしておくほうがリズムが合う」 という事情が絡んでいるのだと思います。   基本的にメジャーリーグの投手は軸足をさっさと折って早めに並進運動を開始している印象があります。   ただ、日本型とメジャー型、どちらのタイプにも共通しているのは   軸足をパワーポジション(=下肢三関節の直列と適度な屈曲状態。個々人で最適解が異なる)に入れて、身体重心を運ぶ。並進運動。   ということです。 当たり前といえば当たり前ですが、そうしないと下半身の力・地面から反ってくる力が使えません。   力というのは定義上「質量のある物体を加速させるはたらき」のことですから、 ざっくりいえば、下半身の力・地面から反ってくる力が大きければ大きいほど、質量のある物体である人体が加速される度合いも大きくなり、球速も上がる…というわけです。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=IFYyelriuAI] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=Dlg7-XZRRDU] 軸足をパワーポジションに入れたまま、身体重心をホーム側へと押し出していく。 もちろん、適切な時期が来るまでは、軸足がパワーポジションから外れてはいけません。 そして、「適切な時期=軸足が伸展力を発揮し終える時期」まで、身体重心を、先行し過ぎず残りすぎずの位置にキープしながら運んでいくこと。   これができると、「流れるような美しいフォーム」になります。 野球における体力トレーニングの基礎理論posted with ヨメレバ中垣征一郎 ベースボール・マガジン社 2018年04月18日 AmazonKindle楽天ブックス ...

野球選手がバッティング・ピッチングの理屈をある程度正確に知っておくことのメリット

野球選手がバッティング・ピッチングの理屈をある程度正確に知っておくことのメリット 「正確な知識とは何か」? → 自然科学の法則・身体運動の法則に沿った理屈のこと。 理屈を知っていれば、「目指す方向はあっちじゃね?」とわかる。または「あっちじゃなくね?」とも方向転換できる。 動作の理屈について知っておけば、 「自分はいったいどうすればいいか、という方向性がわかりやすくなる」 というメリットがあります。   たとえば、 「軸足股関節が内旋すると骨盤が回転する」 「スムーズに身体を回転させるためには、軸足からは体重が抜けていることが望ましい」 という知識を持っていれば、軸足の使い方についてあれこれ悩む必要性は減ります。 「内旋させればいい」のですから、わざわざ「外旋させるように軸足を使う」方向に行く必要性は薄く(これはおかしいよね、という確認くらいでしょう)、「体重が残りすぎているのはまずい」のですから、わざわざ「軸足に体重を残す」を実際にやる必要性は薄くなります。   もちろん、本人の感覚としては「軸足はその場に残しておくほうが打球が飛ぶ」というのはあっても構わないのです。そういった「<実際の動作>と<意識・感覚・イメージ>とのズレ」まで含めて、理屈として理解しておけばいいのです。 スポーツバイオメカニクス20講posted with ヨメレバ阿江通良/藤井範久 朝倉書店 2002年12月 AmazonKindle楽天ブックス ...

バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 後編

バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 後編 「並進運動と回転運動の中心は、身体重心である」という事実は動かせない! 前回のおさらい 簡単に前回のおさらいを。 重心移動で気を付けること①: 「足を上げきったあとの並進運動のときに、身体重心が上下左右にブレすぎる」と、エネルギーロスが大きい。だから、ピッチングでもバッティングでも、足を上げてからの重心移動はなるべく直線的になるようにするべきだ   また、補足として ・「軸足は<下肢三関節直列&下肢三関節の適切な屈曲度合いを保ったまま伸展力を発揮>し、ピッチャー側orホーム側に向かって身体重心を押し出していく」 ・「踏み込み足も<下肢三関節直列&下肢三関節の適切な屈曲度合いを保ったまま伸展力を発揮>することによって、軸足によって押し出されてきた身体重心を、ピッチングの場合ブロッキングする / バッティングの場合回転させる」 ・「ピッチングで球速を求める場合は、<踏み込み足によって伝達される地面反力が、身体重心の移動する線となるべく重なるように>身体重心を移動させてやる必要がある。バッティングではむしろ身体重心と地面反力との間の距離を適度にとったほうがよい」 このあたりも押さえておきましょう。 もう少ししつこく説明すると、バッティングとピッチングの大きな違いは… ・下半身の筋力がどれくらい重要か? → ピッチングでは本当に重要だが、バッティングでは最悪それほど無くても良い。打者と投手の体型の違いを考えるとわかりやすい。投手は下半身がガッチリしているが、打者は上半身に比べて下半身はそれほど太くないことが多々ある ・回転運動が起きる瞬間の、身体重心と地面反力の距離。つまりモーメントアームの長さ。ピッチングではモーメントアームが短い。短いと回転運動には大きな力が必要だが、力さえあれば高速で回転運動を起こせる。それに対して、バッティングではモーメントアームが長い。長いと回転運動は小さな力で起こせるが回転運動の速度自体は鈍くなる。ただしバッティングではバットという棒を手の先に持つため、身体の回転速度はそれほど速くなくても、バットという道具をうまく加速させれば良い。 ・「移動してきた身体をブロッキングすることによって、上半身+腕が慣性の法則&末端加速の原理にしたがって打者方向へと投げ出される」ことがあるかないか。ピッチングでは上半身が打者方向へ大きく倒れる(特にジャベリン型と言われるフォームではそれが顕著)が、バッティングでは上半身はその場で回転するだけ。 このあたりにあります。   正確に言うと私の単なる持論なのですが、たぶん大筋は間違ってないはずです。   さて、今回の記事では「重心移動に対して不要なブレーキをかけてしまっているケース」について説明します。 野球における体力トレーニングの基礎理論 posted with ヨメレバ 中垣征一郎 ベースボール・マガジン社 2018年04月18日 Amazon Kindle 楽天ブックス   ②重心移動に対して、不要なブレーキをかけてしまっているケース 「重心移動に対して、不要なブレーキをかけてしまっているケース」は、2つあります。 Aは正常というか合理的で、BとCは不合理なものです。   A:身体重心が適正に移動しているケース B:身体重心が先行しすぎているケース C:身体重心が後ろに残りすぎているケース   このA-Cはピッチングでもバッティングでもおおむね共通です。   A:身体重心が適正に移動しているケース まずは、正常というか適正なケースを。 ここでいう「適正」とは、「軸足によって獲得される地面反力を使って、身体重心をスムーズにピッチャー側orホーム側へと押し出していける」状態のことを指します。   適正かどうかは、 「並進運動を真横から見た時に、骨盤・背骨が過度に傾きすぎていないこと」 「並進運動を真横から見た時に、軸足の三関節直列+屈曲姿勢が崩れていないこと。軸足が早期に外側に割れすぎたり、早期に内側に折れすぎたりしないこと」 「単純に、打撃or投球フォームが印象としてぎっこんばったんしていないかどうか」 あたりが判断基準です。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=IFYyelriuAI] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=8A0vDUsdV2s] 身体重心が適正に移動している場合を例えると、 「スムーズに発進し、しっかりと加速して(並進運動)から華麗なドリフト(回転運動)を決める車」 のようなものです。無理なく高いパフォーマンスを発揮できます。   posted with ヨメレバ Amazon Kindle   B:身体重心が先行しすぎているケース 「思うように球速が上がらない…腕も振れない…」 「なんかバッティングのときに強いスイングができない…」 という感覚に悩まされている人は、もしかすると 「身体重心が先行し過ぎている」 のかもしれません。   以下の動画を見てみてください。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=7kauezWxTbw] 「身体重心が先行し過ぎ」とは、具体的にはこういうフォームを指します。 身体重心が過度に先行するフォームだと、以下のような症状に悩まされることになるでしょう。   ・ぎっこんばったんした印象になる(一度身体重心が突っ込んでから引き戻すようなフォーム) ・肘がつぶれる ・外目から見て回転運動がなんだか鈍い ・気持ちよく腕が振れない ・思い切りバットが振れない ・踏み込み足に体重が乗らない・乗っている感じがしない ・踏み込み足がバタバタする   このあたりに心当たりのある選手は、「身体重心が先行し過ぎ」の可能性が高いです。 身体重心が先行し過ぎということは、 「急発進しすぎて焦り、あわててブレーキを踏んでかっこわるいドリフトをする車」 のようなものです。   身体重心が先行し過ぎると「軸足の三関節直列&屈曲姿勢からの爆発的な伸展力発揮→身体重心のピッチャー側orホーム側への押し出し」が不十分になります。 軸足による身体重心の押し出しが弱い場合、バッティングならまだ取返しがつく(踏み込み足をうまく使えばある程度ごまかせる)のですが、並進運動の速度が重要であるピッチングだとまずカバーしきれません。↑に挙げたような症状に悩まされる可能性が非常に高いです。   C:身体重心が後ろに残りすぎているケース 「先行し過ぎ」とは逆に、「身体重心が後ろに残りすぎているケース」もあります。   ・軸足が早期に内側に折れすぎている ・軸足の内旋が鈍い ・下半身の頑張り感のわりには球速が出ない・打球が飛ばない ・並進運動のときに肩のラインを捻りすぎる(投打共通) ・打ち終わった・投げ終わった後に軸足がその場に残りすぎる ・バットがとっさに出てこない   このような兆候があったら要注意。身体重心があまりにも後ろに残りすぎなのかもしれません。 車で例えると、 「そもそもあまり加速しきっておらず、そのせいでドリフトの回転も鈍くなる車」 のようなものです。 野球における体力トレーニングの基礎理論 posted with ヨメレバ 中垣征一郎 ベースボール・マガジン社 2018年04月18日 Amazon Kindle 楽天ブックス   そもそも①と②を解決するためには、「身体重心を感知するためのトレーニング」に加え、「下肢を使って身体重心を的確にコントロールするための訓練」が必要だ とりあえず、先日の記事では ①「並進運動の際、身体重心を上下左右に蛇行させてはならない。なるべく直線的に移動させるべきである」 と書きました。   また、今回の記事では②「身体重心の移動に勝手にブレーキをかけてしまう」例として、 A:身体重心が適正に移動しているケース B:身体重心が先行しすぎているケース:急発進しすぎてあわててブレーキを踏む C:身体重心が後ろに残りすぎているケース:最初からブレーキを踏んでいる を見てきました。   しかしそもそもこの①と②を改善するには、 「自分の身体重心がどこにあるかを的確に感じ取る能力」 が前提として必要です。   「専用のソフトや測定機材を使う」という手もあるのですが、なんせ高い。   しかし、そもそも身体重心は自分で感じ取ることもできるものです。 小さいころから運動が得意な人であれば最低限の重心感知はできるはずですが、 重心感知能力というのは後天的に身に付けることも可能です。   当ブログでは過去にこちらの記事で紹介していますが、 たとえば四股や倒立、逆上がりや前転後転側転や手を挙げて行うランジなどは重心を感知する能力を鍛えるのにもってこいの種目です。これらの種目は身体への負担も少ないので、毎日飽きるまでやりまくれば良いのです。   あるいは、そうやって重心を感知する能力を高めたうえで、 「地面反力と身体重心とをうまく絡ませる?練習」 を取り入れることも必要です。   https://twitter.com/HokudaiKuriyama/status/993129030575517696 この5つは、バッティングでも同様です。 毎日ひたすら継続することで着実に効果が出ます。   バッティングでもピッチングでも、 「やり方さえ知っていれば誰でもすぐにここまでは上がるよ、というライン」 と、 「地道に継続した努力をもってして初めて越えられるライン」 があると私は考えています。   結局は、「やり方を踏まえたうえで毎日やる人が勝つ」のです。 ダルビッシュ有投手も言っていましたね。 「間違った努力は平気でうそを付く」 と。   まずは間違っていない方向性の努力を継続しましょう。 すべてはそこからです。 野球における体力トレーニングの基礎理論 posted with ヨメレバ 中垣征一郎 ベースボール・マガジン社 2018年04月18日 Amazon Kindle 楽天ブックス 勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇 posted with ヨメレバ 中村 計 集英社 2016年08月05日 Amazon Kindle 楽天ブックス  

【執筆中】「ピッチング」の研究

【執筆中】「ピッチング」の研究 ピッチングの基礎メカニクス この本の見取り図:より高いレベルに到達するための戦略 ・全力で「より高いレベルに到達するためのヒント集」を書いたつもりである。これを材料にして日々の練習やトレーニングに打ち込んでもらいたい   ・投手が満たすべき4つの最低条件 1.そもそも、心身ともに「投げられる状態」にあること 2.ストライクを安定してとれること 3.絶対的な球速があること(ここでいう絶対的とは圧倒的という意味ではなく、単純に球速の数値がある程度大きいことを指す) 4.複数種類(願わくばスラット+ブレーキングボール+高速変化球の3種類)の有効な球種があること ・上達を考えるうえで重要となってくるのは特に3。絶対的な球速は真っ先に獲得すべきものであり、ここから逃げていては上のレベルには行けない。2と4は3についてくる   ・「レベルの違いとは、絶対的な球速の違い が8割である。より上のレベルでやるには絶対的な球速が必要である→原理的(反応時間や遅球に比べた時のエネルギー量)な話と、被本塁打数のデータ」 ・「球速がない投手は何かでカバーしているという実例の話:球速がない投手はほかの何かで秀でる必要がある。ボールの見にくさ・絶対的なコマンド&コントロール能力・平均的な速球とのズレなど。ただし全体としてみれば間違いなく球速がある投手のほうが多数で良い結果を残しているし、球速があるに越したことはない」   ・「特にアマチュア投手の場合、絶対的な球速が上がれば、コントロールも安定しやすくなり、「投げ方がおかしいことによるケガ」も減るだろう。身体の使い方が理に適っていなければ原理的にコントロールも乱れる→目線のブレ・身体操作の難しさ・力み・投球腕軌道のブレ・再現性のなさなど。ケガも減るはず→運動エネルギーの伝達が上手く行くようになるから・理に適った身体や肩肘の使い方ができるようになるから」 ・「球速だけあってノーコンという投手もいるにはいるがプロ全体で見れば極めて少数で、活躍している大多数の投手は絶対的な球速を持つ。実例としてMLBとNPBの平均球速の差などを見れば明らかであり、各カテゴリーで騒がれる選手の特徴というのを見てもそう」 ・「人類の最高到達点を見てみる。現時点における人類の到達点=90マイル後半程度のファストボールに、スラット+カーブ+タテの高速変化球。つまり150km/h中盤~後半のファストボールとブレーキングボールと、真っ直ぐにみえて消えるボールの組み合わせ」   ・「フィジカル×動作×マインド=結果」という上達の方程式。球速を上げていくためには何が必要か? →まず動作、並行してフィジカル。マインドは終始重要   「動作」編 ・投手の動作改善は打者に比べて格段に難しい ・まずは個別に練習して、全体像を徐々に組み上げて行く ・「球速を出す」ということを第一に考えてみる ・「身体の特定の箇所に負担をかけることなく球速を上げる」   ・用語の定義:「下肢三関節」「体幹」「胸郭」「下半身」「上半身」   ・下半身の基本的な使い方について ・軸足も踏み込み足も「下肢三関節の直列&下肢三関節の適切な屈曲姿勢→伸展力の発揮」が基本 ・下肢三関節を使って重心を押し出して(並進運動)からストッピング。これによって回転運動が起こる&上半身と腕が加速する ・「下肢三関節の使い方」と「身体重心を適切な位置に置きながら運べているかどうか」をチェックしておけば大外れはしないはず ・軸足は「インエッジで重みを感じつつ運ぶ」意識 ・踏み込み足は内旋させながら、こらえつつ運ぶ   NG例 ・「身体重心が先行し過ぎている」 ・「身体重心を後ろに残し過ぎている」 ・「身体重心が上下左右に蛇行している」 ・「身体重心にブレーキを自分でかけている」 ・「並進運動の時に、骨盤や脊椎が傾きすぎる」 ・「体幹を、限度を超えて捻りすぎる」 ・「下肢三関節は直列しているが、伸展力を発揮できていない」     ・体幹・胸郭・上半身の基本的な使い方 ・体幹は、下半身が先行すれば勝手に最小限捻られる。だから意識的に捻ったり閉じ込んだりする必要性は薄い。まったく捻らない意識のほうがかえって上手く行く ・「前方斜めサブシステム」を活性化・強化する   ・上半身:「胸郭のテコ」を使えるかどうかでかなり変わる ・グラブ側の手は「内旋→外旋」。腕が振られる方向と同一平面上を通過させながら外旋させる ・NG例:グラブ側の手は「引く」ものじゃない。角運動量保存則 ・上半身の突っ込みと開きを抑えるには:グラブ側の手を内旋させているうちは突っ込みにくいことを利用する ・胸郭のテコを実感するためのドリル:サンドボール投げとジャベリックシャドー ・前足着地時に肘とボールはどこにあればよいか?→少なくとも腕が振られる予定の面よりも上にボールがあることが必要   ・球速を求めるならジャベリン型 ・「ジャベリン型」と「日本型」の違い ・ジャベリン型は「高速で行う並進運動に思いっきり急ブレーキをかけると上半身が放り出されるのを利用する」ことで成り立つ。回転の支点は左股関節。決して「手投げ」ではない ・日本型は「ブレーキのかけ方がゆるく、膝を深めに折って軸足と前足との間で体重を移し替えるようにして骨盤を回転させて投げる」という特徴がある。回転の中心は後ろ足と前足の間。   ・日本型:田中将大投手、ダルビッシュ投手、大谷翔平投手、 ・ジャベリン型:キンブレル投手、チャップマン投手、シンダーガード投手、シャーザー投手、 ・日本人だからといってジャベリン型ができないわけじゃないし、日本型からジャベリン型にシフトする投手もいる ・ジャベリン型は特に「左の大殿筋の強さ」と「腸腰筋の強さ」が不可欠 ・日本型でも「軸足の三関節直列+適切な屈曲」と「踏み込み足の三関節直列」は出る     ・軸足の使い方…「足を上げながら並進運動を開始する」か、「一度しっかりと軸足に体重を乗せてから並進運動へと移る」か? ・X脚とO脚とではおそらく脚の効果的な使い方が異なる。矯正するよりはうまく活用するほうが現実的 ・ボール側の腕:内旋→勝手に外旋→勝手に内旋 ・ボール側の腕の動き…①ファーストプル:僧帽筋の伸張反射&下半身が捕手側に向かい始める反作用 ②セカンドプル:軸足の伸展力発揮によって身体がホーム側へ押し出されることに対する反作用 ・セカンドプルが終わったとき、ボール側の腕はどこにあるか?…少なくとも、ボールは「肩のラインよりは上」にある。肘じゃなくて、ボールが肩のラインよりも上にある。 ・セカンドプル後の前腕の角度と位置によって、「肘に負担がかかる投げ方かどうか」が決定する ・肘に負担がかかる投げ方:「逆L」「逆W」「逆V」。 ・肘に負担がかからない投げ方:①肘が高すぎない ②腕が内旋している ③ ・肘に負担がかからない投げ方のほうがコントロールは良いはず ・バッティングで「肩の回転面」が大切だったが、ピッチングでも同様に大切 ・セカンドプルを終えたボール側の腕はどうなるか?→コッキングを終えた「前腕+ボール(145g)」が適切な場所にあれば、上体・肩の回転によって「前腕+ボール」パーツは慣性の法則で後ろに倒れながら取り残される。そして肩の回転面に沿って腕が振り出され、最大外旋(MER)=肘関節の屈曲と肩関節の外旋 → 肘関節の伸展と肩関節の内旋 を経てリリースに至り、リリース後に運動連鎖により自動的に肩関節内旋する ・グラブ側の腕:内旋→外旋。右半身と左半身の動きは連動している? ・そもそもオーバースロー・スリークォーター・サイド・アンダースローの違いとは ・オーバー・スリークォーター・サイド・アンダー、それぞれの重心移動の軌跡の違い:(仮説)重心移動の方法の違いが腕の振られる角度の違いを生んでいる? ・体幹の捻りすぎに注意:捻りを我慢しようとして捻りすぎるとかえって開く ・人間の身体の左右差について:左投手のアンダースローがいないのはなぜ?         ・ボールの見えづらさについて ・タイミングのとりづらさについて ・球種について ・「ボールのクセ」について ・打ち取るためのコンビネーションについて ・対左打者・対右打者について ・インステップ・アウトステップについて ・投球制限をしながら上達するには? ・「ピザって十回言って」からピッチャーが学べること:学習転移と反復練習と練習の順序   「フィジカル」編 ・シャドーピッチングと実際のピッチングの違い ・指のトレーニングはどのように行う? ・胸郭の柔軟性最適化のためのメニュー ・股関節周辺の筋肉の柔軟性最適化のためのメニュー ・インナーマッスルの筋力強化のためのトレーニング ・肘の保護のための筋力トレーニング ・ピッチャーが特に重点的に鍛える必要のある部位はどこか? →下肢三関節、特に膝関節と股関節の伸展筋=(踏み出し足の)大殿筋、(踏み出し足の)ハムストリングス →腸腰筋、肩の回旋四筋、肘を保護する上腕筋、腹斜筋、上腕三頭筋   ・投球障害の種類と、投球障害が起こる詳しい理由の簡単な説明と、未然に防ぐ方法 ・インピンジメント ・血行障害 ・指のマメ ・野球肘: ・肩の障害 ・肩肘をケガしたら、しばらく野手の練習をやってみよう   ・重心感知能力向上のためのトレーニング ・そもそも身体重心とは ・身体重心を感じられる能力は育てられる ・身体重心を感じ取る能力がないと上達の速度は遅くなる。感じる能力を先に育てればグングン上達する ・身体重心を感知する能力が高いと「今の動きは良いか悪いか」が直感的に判断できるようになる ・基本は「支持基底面を変動させる」「身体を支持するために使う身体部位を変則的にすること」「重いものをもって動いてみること」 ・きほんのき、倒立 ・倒立の難易度表 ・四股 ・逆上がり ・マッスルアップ ・体幹ストリームなどを ・手を上げて棒を持って走ってみる ・後で紹介する「三関節~」のメニューも効く   ・操体能力向上のためのトレーニング ・倒立 ・四股 ・ブリッジ ・跳ね起き ・うんてい   ・ここまでできるようになろう   ・「下肢三関節の直列&下肢三関節の適切な屈曲姿勢→伸展力の発揮」について:股関節伸展筋力と膝関節伸展筋力とのバランスなどによって個々人で違いが出る。大切なのは「自分が一番伸展力を発揮しやすい角度」を見つけておくこと ・「下肢三関節の直列&下肢三関節の適切な屈曲姿勢→伸展力の発揮」の学習 ・その場ジャンプ(スプリットステップ) ・メディシンスクワット ・助走あり・三段跳び ・五段跳び ・スナッチ(ナロー・高速) ・バウンディング ・オーバーヘッドスティックランジ ・ランニング ・ダッシュメニュー   「下肢三関節の直列&下肢三関節の適切な屈曲姿勢→伸展力の発揮」のための基礎出力強化 ・フルスクワット ・ハーフスクワット ・フロントランジ ・サイドランジ   横方向 ・サイドステップ ・サイドランジ ・サイドハードルジャンプ   「三関節直列・屈曲+伸展力発揮により獲得される地面反力を使った重心移動と、回転運動の生成」 ・ワンハンドサイドスロー ・オーバーヘッドスロー   「マインド」編 ・「どうなりたいのか、どうなって何をしてどんな気持ちになりたいのか」を正直に考える ・人の悪口陰口は絶対に言わない ・コンフォートゾーンを上げる ・打たれた時のリアクション・抑えた時のリアクションまで練習しておく   成長戦略 ・ボールも速くなく、すとらも入らない投手 ・ボールはいいのにストライクが入らない投手 ・ストライクは入るけど球速がない投手 ・ストライクも入るし球速もそこそこある投手   参考書籍・文献 ・野球における体力トレーニングの基礎理論 ・初動負荷理論による野球トレーニング革命 ・

バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 前編

バッティング・ピッチングの重心移動は、①上下左右に蛇行しないこと ②不要なブレーキをかけないこと が重要だ 前編 「バタバタ・ぎこちないフォームの人」「美しくないフォームの人」は、だいたい重心移動の軌道がおかしい 重心移動が ①上下左右に向かって蛇行している人 ②不要なブレーキをかけてしまっている人は、意外と多い バッティングもピッチングも、基本的には 「重心をできるだけまっすぐに(直線的に)移動させていき、そこから一気に回転運動へと持っていく」 という要素がメインとなります。   身体重心とは、「身体の各部分に対してはたらく重力の総和を代表する一点」です。   身体重心には、 「物体が並進運動・回転運動するときの中心である=要するに、運動するときの中心となるのが身体重心である」 という性質があります。実際、水泳の飛び込みの映像などを見ると、「身体重心を中心に身体が回転していること」がはっきりとわかります。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=f0dv_RnlIBc]     人体は全体としては固体だとみなせるので、 「ある人がある姿勢をとっているとき、かならずどこか一点に身体重心が存在する」 といえます。 通常、気を付けをした場合はへその下に身体重心があります。身体重心は姿勢によって位置が変わり、身体の外に出ることもあります。   この「重心移動のやり方」というのは多くの打者・投手にとって盲点となっています。   たとえば、バッティングで重要な「軸足股関節の鋭く深い内旋」にしても、 重心移動の方法が適切でなければ、とたんにやりにくくなります。   あるいは、ピッチングで重要な「並進運動の速度を高める」ことに成功しても、 肝心の重心移動のやり方がめちゃくちゃだと、踏み込み足でうまく地面を捉えにくくなったりします。   「重心移動がきちんとまっすぐできているか」 「重心移動に不要なブレーキをかけていないか」 この二点は、より高いレベルへと挑戦したい投手・打者が磨きをかけねばならないポイントであり、 ここを押さえているかどうかで相当な差が付くポイントでもあります。 メカニクスにある程度詳しい人でも、案外盲点になっているポイントです。 桑田真澄の常識を疑え! posted with ヨメレバ 桑田真澄/アミーチ・デル・クオーレ 主婦の友社 2015年03月18日 Amazon Kindle 楽天ブックス     ①上下左右に重心が蛇行しないこと。「なんか並進運動のかっこうがスムーズじゃない」投手・打者は要注意! バッティングでもピッチングでも(そしてランニングでもフィールディングでも)身体重心は、なるべく「蛇行」させたくありません。できるだけ「直線的な軌道」を描いてほしいものです。   この「重心移動はできるだけ直線的にやるべきだ」というのは案外直感的に理解することができます。 「車をできるだけスムーズに加速させたい」とき、あなたはこの図のように蛇行させますか? それとも… こちらの画像のように、直線をぶっとばしますか?   もちろん、車をスムーズに加速させたいなら、左右に蛇行させるのではなく、直線的にぶっ飛ばすべきです。 なぜなら、車が左右に蛇行すると、その分「エネルギー」と「速度」のロスが起きるからです。   左右に蛇行するのも、「上下」に大きくぶれすぎるのも、どちらもNGです。 100メートル走のランナーやマラソンランナーの走りを見てもらえるとわかりますが、 走っているときの彼らの身体重心は上下左右にほとんどぶれません。   逆に、身体重心が大きく上下左右にぶれすぎてしまうようなランナー・スプリンターは優れた成績は残せないともいえます。ランニングのスピードを上げるのに使うべきエネルギーを、重心の上下動や左右蛇行に浪費してしまうのですから。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=bG7DS4n0mmY] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=mSzEnLtA9rE] 一般的な感覚からしても、上下左右にフラフラ・ブレブレしながら走ってもスピードは出なさそうですよね?   まとめると、以下のようになります。 足を上げきったあとの並進運動のときに、身体重心が上下左右にブレすぎると、エネルギーロスが大きい パターン1:上下にぶれすぎる…ランニングフォームが悪い人と一緒。上下にぶれると、そのぶんエネルギーロスが起こる パターン2:左右にぶれすぎる…左右にぶれるぶんエネルギーロスが起こる。車を加速させるときに蛇行させるか? かならず直線で加速させるはず。   バッティングもピッチングも、うまい人は重心移動が直線的にできている ではひるがえって、今度は「身体重心が直線的に移動している選手のフォーム」を見てみましょう。 まずはピッチングから。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=dc3DAmw6V4c] 足を上げることによって一度身体重心の位置が高くなります。 そこから並進運動を開始するのですが、並進運動の間、ホーム方向に向かってかなり直線的に重心移動できていることがよくわかります。 もう一丁。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=mdi47QwbnCM] 今度は横から。並進運動のときに身体重心がスムーズに降りて行っていることがわかります。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=IFYyelriuAI]   今度は打者編です。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=Y7HR-fIKKHU] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=SdYwvBjlQBk] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=__wuhRMbXZI] 並進運動の距離が小さいのでピッチャーよりはわかりづらいですが、こちらもやはり足を上げきってからの並進運動では直線的に、蛇行させずに重心を移動させています。   おおざっぱにまとめると、 ・構えたところからまず足を上げて、身体重心の位置を引き上げる(→位置エネルギーを確保する)。 ・そこから並進運動を行っていく。このとき、身体重心は上下左右にぶれたり蛇行させたりすることなく、(ピッチャーはバッター側から見て、バッターはピッチャー側から見て)直線に近い軌道でスムーズに下ろしていく わけです。 これを理屈としてわかっているのとそうでないのとでは相当な差が付きます。   実際に「身体重心のベクトルの向きはどこを向いているか?」という概念を使って考えると、いろいろなケースが説明できます。   ・「身体重心がまっすぐホーム方向へ向かって出ていく人」は、並進運動のときに軸足(特にインエッジ)で地面をガッチリと押さえて、身体をグッと加速させることができます。並進運動もスムーズです。正統派の投手に多いタイプです。 これについては以下の動画がわかりやすいでしょう。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=G8ceAEP5ECQ] もちろん、「身体重心というのは姿勢によって変わる」のですから、 「グラブ側の手でうまくバランスをとることや、振り出し足(フリーフット)や体幹部をうまい位置に置いておくこと」 も必要です。   逆に、たとえば「右投手で、身体重心が右打者方向へと向かっていく投手」は、以下の2つの選択肢のどれかを選ぶことになります。 ①うまくいけば、DeNAの山崎康晃投手やキンブレル投手のように、インステップしつつもうまく身体をタテに使って、威力と角度のあるボールを投げることができる(もちろん、胸郭の柔軟性・体幹や下半身のスペックがかなり必要になる)。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=QBtXpPdRkP8] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=P6bWyZ--xxs] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=r7ZTWZlVoNc] ②うまくいっていないケースだと、 「腕が横振り&肘がつぶれながら出てくるため、肩や肘に負担がかかる」 「インステップで、前足に乗り込みきれない」 「並進運動のときに、上半身が勝手に突っ込み→投げた後に三塁側に身体が流れるor後ろに体重が残りすぎる = 要するに、ギッコンバッタンした投げ方になる」 「ボールの回転がスライダー気味になる」 といった症状に悩まされる。   →②については、実際にその場で立ってみて「身体重心の移動方向を利き手側へわざと向けてみる」と実感しやすいでしょう。 ②を手っ取り早く修正するには「身体重心の移動方向をグラブ側に変え、思い切ってお尻からアウトステップしてみる」といった即効薬があります。いきなり大げさに変えるリスクは高いですが、遊び感覚でやってみる価値はあります。「あっ、こうすればスムーズに重心移動できるんじゃん」という感じで何かを掴めるかもしれません。   ただ、根本的な解決をするのであれば A:「身体重心を感知する能力を高めるためのトレーニングを毎日継続して、身体重心がどこにあるかが本能的にわかるようにする」 B:「三関節直列状態を作って地面反力をもらいながらうまく身体重心をコントロールしつつホーム側へと押し出していって最後にトリプルエクステンションで勢いをつけ、押し出された身体重心を踏み込み足の三関節直列で受け止める」ための基礎的な動きづくりのメニューを徹底して行う といった手段も使う必要があります。   ※なお、①の「インステップしながらもうまく投げられる投手」になりたいのであれば、A・Bを実行するとともに「胸郭周辺と体幹部を柔軟に保っておくこと」「股関節外旋筋群の柔軟性を保っておくこと」「下半身と体幹に強靭な筋力をつけること」といった手段も補助的に用いていくと良いでしょう。並進運動の後半に「両側から壁にはさまれた狭い空間のなかで身体をタテにコンパクトに使うイメージ」です。   労力と根気は要りますが、AとBの方法を使えばほぼ確実に効果を出すことができます。       今日の分はここまで。 明日は、「②重心移動に対して、不要なブレーキをかけてしまっているケース」と「そもそも①と②を解決するためには、身体重心を感知するためのトレーニングが必要だよ」というテーマについて説明します。     posted with ヨメレバ Amazon Kindle 野球における体力トレーニングの基礎理論 posted with ヨメレバ 中垣征一郎 ベースボール・マガジン社 2018年04月18日 Amazon Kindle 楽天ブックス  

投手&野手の練習メニュー&トレーニングメニュー例のメモ…

アマチュア野球・投手&野手の練習メニュー&トレーニングメニュー例のメモ… まだまだ試行錯誤中。センスや身体能力は育てるものだ、という前提に立ったトレーニングと練習を行う 【投手】 <基礎フィジカル・投球関連能力強化> 遠投10分程度 指の筋トレ…2kgボールつまみ50回×1-3セット(ボールこちらで用意) 開脚60秒×3セット インナー(ローテーターカフ)強化…5-10分程度。各自である程度メニュー調べて自分に必要なものを組む 初動負荷ストレッチ(ウィングストレッチ)3種類:「30→左右50→左右50」×2セット <身体重心探知・地面反力活用・三関節直列とトリプルエクステンションのインプット> ★メディシン3kg・トリプルエクステンションスクワット ★サイドステップ(バー担いで)20回×2セット フロントランジ(バー担いで)30メートル×4往復 ★メディシン3kgオーバースロー左右10回×2セット ★メディシン3kg片手サイドスロー左右10回×2セット 倒立20秒×3セット:なるべく壁を使わないで立つ 手ありブリッジ:20秒×3セット 跳ね起き:10回チャレンジ。慣れてきたら手無しで <重心移動と地面反力活用> ミニハードルサイドジャンプ合計30往復 ポール間走5本:半分まで100%、あとはジョグで流す。インターバルは長めに ★マークについては、つい最近出版された快著である「野球における体力トレーニングの基礎理論」にやり方が書いてあるものである。参照されたい。   【野手】 <変則キャッチボール> ・ベアハンドスロー ・ラントゥワードスロー ・ランナウェイスロー ・ロールアウトランニングスロー ・ノーステップスロー ・バックハンドトス ・バックハンド・ジャンピングスロー 各10球ずつ。肩肘のこと考えて力感は少なく。軽く投げてコツを探る   <バッティング> ・正面ティー80球 ・カチ上げティー30球 ・置きロングティー30球 ・置きティー(コース対応):必要に応じて ・素振り(ドリル系):必要に応じて ・フリー打撃やシート打撃:アピール・調整の場として   トレーニング・パターン1 「五段跳び5セット&ハードルまたぎ5往復(パイプ椅子5個程度使用)」 →「手ありブリッジ20秒×3&バランスボールを足で挟む→パートナーに足で渡す を繰り返すレッグレイズ30回×1セット」   トレーニング・パターン2 「四股20回×3セット、メディシン3kg投げ上げ×5」 →「ハードルサイドジャンプ合計20往復&体幹ストリーム持ってランジ30m×2本」   トレーニング・パターン3 「その場ジャンプ30回×3(足首の剛性強化・足首を固めてポンポンと飛び跳ねる)&体幹1セット(エルボープランク対角上げ下げ30回、サイドプランク下の足曲げて30秒)」 →「助走ありバウンディング50m×3&倒立(足パタパタ30回×3、足屈伸10×3)」       …もちろん、このほかにもやるべきことはたくさんある。 食事の充実もそうだし、全体練習の時間は長すぎてもいけない。ウェイトもするし、野球の勉強もする。 野球以外のことだってやらなければいけない。 以上に紹介したメニューは、実は、2018年度某○○○大野球部に入部した新一年生のために組んでいるメニューをほとんどそのまま書き写したものである。なるべくケガのリスクを低めつつ、野球に必要な能力を養成するためにはどうすればいいか…悩みどころだ。これで大丈夫という答えはなかなか見つからない。   ただ、原点として忘れてはいけないこともあるだろう。 私は、以下のことは野球の「原点」だと思う。   「みんなで集まってやる野球は楽しいものである」 「野球は苦行じゃない」 「楽しみながら、夢中でやっているうちに、上手くなるのがベストである」 「試合は、自分の能力を試す絶好の機会であり、大いに楽しみなものである」 「成長することは、楽しい」 こういった、当たり前の原理原則(プリンシプル)に則って野球の練習をするほうが、結局は上手くなるし、野球というものを嫌いにならないで済むだろうと思う。

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その7

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その7 「ピッチング・バッティングにおける重心と地面反力との関係」を踏まえた上で、「地面反力を使うためには、三関節直列とトリプルエクステンションが効率的」と理解しよう! ピッチングもバッティングも、「並進運動→回転運動」である 簡単に、前回までのまとめをしておきます。   ピッチングとバッティングの共通項は <並進運動を回転運動に転換する> という点にあります。 そして、相違点は <地面反力と身体重心との間の距離> だ…と私は述べてきました。   (並進運動とは「物体が行う運動のうち、それを構成するすべての点が同一の速度で移動する運動」です。 回転運動とは「大きさを持たない点または大きさを持つ物体が、ある点を中心としてあるいは直線を軸として、あるいは別の物体の周りを回る運動」です。 そして、地面反力とは簡単に言うと「地面に100の力を加えたときに、作用反作用の法則に従って地面からはね返ってくる、100の力のこと」です。そして、「力」とは「重さ(質量)のある物体の速度を変化させる作用のこと(正確には加速度を変化させる)」です)   (http://www.tennis99.jp/99/archives/3363より)   この写真でいえば、上の段の右端までは「並進運動」です。 踏み込み足が接地した下段左端から下段右端までは、「回転運動」です。 バッティングも同様で、この写真だと右から5枚目までが並進運動で、 踏み込み足の踵が接地した左から4枚目以降が回転運動です。   並進運動は「助走」である、とも言うことができます。 身体重心に水平方向の速度を付けておくことによって運動エネルギー(=質量&速度を持った物体が持っているエネルギーのこと)を蓄えておき、そのエネルギーを回転運動のために使用・流用するわけです。助走がなければ回転運動は起こしづらくなりますよね?   ピッチングもバッティングも、基本は「並進運動→回転運動」なのです。 スポーツバイオメカニクス20講 posted with ヨメレバ 阿江通良/藤井範久 朝倉書店 2002年12月 Amazon Kindle 楽天ブックス     「並進運動→回転運動」のためには、「身体重心からある程度離れたところに地面反力をぶつけてやること」が必要だ さて、並進運動してきた身体重心を回転運動へと転換させるにはどうしたらよいでしょうか?   答えは単純で、「踏み込み足から伝わってくる地面反力を、身体重心から適度に離れたところに作用させてやればよい」のです。   というのも、物理の法則で 「ある物体の重心から離れたところに力を作用させると、その物体は回転運動を始める」 ということが決まっているからです。   下の画像で、赤い丸がボールの重心です。 ①のように力を加えるとボールは回転しません。 しかし、②のように力を加えると、ボールは回転を始めます。 これと同じです。 ピッチングでもバッティングでも、「身体重心から適度に離れたところに力を作用させるから、回転運動が起こる」のです。重心にそのまま力を当てると、回転運動ではなく並進運動が起こります。   ここで確認です。 ちょっと試してみるとわかりますが、「踏み込み足を接地させないで速球を投げる・ホームランを打つ」のは「無理」です。 なぜなら、「踏み込み足から伝わってくる地面反力を、身体重心から適度に離れたところに作用させ」ない限り、「並進運動から回転運動への転換」はできないからです(身体重心とは、身体全体の姿勢によってどこか一点に定まる仮想の質点のこと。身体が運動するときの中心である)。回転運動が起こせなければ、スイングもピッチングもまともにできません。   以下の図と動画を見てもらえばわかると思いますが、 「地面を100の力で押したときに地面から反ってくる力=緑色の矢印」が、 「並進運動してきた身体重心=赤い丸に対してある一定の距離をとって作用する」 ことによって、並進運動から回転運動への転換が起こるわけです。   なお、直接的には「地面からの反力を受けるのは、骨盤である」と表現することもできます。 誤解を招きそうなので一応断っておくと、地面からの反力は、「重心に対して作用する」のではなく、「骨盤という物体」を回転させる作用を持ちます。   https://twitter.com/bdotcurry/status/986041547689996288   スポーツ動作の科学 posted with ヨメレバ 深代千之/川本竜史 東京大学出版会 2010年04月 Amazon Kindle 楽天ブックス   補足:「身体重心」も「地面反力」も、本当は実在しない!? なお、もしかすると 「ちょっと待って! 身体重心って実在しない点なのに、なんであるものとして扱っているの?」 と思われるかもしれませんが、それは言葉のあやです。   そもそも「重心」のみならず「力」や「加速度」「速度」「質量」といった概念は、みな<実在>はしません。 ここでいう実在しないとは、「想定はできるけど、手触りもないし目にも見えない」という意味です。これらは、われわれの五感で感知できる物理世界よりも一つ上のレベルにある、抽象化された概念なのです。 しかし、手触りがない・目に見えないからといって存在しないとは言えませんよね?   なぜなら、我々人間は、物理空間にない=五感を使って感じることのできないものの存在を想定することができるからです。「数学の公式」「国家」「心」「野球」「電波」「超音波」「概念」など。 「重心」や「力」もその仲間で、「物理的に実在しないからといって、存在しないとは言えない」ものです。   たとえば、野球のボールを両手で挟んで互い違いの方向に手を動かすと、ボールは回転しますね? これは「物体の重心から離れたところに力を加えると、物体は回転運動を始める」という物理の法則に従った結果です。きちんとその法則通りになっています。 また、その野球のボールを片手の手のひらでまっすぐ押し込むと、ボールは回転せず、並進運動を始めますよね? これは「物体の重心に対してまっすぐ力を加えると、物体は並進運動を始める」という物理の法則に従った結果です。 あるいは、「質量のある物体の加速度が変化した」とき、そこには何らかの「力」が働いたと言えます。秒速0mで静止していたものが秒速5mで動き出した・秒速10メートルだったものが秒速20メートルになった、とか。これもやはり、物理の法則通りです。   こういうわけで、「実在しないからといって、存在しないとは言えない」ものの中のうちには、「身体重心」という言葉も含まれているよ、と言えるわけです。ちなみに、なぜ「存在する」と言えるかというと、「ある現象を整合的に説明するのに役立つ」からです。つまり、「とりあえず正しいのだろう」といったん仮定することができます。 身体重心も、「いろいろな物理現象を説明するのに役立つ」ので、いちおう存在しているとみなすことができます。逆にいえば、「身体重心は実在もしないし、存在もしない!」と主張したい場合は、「身体重心という考え方が仮定として破綻している根拠」をきちんと付ける必要があります。たとえば、身体重心という考え方を採用すると致命的な矛盾が生じる…とか。 要するに、「身体重心」とは、ある物理現象(ピッチング・バッティング)を整合的に説明するための仮定(仮説)である、というわけです。とりあえず現時点の私は、「身体重心」という概念を用いることでバッティングやピッチングを整合性のある形で説明できると思っています。もしも身体重心という概念が間違っている場合は、また他のor新しい概念を利用するだけです。 https://twitter.com/Masa19901/status/987549853264691201   とりあえず、この記事内においては 「身体重心という概念は正しい」 という前提を呑んでいただけると幸いです。   ★なお、「作用」という言葉が出てきましたが、「力を作用させる」といった言い回しで使います。 「力を物体に当てる」とか「物体に対して力が効果を発揮する」といったニュアンスです。 「作用させる」という言葉そのものはぼんやりしているので、実際の文脈のなかで使っていって慣れるのがよいと思います。 ベースボールの物理学 posted with ヨメレバ ロバート・アデア/中村和幸 紀伊國屋書店 1996年10月 Amazon Kindle 楽天ブックス   身体重心に対して地面反力をうまくぶつけてやるためには、「三関節直列とトリプルエクステンションのコンボ」が必要だ というわけで、長くなりましたが、論理としては以下のようになります。 ・ピッチングもバッティングも「並進運動→回転運動」である ・並進運動を回転運動に転換するには、「踏み込み足からの地面反力を、身体重心から適正な距離のところに作用させてやること」が必要だ。というのも、「ある物体の重心以外の部分に力を作用させると、物体は回転運動を始める」からである ・ということは、使える「地面反力」は大きければ大きいほど良い。力が大きければ大きいほど物体は急加速するのだから、地面反力が大きければ大きいほど身体の回転スピードも上がる=スイングスピードや球速も上がる というわけで、結局は 「地面反力をたくさんもらう」 ために、三関節直列+トリプルエクステンションが必須である、と言いたいわけです。 https://www.youtube.com/watch?v=Lx6ma4x58Sw https://www.youtube.com/watch?v=jaUHpUWPlVw     勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇 posted with ヨメレバ 中村 計 集英社 2016年08月05日 Amazon Kindle 楽天ブックス   ピッチングと「三関節直列+トリプルエクステンション」の関係 ピッチングのどのフェーズで「三関節直列+トリプルエクステンション」が出るか? https://www.youtube.com/watch?v=IFYyelriuAI ピッチングの流れ 1.まず足を上げて、身体重心の位置を引き上げる。これによって並進運動のための位置エネルギー(=高いところにあるものが持つエネルギー)を確保する 2.身体重心を高いところから低いところに徐々に下ろしながら、身体重心の捕手方向(水平方向)への速度を上げていく(位置エネルギーを運動エネルギーに変換する) 3.水平方向への高い速度を持つ身体重心を、「踏み込み足からの地面反力によるブロッキング」によって急停止させる 4.「身体重心が急停止」することによって、電車の中にいる人が急ブレーキで前方へと倒れるように、「上半身と腕が急加速」する(慣性の法則と末端加速の原理) 5.腕が振られる   「踏み込み足のブロッキングによる上半身と腕の加速」は、以下の動画を見てもらえればわかると思います。 https://twitter.com/m42jp/status/740873651222765568   さて、ピッチングでは「三関節直列・トリプルエクステンション」は一体どこで出てくるでしょうか? 答えは、この2つのフェーズです。 2.身体重心を高いところから低いところに徐々に下ろしながら、身体重心の捕手方向(水平方向)への速度を上げていく(位置エネルギーを運動エネルギーに変換する) 3.水平方向への高い速度を持つ身体重心を、「踏み込み足からの地面反力によるブロッキング」によって急停止させる   具体的に言うと、 2.では「軸足の三関節直列+トリプルエクステンション」が現れます。 3.では「踏み込み足の三関節直列+トリプルエクステンション」が現れます。   それぞれについて見ていきましょう。   ピッチングの「軸足」は、「三関節直列+トリプルエクステンション」をどのように行うか? ピッチングにおいて、軸足はどのように動くか? 私は基本的に以下のように考えています。 ピッチングにおいて、軸足は「三関節直列+トリプルエクステンション」をこう行う 1.軸足は、足を挙げた時から三関節直列状態をキープしながら、身体重心を高所から低所へと引き下ろしつつ捕手方向へと運んでいく(並進運動)。なお、三関節直列状態をキープしながら重心をスムーズに下ろすには、軸足以外の身体のパーツをうまく制御することも必要(左手の使い方とか右手の位置とか)。軸足以外のパーツをうまく配置してやることによって初めて、「軸足の三関節直列+トリプルエクステンション」が可能になる。 2.並進運動の後期あたりに、「三関節直列+トリプルエクステンション」によって地面反力を獲得する。その地面反力を使って、身体重心に「捕手方向への加速度」を更につける。なお、このときに軸足は「股関節伸展+膝関節伸展+足関節伸展」の力を発揮する。つまりトリプルエクステンションのフルコンボを起こす。ただしそのタイミングには個人差があり、並進運動の中期くらいに起こして早々に軸足を内旋させる人・並進運動の後期になってようやく起こす人などに分かれる。 3.三関節直列状態でトリプルエクステンションを行った軸足は、最終的に内旋しながらプレートを離れる   ↓の動画で確認すれば、軸足の使われ方の大枠がわかるはずです。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=ptPhHGEwv2k] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=jaUHpUWPlVw] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=hGCdftaPi0Y]   要するに、ピッチングの軸足が三関節直列+トリプルエクステンションを起こす理由は 「身体重心に、水平方向への加速度を付けるため」 です。その役割を終えた軸足は内旋していきます。 「トリプルエクステンションの結果、身体重心が水平方向へと加速される」ということ自体はどの投手にも当てはまっています。   ピッチングの「踏み込み足」は、「三関節直列+トリプルエクステンション」をどのように行うか? 前項では「軸足と、三関節直列+トリプルエクステンション」について見ました。 では、「踏み込み足と、三関節直列+トリプルエクステンション」はどうなるでしょうか?   踏み込み足と、「三関節直列+トリプルエクステンション」 (前提):軸足の三関節直列+トリプルエクステンションによって、身体重心にはすでに「水平方向への速度」がついている。そして、ピッチングの基本原理は「水平方向への速度がついている身体を、踏み込み足のブロッキングによって急停止させる→慣性の法則+末端加速の原理に従って、上半身と腕が急加速しつつ回転運動を起こす」である。 つまり、踏み込み足の役目は「地面反力を思いっきりもらって身体重心の運動を急停止させること」である。地面反力をもらうなら、「三関節直列+トリプルエクステンション」がおあつらえ向き   1:踏み込み足は、「三関節直列状態」になるように着地を迎える。なお、右投手は三関節直列の向きが「つま先がやや開き気味」になることが多く、逆に右投手は三関節直列の向きが「つま先がやや閉じ気味」になることが多い。 2:踏み込み足の「トリプルエクステンション」はやや変則的である。メインとなるのは「膝関節伸展」で、踏み込み足の「股関節」は、伸展の力も発揮はするが、骨盤の回転運動を制御するために内旋・内転の力も発揮する(踏み込み足の接地直後は外旋位だが、骨盤を立ち上げるとともに内旋位へと切り替わっていく)。足関節は普通に伸展力を発揮する。   [youtube https://www.youtube.com/watch?v=kVg8oeP1200] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=6hYzjs2fBmo] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=2VevIZlZh5k] [youtube https://www.youtube.com/watch?v=zVKxkWohJvk] https://twitter.com/m42jp/status/740873651222765568 …というわけで、ピッチングと「三関節直列+トリプルエクステンション」との関係は、以上のように説明できます。 要約すると、軸足の「三関節直列+トリプルエクステンション」で身体重心に水平方向への速度を付け、 それを踏み込み足でブロッキングすると、上半身(腰から上)+腕が「慣性の法則+末端加速の原理」によって急加速するわけです。もちろん、先の記事でも触れた通り、「身体重心がたどる軌跡」も重要になってきます。   こうやって分析してみると、意外と単純ですね。   バッティングと「三関節直列+トリプルエクステンション」の関係 バッティングのどのフェーズで「三関節直列+トリプルエクステンション」が出るか? ピッチングのときと同様、バッティングの流れを整理しておきましょう。   バッティングの流れ 1.まず前足を上げて、身体重心の位置を引き上げる。自動的に軸足に荷重される。これによって並進運動のための位置エネルギー(=高いところにあるものが持つエネルギー)を確保する 2.身体重心を高いところから低いところに徐々に下ろしながら、身体重心の投手方向(水平方向)への移動速度を上げる(位置エネルギーを運動エネルギーに変換する、運動量を確保する) 3.前足が接地する。「前足からの地面反力が身体重心から適度に離れたところ(踏み込み足側の骨盤)に作用する」ことによって、並進運動が回転運動へと切り替わる。また、「軸足が内旋される」ことによっても骨盤は回転する。内旋された軸足は、回転運動の妨げにならないようにコンパクトに折りたたまれる。 4.基本的には、回転運動がうまい打者ほどヘッドスピードも速く、打球速度も速く、打球飛距離も速くなる   この中で、「三関節直列+トリプルエクステンション」が出てくるのは 2.身体重心を高いところから低いところに徐々に下ろしながら、身体重心の投手方向(水平方向)への移動速度を上げる(位置エネルギーを運動エネルギーに変換する、運動量を確保する) 3.前足が接地する。「前足からの地面反力が身体重心から適度に離れたところ(踏み込み足側の骨盤)に作用する」ことによって、並進運動が回転運動へと切り替わる。また、「軸足が内旋される」ことによっても骨盤は回転する。内旋された軸足は、回転運動の妨げにならないようにコンパクトに折りたたまれる。 この2.3.の2か所です。 それぞれについて触れると、2.は「軸足の三関節直列+トリプルエクステンション」、3.は「前足の三関節直列+トリプルエクステンション」となっています。   基本的にはピッチングと同様ですね。 では、2.と3.についてそれぞれ説明していきます。   バッティングの「軸足」は、「三関節直列+トリプルエクステンション」をどのように行うか? ピッチングとバッティングの違い…並進運動の重要性 本題に入る前に、 「バッティングとピッチングとでは、並進運動の重要度が違う」 ということを押さえておいてもらいたいと思います。   バッティングでは、実は並進運動の重要度はピッチングほど高くありません。 バッティングにとっての並進運動は、もちろん重要ではありますが、重要度が低いのです。どちらかといえば並進運動よりも回転運動のほうが大事です。 打者は「バット」という道具を持っていますので、並進運動を投手ほどしなくても、バットをうまく使ってやればそれだけで打ててしまいます。 https://twitter.com/brian_dybala/status/928672912231550976   逆に、ピッチングでは「並進運動が命」くらいに表現しても良いと思います。 ピッチングでは、「並進運動を急激にブロッキングする」からこそ、「腰椎から上のパーツが慣性の法則+末端加速の原理によって急加速する」わけです。 ですからそもそも、あまりにも並進運動の速度が遅い投手(速ければそれで良いというものでもありませんが…)は速い球を投げることは不可能です。投手はバットという道具を持っておらず、そのうえで自分の身体(指先)をフルに加速させなければならないのですから、どうしても自分の腰より下で速度を稼いでおく必要があります。   [youtube https://www.youtube.com/watch?v=Ne_F30R_5bo] この「並進運動の重要度の違い」を簡単に表現すると、 「バッティングではノーステップ打法でホームランが打てるが、ピッチングではノーステップ投法で140km/hを投げることはまず不可能である」 ということです。この場合のノーステップとは、「踏み込み足を地面に付けたまま」ということです。打者のようなノーステップで140km/h以上を投げられるとしたら相当なフィジカルの持ち主だと思いますが、それでも身体には激烈な負担がかかるはずです。   https://twitter.com/HyattCraig/status/989024843285774336   こういうわけで、バッティングではピッチングほど並進運動の速度は必要ではありません。 しかし、たいていのバッターはきちんと足を上げてからステップし、それから打ちます。ノーステップ打法を採用している打者はごく少数です。   それは、並進運動には 「回転運動のための助走」 という意味があるからです。足を上げてステップをする(並進運動の距離をある程度とる)ほうが、その場でノーステップで打つよりも回転運動がはるかにやりやすいのです。   簡単に言うと、 「ノーステップ打法=立ち幅跳び」 「普通にステップする打ち方=走り幅跳び」 と表現できます。立ち幅跳びと走り幅跳びとの最大の違いは「助走があるかないか」です。 立ち幅跳びの世界記録は記事執筆時点で3m73cm、走り幅跳びは8.95m。 助走があるかないかで5mもの差が付くわけです。   バッティングも基本的には同じです。 並進運動によって助走を付けたほうが、そのまま回転運動に持っていきやすいのです(ついでいうとピッチングも同じで、助走を付けて投げるとだいたい10-15km/hくらい球が速くなります)。   もちろん、助走をつけるということは「ボールに向かって自分から近づいていく」ということでもあります。 ボールに向かって自分から近づいていくわけですから、その分だけ目切りも速くなりますし、ポイントも投手寄りになりますし、顔が動かない場合に比べて目線のブレが大きくなり、どちらにしてもミスショット率や選球眼をマイナス方向へと引き下げます。原理的には必ずそうなります。「バリーボンズ選手やジョーイ・ボットー選手などのスイング」と、「イチロー選手や柳田選手などのスイング」を比べてもらうとわかりやすいでしょう。   なお、この「重心は前に出さないが、体重移動はきっちりする」「その場でクルリと回転するように打つ」「フィジカルを鍛えぬいて、少ない助走でも打てるようにする」というのは、近年のメジャーリーガーの打ち方を見ていると傾向としてかなり顕著に出ています。MLBの中継を見ているとわかりますが、最近は右打者・左打者はそれぞれかなり型にはまった?打ち方をするようになっています。個性がないわけではないのですが、基本的にはみんな同じ、シンプルな打ち方をしています。   話が逸れましたが、 「バッティングはそれほど並進運動が重要じゃないよ(重要だけど)」 ということです。   バッティングの「軸足」は、「三関節直列+トリプルエクステンション」をどのように行うか? さて、本題に戻ります。   バッティングにおいて軸足が担う役割は主に以下の二つです。 1.「並進運動(助走)を行うこと」 …軸足を屈曲→伸展させることで可能になる と、 2.「軸足の伸展が終わる辺りから、軸足股関節を鋭く内旋して、骨盤の回転運動を開始すること」 …前足接地直前から軸足股関節が内旋し始める(内転筋が主役)ことによって、骨盤が自動回転を始める。股関節を内旋した方向に骨盤は回転する。骨盤が回転することによって運動エネルギーが生じるので、軸足の股関節内旋が不十分な場合よりもスイング全体として多くの運動エネルギーが得られる=スイングが速くなる・打球が飛ぶ です。     2.については、私がいつも参考にさせていただいているMITSUさん(@m42jp)のツイートを参考にすれば理解できると思います。軸足股関節をぎゅっと内旋させると、骨盤が回転します。この内旋は深く、鋭いことが望ましいと言えます。 実際、NPBで三冠王を二度獲得されている落合博満氏も「良いバッターは、スイングしているうちに内転筋がヘトヘトになる」とおっしゃっていました。また、身長167cmと小柄&高校通算本塁打0本という経歴からNPB歴代三位の本塁打を放った門田博光氏もスポーツ番組のなかで「軸足の内転筋をきっちり使うことが大切だ」と言っておられました。 https://twitter.com/m42jp/status/918817911233429504 https://twitter.com/m42jp/status/945804686854053889   そして、この「軸足の2つの役割」と「三関節直列+トリプルエクステンション」との関係はどんな感じなのか? 以下のように表現できます。   ★軸足の「三関節直列+トリプルエクステンション」の意味★ 「軸足の三関節直列+トリプルエクステンション」は1.の主役であり、2.の脇役でもあります。 1.について言うと、「軸足の三関節直列+トリプルエクステンション」は、そのまま「軸足の伸展」です。これはもう、言葉通りです。 https://twitter.com/m42jp/status/890547907929165824   2.について言うと、「軸足の三関節直列+トリプルエクステンション」がしっかりと行われることによって、軸足は「内旋しやすい状態」になります。 →というのも、「投手方向へと並進運動をしながら軸足の三関節直列+トリプルエクステンションを行うと、軸足の内転筋が引き伸ばされて、伸張反射(筋肉が外からの力によって引き伸ばされると、反射的に勢いよく縮もうとする性質)を起こしやすい状態になる」からです。せっかく軸足股関節を内旋させるのであれば、軸足内転筋の伸張反射の力も借りたいところですよね。 https://twitter.com/m42jp/status/959411118165843968 https://twitter.com/m42jp/status/945636330247090178   ★わりと重大な補足:「軸足に体重を乗せて運ぶタイプ」は、「トリプルエクステンション」がほとんど無くても打てる場合がある 実はバッティングにおける「トリプルエクステンション」は、「場合によっては必須ではない」というものです。これから簡単に理由を説明します。   まず、MLBの打者に多い 「足を上げると同時に、軸足で地面をグッ!と押すタイプの打者」 には、トリプルエクステンションは必須です。地面をグッ!と押すわけですから、三関節直列状態が用意してあり、そこから爆発的に地面を押す(トリプルエクステンション)必要があります。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=8A0vDUsdV2s]   それに対して、日本の(昔の)打者に多い 「ゆったりと足を上げて軸足に体重を乗せて、ゆっくりと身体を運んでいくタイプの打者」 「地面をグッ!と瞬間的に押さず、ゆっくりと並進運動をしていくタイプの打者」 には、「トリプルエクステンション」が出ていない場合があります。たいていの場合は出ているのですが、まれにそういうタイプの打者がいます。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=Cvo_u_nOD6U]   なぜ「トリプルエクステンションがほとんど出ない打者がいる」のかというと、先述した通りバッティングでは「並進運動の重要性」が比較的低いからです。 ピッチングの場合は、どんなタイプの投手であれ必ず、並進運動時に「軸足のトリプルエクステンション」が起きています。そうしないと身体重心を捕手方向へと押し出す(加速する)ことができないからです。   しかしバッティングの場合は、「さほど並進運動を熱心にやらなくても打ててしまう」という事情があります。 ピッチングのように、軸足のトリプルエクステンションによって身体重心をグッと押し出す必要性が薄い。 だから、軸足に体重を乗せて運んでいくだけでトリプルエクステンションは使わず、そこから軸足の内旋と踏み込み足の地面反力だけで回転して打ってしまうことも可能なのです。 [youtube https://www.youtube.com/watch?v=b9e0M8zlBOo] 昔の選手はけっこう「軸足に体重を乗せて運んでいくだけ」の打ち方をしていましたが、現在ではあまりこういう打ち方は見かけません。いるにはいますが、全体の中で見ると少数です。前さばきになったり、スイングにかける時間が長くなったりするといったデメリットがあるからです。将来的には、こういう打ち方(軸足のトリプルエクステンション)を使わない打者はどんどん減っていくことでしょう。   軸足の「三関節直列+トリプルエクステンション」はどのように行われるか?...

ピッチャーの下半身が強靭であるべき理由について一言で

ピッチャーの下半身が強靭であるべき理由について一言で 考えてみれば実に当たり前だけど… ピッチングとバッティングでは、モーメントアームの長さが違う 最近の記事では、 「ピッチングとバッティングにおける身体重心の軌跡はどうなっているの?」 「ピッチングとバッティングとの違いは、踏み込み足からの地面反力と重心との位置関係だよ」 というテーマで話をしてきました。   ★「バッティングにおける重心移動のあらまし」と、「踏み込み足の地面反力と重心との位置関係」についての図 まず、身体重心の動きは↑の図のようになっていると推測できます。   もう一つ、「身体重心の位置と、踏み込み足の地面反力との関係」については、 ↑の図の「緑の矢印」(地面反力は「力」なのでベクトルで表すことができます)と、 「身体重心の位置」との位置関係をチェックしてみてください。   図でわかる通り、 バッティングでは「踏み込み足の地面反力と、身体重心との距離が、遠い」 ピッチングでは「踏み込み足の地面反力と、身体重心との距離が、近い」 という違いがあります。   これをテコで例えると、 「ピッチングのほうがテコの長さが短く、バッティングのほうがテコの長さが大きい」 と言えます。   何か重いものをテコで持ち上げるとき、ある程度長いテコのほうが楽ですよね?   バッティングはテコの長さ(=踏み込み足地面反力と身体重心との距離)が大きい。 …ということは、バッティングは実は下半身の力はそれほど必要ではありません(もちろんある程度は必要です。ピッチングと比べると、という意味です)。   逆に、ピッチングはテコの長さが短い。ということは、重たいものを短いテコで持ち上げるのですから、その分だけ力が必要です。ピッチャーの下半身が強靭でなければならない理由の一つはここにあると思います。

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その6

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その6 ピッチングとバッティング、どこが同じでどこが違うか 前回の補足:バッティングの時の重心移動の軌跡を上から見ると? 前回の記事では「真横から見たときの身体重心の軌跡」と「投手方向から見た時の身体重心の軌跡」とはこうなっているだろうな、という予想図を描きました。 真横から見るとこうなっているはず↑ 投手側から見るとこうなっているはず↑。図のベルト付近にある茶色い点が、想定される身体重心の位置となります。   なお、前回の記事(画像)では舌足らずだったのですが、「足を上げるときに一度ホームベース側に出てから」直線的な軌道を描きながら移動していくと考えられます。 何がなんだかわからないという方のために、今回の記事では「真上から見た時の重心移動の軌跡」を描いてみました。   ★真上から見たときの身体重心移動の軌跡★ ①:構えたときは、その打者の構えによってどこかしらに重心が定まる。通常は「両足のかかと・つまさき同士を結んでできる四角形(支持基底面)のなかのどこか」に収まります。もし、構えの時点でこの四角形の外に重心が出てしまうと、バランスを保つために余計な筋肉の緊張を招くことになります。 ** ②:足を上げることによって、重心は一度四角形のホームベース側に寄る&捕手側へと移動します。重心が一度四角形のホームベース側に寄ることによって、身体のバランスを保つために軸足のもも裏が強制伸張され(床引きデッドリフトの始動が、つま先体重のほうがスムーズなのと原理は同じ)、のちの軸足股関節伸展→軸足股関節内旋(伸張反射による)へとつながります。なお、真横から見た場合はこの②の時点が重心の最高到達点となります。 軸足に荷重する時間が比較的長い日本人打者は、「捕手側への重心の移動が大きい&捕手側に重心が留まっている時間が長い」(つまり、②の引き幅が大きく かつ ②のあたりにとどまる時間が長い)という特徴があります。 また、この打ち方だと軸足の内転筋群(股関節の内旋を担当。薄筋など)の伸張反射の度合いは、いろいろな理由があって必然的に弱くなります。日本人打者の軸足がつま先立ちになりにくいor浮きにくい一因です。   逆に、足を上げてすぐ下ろす打者(MLBの打者など)は、「足を上げた時点で、重心はあまり捕手側に移動しない&捕手側に重心が留まっている時間が短い」(つまり、②の捕手方向への引き幅が小さく かつ ②のあたりにとどまる時間も短い)といえます。当たり前ですが、打撃の安定性や確実性・再現性などを考えるとMLBの打者方式のほうが優れています。 また、MLB方式のほうが軸足内転筋を強力に伸張させることができるので、軸足股関節の鋭い内旋も起きやすくなります。軸足股関節が鋭く内旋することによって、打者の身体の回転半径が小さくなる(回転軸の周りに身体のパーツが密集しているほうが回転しやすいということ)ため、より高速で身体を回転させることができるようになる…というメリットがあります。 ** ③:②のところから重心は、「軸足から伝わる地面反力、身体の姿勢制御」によってコントロールされながら下に降りていきます(位置エネルギーを運動エネルギーへと変換しつつ)。この③の重心軌道は直線に近いことが望ましいだろう…というのは前回述べたとおりです。左右に蛇行する自動車のスピードが上がらないのと同様です。 ※②から③にかけての重心の下り方は、「横から見た場合サイクロイド曲線&投手方向から見ると直線」になる可能性も残っています。これについては「バッティング時の重心移動の軌跡」について正確な実測データを自分が持っていないため断言できません。 なお、サイクロイド曲線は数学的には「半径 a の円が一直線 ( x 軸) 上を滑らないで転がるときの,円周上の1点 P の軌跡」で、変数Θと定数aを用いて「x=a(θ- sin θ) ,y=a(1- cos θ)」で媒介変数表示される曲線です。高校の数学Ⅲで扱う内容です。サイクロイド曲線には物理的な意味もあり、「サイクロイド曲線の軌道をたどって滑り台を降りると、直線や円軌道の場合よりも短い時間で降下できる」ことから、最速降下曲線とも呼ばれます。   ④:「並進運動をしてきた身体重心に対して地面反力が作用することによって回転運動が起きる」というのは前回の記事でも紹介した通りです。なお、バッティングのインパクト時には「前足かかと外側(アウトエッジ)ー身体重心ー頭部を結んだ線が、真横から見て一直線になっていること」が理想です。   …というわけで、バッティングの身体重心がたどる軌跡について、「真横から」「真上から」「投手側から」つまりxy平面・yz平面・zx平面とアングルを変えつつ、かつ時間軸も交えて見てきました。これで一応、バッティングのときの身体重心の軌跡を四次元的に把握できるはずです。   「重心はこういうふうに移動するのだな」ということが知識としてわかっていて、 かつ「自分の身体重心の位置を把握するための訓練を欠かさず続けている人」であれば、 今回の記事は「良い感覚を最短時間で手にするための道具」として使えるはずです。 少なくとも、変な道に迷い込んで時間を大幅にロスすることはなくなるはずです。   野球のプレーというのは、最終的にはすべて「選手個人の感覚頼み」にはなりますが、知識と理論をうまく使えばその「目指す感覚」を最短経路で手に入れることもできるのです。 ぜひご活用ください。   ※余談ですが、アメリカの野球スクールはこの「重心移動の軌跡」や「重心感覚の把握」といった観点がやや不足気味なのかな、とも思います。筋力や筋量といった面は素晴らしいので、そこさえわかってしまえば…という感じでしょう。きっと手が付けられなくなるはずです。   ピッチングのとき、身体重心はどういう軌道を描く? では、ピッチングのときはどうなのでしょうか? 「身体重心とは運動の代表点」であり、かつ「身体重心とは身体の姿勢によってどこか一点にかならず定まるもの」なのですから、ピッチングにおける重心移動の軌跡を解き明かすことには意味があるはずです。バッティングと同様、「いい感覚を最短で身に付ける」ための方便にもなるでしょう。   例によって三方向から見た場合、おそらく重心の軌跡はこのような軌跡になると思われます。 (https://www.youtube.com/watch?v=aNmhc0WrKJMより) (https://www.youtube.com/watch?v=ORQbyN5NbTcより) (https://www.youtube.com/watch?v=ORQbyN5NbTcより)   もちろん、私の手元に「野球選手プレー画像をスキャンするだけで、その選手の重心位置をたちどころに測ってくれる便利な装置」があるわけではないので、重心の軌道については単に推測しているにすぎません(というわけなので、身体重心の辿る軌跡についてのデータ、募集中です・・・ご存知の方いらっしゃれば連絡ください)。   具体的には、このような↓条件を組み合わせて重心の軌道を推測しました。 ・身体重心は、身体の姿勢によって一点に定まる。 ・身体重心が支持基底面(軸足と踏み込み足のかかと・つまさき同士を結んでできる四角形のこと)のなかにおさまったまま、ピッチングとバッティングが行われるだろう。なぜなら、支持基底面を外れると身体のバランスが崩れるから ・まず位置エネルギーを得てそれを運動エネルギーに変換するのだから、重心は一度高所に上がるだろう ・軸足もも裏の伸張反射を使うために、身体重心は一度つま先側へと寄り道するだろう ・位置エネルギーを運動エネルギーに変換していく間、身体重心の軌跡が左右にぶれるのはよくないだろう(蛇行する車はスピードが出ない) ・踏み込み時の身体重心は、三関節直列状態の踏み込み足から上ってくる地面反力とかなり近い位置にあるだろう   というわけで、ピッチングの重心について図示した三枚の画像をよく見てみるとわかるように、結局 「バッティング・ピッチングという2つの動作において、重心が描き出す軌跡はだいたい同じである(地面反力との位置関係だけが異なる)」 と私は考えています。     余談:身体重心について3点補足 ※余談ですが、身体重心というのは ①姿勢によって変わる ②体の外に出ることもある ③全身の運動を表す代表点である という性質を持ったものです。   ここでは特に①、②について説明します。   たとえば、気をつけ!をした状態では、身長の54-56%程度のところ(だいたい仙骨のやや前方あたり)に重心があります。 そこから両腕を上げると身長の4-5%程度(だいたい8cm程度)重心が上がり、 片足を曲げて上げると身長の6-7%程度(約10cm)上がります。 「両腕上げる+片足を曲げて上げる」と、身長の11-13%程度(約18cm)重心位置が上昇します。 要するに、「姿勢によって身体重心の位置は変わる」ということです。 (参考:「バイオメカニクス20講」)   そして、身体重心は身体の外に出ることもあります。 ↓の図の右側にあるような姿勢をとる場合を考えてみるとわかりやすいと思います。 (http://mokuyokai.blog18.fc2.com/blog-entry-195.htmlより)   重心という言葉は抽象的なものなのでイメージしづらいかもしれません。 重心は「重心ってなんだ、目に見える形で出してみろ」と言われても実物は出せませんが、概念として想定することはできます。つまり「実在はしないが、存在はする」ものが重心なのです。とりあえずは、小難しく考えなくても「バットを、グリップからヘッドまで順番に二本の指でつまむように持ったとき、バットがひとりでに回転を始めない点のこと」とでも理解しておけば大丈夫です。   ** バッティングとピッチングには共通していることがたくさんあるよね…というのは野球をやっている・知っている人の実感としてあると思うのですが、 ↑のように分解して分析してみると「やっぱり!」という感じでしょうか。   とりあえず、今回の記事までで 「ピッチング・バッティングにおける身体重心移動の軌跡はどうなっているか?」 という話題についてのおおまかな解説は終了です。   そしてこれからは、いよいよ本題である「重心移動と、三関節直列+トリプルエクステンションとの関係」というテーマで、自分の考えを書いていきます。あと数記事で終了する予定ですので、ぜひお付き合いをお願いします。 では、また明日。    

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その5

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その5 三関節直列+トリプルエクステンションについて語る前の下ごしらえ:ピッチングとバッティングの違いとか 「バッティングとピッチングの違い」についてはいろいろな説があります。 「バッティングとピッチングの共通点」についてもやはりいろいろな説があります。   本当は今すぐにでも「三関節直列+トリプルエクステンション」についての自論を展開したいのですが、 論理的な下ごしらえのために、今回はまず「バッティングとピッチングの共通点・相違点」について、自分なりの考えを述べてみます。   言いたいことその1:バッティングとピッチングの共通点と相違点はいったいどこにある? → 共通点は「並進運動を回転運動に転換すること」、相違点は「地面反力と身体重心との位置関係」   バッティングもピッチングも、基本は「並進運動→回転運動」です。 ただし、ピッチングとバッティングとで多少の違いはあります。 具体的に言うと「踏み込み足の地面反力と、身体重心との位置関係」が異なります。   (https://www.youtube.com/watch?v=IFYyelriuAI、https://www.youtube.com/watch?v=DzJms7RW02Aより)   …まず、矢印の左側では並進運動が行われています。 そして、「前足の接地による地面反力の獲得」を契機として、「並進運動から回転運動への転換」が始まります。 ここでの主役は「骨盤」です。並進運動の間、骨盤は相手打者or投手に対して「横向き」をキープ。そして前足の接地をきっかけにして、骨盤は一気に回転を起こし、相手打者or投手に正対します。   まず、バッティングの場合。 並進運動を続けてきた身体重心と地面反力との間には、ある程度の距離があります。この距離の長さのことを「モーメントアーム」と呼びます。図に「重心と前脚の地面反力の間」と書いてある部分の長さが、モーメントアームです。   それに対して、ピッチングの場合。 こちらは、「身体重心が移動していく延長線上に地面反力があるのが理想的」という特徴があります。 ピッチングでは、並進運動を続けてきた身体重心が踏み込み足からの地面反力によって突然「ブロッキング」されることによって、上半身が「慣性の法則+末端加速の法則」に従って急加速します(=急ブレーキをかけた電車のなかに立っている人が、頭部が急加速するようにして進行方向に放り出されるのと同じ)。 https://twitter.com/m42jp/status/740873651222765568   バッティングの場合は「踏み込みの際、地面反力と身体重心との間にある程度の距離がある」ことが特徴でしたが、ピッチングではむしろ「踏み込みの際、地面反力と身体重心とが近いorほぼ完全に一致する」ことが望ましい(特にオーバースローの投手)と考えられます。 「ピッチャーには強靭な下半身が必要だ」と昔から言われていますが、実際その通りです。並進運動してきた身体重心をしっかりと一発でガシッと受け止めるだけの下半身の強さが必要です。小難しい話をしなくても、「一日150スイングの身体的なきつさ」と「一日150球を投げる身体的なきつさ」を比べてみればすぐにわかる話です。     …つまり、バッティングとピッチングは「並進運動→回転運動」という様式自体は同じなのですが、「並進運動を回転運動に変える方法」「地面反力と身体重心との関係」が異なるのです。 ピッチングでは「身体重心が描く軌道の(ほぼ)延長線上に地面反力がぶつかる」のに対して、バッティングでは「身体重心と地面反力との間に、ある程度の距離がある」というわけです。     ★バッティングとピッチングの違い まとめ★ 大雑把に回転様式の違いをまとめると、バッティングは「身体重心に対して、地面反力がすれ違うように作用した結果、回転運動が起きる」。以下の図のようなイメージです。念のためですが、①と②がまったく同時に起きるわけではありません。①が先で、②が後です。 ピッチングは「身体重心を地面反力によってブロッキングすることで並進運動に急ブレーキをかけた結果、慣性の法則と末端加速の原理に従って(=急ブレーキをかけた電車の中にいる人は頭部が急加速するようにして倒れる)、上半身が急加速される」のだと言えます。 https://twitter.com/m42jp/status/740873651222765568   なお補足ですが、ピッチングとバッティングでは「並進運動の重要性」も違います。 打者はけっこうノーステップ打法(並進運動がほとんど起こらない)で打つ人がいるのに対して、ピッチャーでノーステップ投法を採用する選手はいないですよね?   要するに、「ピッチャーのほうが、並進運動が大事」なのです。 原理的に考えれば当然です。 ピッチャーの投球の原動力は「並進運動をブロッキングした結果、急ブレーキがかかった電車の中の人のように、慣性の法則+末端加速の原理で上半身が加速すること」なのですから、そもそも並進運動のスピードがなければお話しにならないのです。 聞いたことがある人もいると思いますが、ピッチャーは助走を付けて投げるだけで球速がグンと上がります。これもやはり、助走をつけることで並進運動の速度が上がるからです。その速度が上がった分だけ上半身の加速度合いも上がりますから、球速も当然上がります。 それに対して打者はほとんど並進運動をしなくても、踏み込み足の地面反力で身体を回転させるだけである程度打ててしまいます。   この「並進運動の重要性の差」も、知識として知っておきましょう。   言いたいことその2:身体重心はどのような軌跡を描くか? バッティングの場合:身体重心はどういう軌跡が理想なのか? 気になっている人は気になっていると思いますが、 「じゃあ結局、バッティング・ピッチングでは、身体重心ってどういうふうに動くんだろう」 と思いませんか?   バッティングにおける私なりの「理想の身体重心の軌道」を考えてみました。 その条件は、真横から見た場合2+投手側から見た場合2で、4つあります。   ①真横から見た場合:身体重心は、打者の真横から見て「構え:低 → 足上げ時:高 → ステップ後:低」へと位置を変える。 最終的には、インパクト時に「前脚ー身体重心ー頭部が一直線をなす」のが理想。 https://twitter.com/sevenislandsz1/status/925120732769558528   ②投手側から見た場合:並進運動時は、「捕手側から投手側へと、蛇行する曲線ではなく直線に近い軌道を描くようにして移動」していく。前足接地後は、「前足の地面反力との間の距離が、長すぎず短すぎずで最適化されている」こと。   ちなみに、図の上側のモデル(アーロンジャッジ)の続きはこうなっています。参考までに。   明日は「ピッチングのときに、身体重心はどのような軌跡を描くか?」というテーマと、 ようやく本題の「ピッチング・バッティングの身体重心移動と、三関節直列+トリプルエクステンションの関係」についてお話しします。 では、また明日。  

APLICATIONS

「体幹~肩甲骨帯」の硬さが野球の投球動作に与える影響について

こんにちは、栗山ただよし(栗栖鳥太郎)です。 甲子園が真っ盛りですね。 私は高校野球を見るとき、「体の状態がどのように動作に影響するか」という視点で見ています。 なぜなら、「野球とは、脳が体を動かしてやるもの」であり、「その選手の限界を決めるのは、その選手の身体の限界である」と考えているからです。 野球選手は体が資本なんてよく言われますが、まさにその通り。 今回は、野球の投球動作における「体幹ー肩甲骨帯の硬さ・柔らかさ」の影響を考えてみます。 「体幹~肩甲骨帯」の硬さが野球の投球動作に与える影響について 「身体の柔らかさ」は、良い動作のための"前提条件"である 筋肉に柔軟性がないと、良い動作はそもそも不可能 本題に入る前に:少しだけ勉強を  「体幹ー肩甲骨帯の柔軟性」は以下のように考えます。 野球をやるうえで必要最低限の知識なので、軽く読んでみてください。 <体幹の柔軟性> 体幹をひねるときの可動域。簡単に言えば、「ひねる動作が楽にできるかどうか」。 「内腹斜筋・外腹斜筋・腰方形筋・腸肋筋」などがメイン。かなり広い範囲を指す。 <肩甲骨周辺の柔軟性> 簡単に言えば、「肩甲骨が自由自在に動くかどうか」。 ①肩甲骨の外転が楽にできるかどうか(外転:肩甲骨を広げる動き。手を腰につけて肘を前に出す動作) ②肩甲骨帯の伸展が楽に深くできるかどうか(肩甲骨帯の伸展:投球動作の「胸を張る」動き) 筋肉でいえば「僧帽筋中部・僧帽筋下部・前鋸筋・大菱形筋・小菱形筋・大胸筋・小胸筋」など。 体幹と肩甲骨・腕を結ぶ筋肉をメインに考える。 ③肩甲骨の上方回旋が楽にできるかどうか(上方回旋:腕を上げるときに肩甲骨下角が体側に動くこと) なお、胸鎖関節・肩鎖関節も含める。 一般的に言う「肩甲骨」よりもかなり広義でとらえる。 では、勉強が終わったところで本題に入りましょう。 「体幹ー肩甲骨」部分の柔軟性が足りないため球速ダウン・スタミナダウンしていると思われる例:不来方高校・小比類巻投手 MAX136km/h 170cm73kg 今回は、不来方高校の小比類巻投手を例にとります。 小比類巻投手は2016春の甲子園で不来方高校のエース・四番として躍動した選手です。MAX136km/h、170cm73kg。 小比類巻投手には申し訳ないですが、この例を通して 「甲子園に出場するレベルの投手であっても、筋肉の硬さによって投球動作にロスが生じてしまうのだなあ」 ということをわかっていただければと思います。 「体幹の柔軟性」と「肩甲骨帯の柔軟性」に注意しながら連続写真を見てください。 この連続写真から、以下のことがわかります。 1.「体幹の硬さ」:四枚目・五枚目の時点で早々と体がホーム方向に向いてしまう。体幹が硬いといわゆる「開きを我慢できず」、上半身が早い段階で回転してしまう 2.「肩甲骨帯の硬さ」:五枚目・六枚目で肘が上がりきっていない。肩甲骨帯が硬いので肘を上げる(伸展・上方回旋)のが難しい 後に示すプロ選手の例と比べてみるとよくわかりますが、一流選手になるほど「体幹ー肩甲骨帯が柔軟性に富んでいる」という傾向があります。 小比類巻投手のストレートはMAX136km/h・平均球速127km/h程度ですが、 私の勝手な想定によれば、「体幹ー肩甲骨帯がもっと柔軟性に富んでいれば、MAX145km/h・平均球速130後半くらいを試合終盤まで放れるようになるはずだ」と思います。 なぜこのように想定できるかといえば、小比類巻投手は以下のような形でエネルギーロスを起こしていると思われるからです。 ★「→の数」が少ないほうが原因、多いほうが結果です。   1.「体幹が硬い」(=外腹斜筋・内腹斜筋・腰方形筋など、体幹をひねるための筋肉が硬化している) →ステップ足が着地すると同時に、上体がホーム方向に向いてしまう(ガマンできない) →→体幹をひねる筋肉の「弛緩ー伸長ー短縮」のリズムが阻害される →→→筋肉に負担がかかり、さらなる硬化の原因となる →→→筋肉の力がうまく発揮されず、体幹をひねる速度が落ちる →→肘が上がりきる前に腕が振られ始める →→→肘が下がったままなので肘・肩への負担が大きくなる →→→→肩・肘のケガをしやすくなる →→→→スタミナが落ちる →→→→肘or肩のところでエネルギーが途切れるので、球速が下がる   2.「肩甲骨帯が硬い」 →「胸が張られる動作」が不十分になる →→腕が加速するための距離が不足する →→→球速が落ちる →→肩甲骨周辺筋群・胸筋群の「弛緩ー伸長ー短縮」リズムが悪くなる →→→肩回り・腕・胸筋が硬化しやすくなる →トップ~リリースまでの「腕のたたみ方」が甘くなる →→慣性モーメント(加速のし辛さ)が大きくなる →→→球速が落ちる →スムーズに肘が上がらなくなる →→肘が低いまま腕を振ることになる →→→肘・肩がケガしやすくなる 「体幹が硬い」「肩甲骨帯が硬い」ことが、いかに投球動作全般に大きな影響を与えるかがわかります。 小比類巻投手の場合も、体幹ー肩甲骨帯の柔軟性を向上させ、ロスの少ない投球フォームを獲得すれば大幅な球速アップ・スタミナアップが期待できます。 (ちなみに後々、体幹・肩甲骨帯の柔軟性を向上させる方法が載った本を紹介します) 「体幹ー肩甲骨帯」が柔軟性に富んでおりロスのない投球動作が実現できている例:中日・谷元投手 最速150km/h。167cm72kg。 小比類巻投手のケースと比べてみてください。 体格や手足の長さはほぼ同じ。下半身などの筋力も大差ないはずです。 さきほどの小比類巻投手が 1.「体幹の硬さ」:四枚目・五枚目の時点で早々と体がホーム方向に向いてしまう。体幹が硬いといわゆる「開きを我慢できず」、上半身が早い段階で回転してしまう 2.「肩甲骨帯の硬さ」:五枚目・六枚目で肘が上がりきっていない。肩甲骨帯が硬いので肘を上げる(伸展・上方回旋)のが難しい という特徴を備えていたのに対して、谷本投手の場合は 1.「体幹の柔軟性」:六枚目まで上半身の開きが我慢できている(柔軟性がないとこの「開きの我慢」は無理) 2.「肩甲骨帯の柔軟性」:五枚目・六枚目で肘がきっちり上がっている(肩甲骨が柔軟でないと、肘は上がりにくい) のです。 注意してほしいのは、 あくまでも「肘が下がる」「体の開きが早い」というのは結果であって、 本当の原因は「体幹の柔軟性に乏しいこと」「肩甲骨帯の柔軟性に乏しいこと」なのです。 野球界ではなぜかこの「原因と結果を取り違える」という間違いをする人が非常に多いのが気になります。 小比類巻投手の場合も、 「肘を引き上げる筋力トレーニングをしよう!」 「体幹が弱いからケガするんだ!体幹トレーニングしよう!」 「投げた後に肩が張るのはローテーターカフが弱いからだ!チューブで鍛えろ!」 「下半身が安定してないからケガするんだ!走り込め!」 という指導をすれば、それこそケガ一直線。 本当に動作改善をしたいのであれば、まずは「良い動作の前提条件となる体の柔軟性」を確保することです。 順番としては「柔軟性を確保する → 良い動作を求めて技術練習をする → 技術だけではまかないきれない部分をカバーするためにトレーニングをする」でしょう。 体幹・肩甲骨帯が硬い人に「プロの選手の良い動作を真似してごらん」と言っても無理ですし、 良い動作を習得しないまま「フィジカルの強さは球速に直結する。メジャーリーガーはみんな大きいだろう」と考えてトレーニングをしても、 もともとの動作上のロスが解消されていないのですから劇的な改善は望めませんし、 ロスした力がこもってしまう部分(小比類巻投手の場合は肩・肘)にかえって負担がかかりケガをする場合すらあります。 プロの投手の例をもう一つ挙げましょう。 比較例その2:楽天・美馬投手 153km/h。169cm75kg(小比類巻とほぼ同じ体格)です。 体幹ー肩甲骨という連動部分の柔軟性が十分に確保されており、ロスの少ない投球動作ができている例です。 「投球動作の型」がほとんど谷元投手と同じであることがわかります。特に、四枚目~六枚目はほぼ同じ動作です。 なお、連続写真を形だけマネしようとするのはあまりおすすめしません。 たとえば、↑の写真を見て「よっしゃ、このくらい肘上げればいいんだな!」と考えるのは短絡的です。   なぜなら、「本人の感覚」と「連続写真にあらわれる動作的特徴」が一致するとは限らないので。 美馬投手・谷本投手はそもそも「肘を上げよう」なんて考えていない可能性もあります。 上げようとして上がるのではなく、柔軟性があるから「勝手に肘が上がってしまう」のかもしれません。   あくまでも今回の例は 「体幹ー肩甲骨の柔軟性がどのように実際の投球動作や球速に影響するか」 「野球の動作を改善するには、まず身体を変えねばならないこと」 を示すためのものです。誤解なきよう。 番外編その1:股関節が硬い人は肩甲骨も硬いのか? → そんなことはない! 元日本ハム多田野投手 「股関節の硬さ」で有名な多田野投手。 180cm81kg、MAX148km/h程度。 連続写真を見てもらえればわかる通り、「開脚」的な柔らかさはありません。 多田野投手にしても六枚目の写真から分かるとおり決して体幹の柔軟性がないわけではないし、 七枚目のポジションがとれるあたり肩甲骨周りはかなり柔らかいといえます。 だから、「股関節まわりが極端に柔らかければそれでよい」と考えて「開脚をひたすらさせる」という方法はアテにならないのです。 推測ですが、「下半身が硬くて上半身が柔らかい人」のほうが、「下半身が柔らかくて上半身が硬い人」よりもいいボールを投げると思われます。 下半身の主な役割は「大きな筋出力を発揮して、ボールに伝えるエネルギーの源泉となる」ことですから、下半身に極端な柔軟性はいらない。 それに対して、上半身は「下半身で生み出されたエネルギーを伝達・変換して指先を加速する」役割を負いますから、 柔らかいほうがロスが少なくなり、さらに加速動作のために必要な「加速距離」も確保できます。 多田野投手の場合も、股関節が硬いだけで肩甲骨・体幹まわりは柔らかいのです。 誤解してほしくないのですが、「下半身にまったく柔軟性がなくていい」というわけではありません。 特に「お尻・もも裏の筋肉・もも表の筋肉」の柔軟性はあるに越したことはありませんし、 「股関節をクローズする動作」も楽にできたほうが良いに決まっています。 下半身の筋肉をほぐすメニューとしては、「まとめ」で紹介する『初動負荷理論による野球トレーニング革命』の「ストレッチ」の項を読んでいただけると詳しく書いてあります。 番外編その2:メジャーリーガーの柔軟性 細身でありながらメジャー随一との強肩とまで言われたイチロー選手の柔軟性を見てみましょう。 さらに、あまり柔らかいイメージのないマー君も、実は非常に柔らかい。 小比類巻・谷本・美馬の三投手は低身長でしたが、大柄なマー君も非常に柔軟な体幹ー肩甲骨の筋肉を持っています。 プロの投手がことごとく柔らかいのを見ると、「体幹ー肩甲骨帯」の柔軟性は良いピッチャーの必須条件では? とも思えてきます。   まとめ:肩甲骨・体幹のみならず、野球動作に必要な筋肉の柔軟性を確保するためのストレッチメニューが書いてある本の紹介 小比類巻投手と、谷本・美馬両投手は、体格面でいえばほぼ同等です。 前者と後者の差の原因はどこにあるかといえば、特に「体幹ー肩甲骨」あたりの柔軟性が確保されているかどうか、というただ一点です。 筋力の強さ・遺伝的素質・競技歴の影響ももちろんあると思いますが、 少なくとも動作面で見れば、間違いなく「体幹ー肩甲骨帯の柔軟性」が球速・スタミナ・故障しやすさに大きな影響を与えています。   では、実際どのようにすれば「体幹ー肩甲骨帯の柔軟性」を手に入れられるのか? 一般的なストレッチである「静止した状態で強く長く引き伸ばす静的ストレッチ」はあまりおすすめできません。 というのも、そういうストレッチは筋肉の血液に対するポンプ作用がはたらきにくいと考えられ、血流の促進が期待できないからです。 また、野球の動作の基本である「弛緩ー伸長ー短縮」のリズムにもマッチしません。   私の経験からしても、静的ストレッチによって無理やりに獲得した柔軟性が競技に活きるかどうか、は怪しいと感じます。 どうせやるのであれば、実際の動作と同じように、「一度に複数の筋が協調して稼動する」形態のストレッチが望ましいでしょう。   参考までに、欧州スポーツ医学会は、「静的ストレッチは最大筋力を発揮する種目におけるパフォーマンスを下げる」という公式見解を示しています。 とにかく、柔軟性を向上させるという意味においても、競技のパフォーマンスアップという点においても、 「静的ストレッチ」をやる意味はほとんどありません、というのが経験的・科学的な結論です。   ですから、野球の競技能力向上のためには「弛緩ー伸張ー短縮」をリズム良く行うダイナミックストレッチのほうが適しています。 筋肉をリズムよく「弛緩ー伸長ー短縮」させることによって筋肉に対する血流量も増大しますし、 神経系をウォーミングアップする(固有受容器に対する刺激を与えて神経筋協応能をアップさせる)ことにもなります。 もちろん、ダイナミックストレッチであればアップにもなりますし……。     私の知る限り、ダイナミックストレッチ関連のもので、一番野球につながりやすいのは「初動負荷マシンを用いたトレーニング」と「初動負荷形態のストレッチ」です。初動負荷トレーニングは、先ほどみたイチロー選手や、山本昌・岩瀬仁紀投手といった「選手寿命が長くて、しかも活躍している人」が行っているトレーニングでもあります。 初動負荷トレーニングはマシンがないとできないので、ここでは初動負荷マシンに近い効果を得られるストレッチが載っている本だけ軽く紹介します。これです。 初動負荷理論による野球トレーニング革命 posted with ヨメレバ 小山 裕史 ベースボールマガジン社 1999-12 Amazon Kindle この本に載っているストレッチは非常に実践的で、効果の高い種目がそろっています。 あんなことや こんなことや こんなものまで この初動負荷形態のストレッチを継続すれば、「筋肉がすぐに柔軟になる」「怪我しにくくなる」「球速が上がる」「ボールの切れがよくなる」「疲労が早く抜けるようになる」「走るのが速くなる」「運動のセンスが良くなる」といった効果があります。実際、某○○○大野球部の投手数名にやってもらって↑こういうフィードバックを得ていますし、彼らは「これはやればやるほど良くなる。悪くなることは絶対にない」と言い切ります。   しかし、著作権やら何やらの関係で詳しく紹介することはできません(&ストレッチの方法を誤解される可能性がある)ので、 もしも「体幹ー肩甲骨の柔軟性を向上させて球速を上げたい」「柔軟性に富んだ体を手に入れて、ロスのない動作を実現したい」と思われる方がいれば、↓『初動負荷理論による野球トレーニング革命』を読んでみてください。 初動負荷理論による野球トレーニング革命 posted with ヨメレバ 小山 裕史 ベースボールマガジン社 1999-12 Amazon Kindle   最後に、「体幹・肩甲骨帯が硬いとこういう影響が出るよ!」という一覧を掲載して〆とします。 指導に使うなり、自分の練習の参考にするなりしてください。   1.「体幹が硬い」(=外腹斜筋・内腹斜筋・腰方形筋など、体幹をひねるための筋肉が硬化している) →ステップ足が着地すると同時に、上体がホーム方向に向いてしまう(ガマンできない) →→体幹をひねる筋肉の「弛緩ー伸長ー短縮」のリズムが阻害される →→→筋肉に負担がかかり、さらなる硬化の原因となる →→→筋肉の力がうまく発揮されず、体幹をひねる速度が落ちる →→肘が上がりきる前に腕が振られ始める →→→肘が下がったままなので肘・肩への負担が大きくなる →→→→肩・肘のケガをしやすくなる →→→→スタミナが落ちる →→→→肘or肩のところでエネルギーが途切れるので、球速が下がる   2.「肩甲骨帯が硬い」 →「胸が張られる動作」が不十分になる →→腕が加速するための距離が不足する →→→球速が落ちる →→肩甲骨周辺筋群・胸筋群の「弛緩ー伸長ー短縮」リズムが悪くなる →→→肩回り・腕・胸筋が硬化しやすくなる →トップ~リリースまでの「腕のたたみ方」が甘くなる →→慣性モーメント(加速のし辛さ)が大きくなる →→→球速が落ちる →スムーズに肘が上がらなくなる →→肘が低いまま腕を振ることになる →→→肘・肩がケガしやすくなる   3.「体幹ー肩甲骨帯が硬い」 →上半身の柔軟性の有無が下半身の動きにも影響を与える →→下半身が硬化する →→→ケガしやすくなる →→バランス能力が落ちる →→→制球の悪化 →→下半身をダイナミックに力強く動かしにくくなる →→→球速が落ちる →→下半身が思った通りに動かない →→→制球の悪化 (※ちなみに、起こりやすさとしては「上半身の柔らかさが下半身の動きを邪魔する」>>>「下半身の硬さが上半身を硬くする」です。)   この記事で書いたことは、あまり科学的ではありませんが、論理的ではあると思います。 参考にしてみてください。   以上、栗山ただよし(栗栖鳥太郎)がお送りしました。 では。

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