バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その2

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目次

バッティングにもピッチングにも。「三関節直列」と「トリプルエクステンション」について自分が考えたこと その2

地面反力をうまく活用できるかどうかで、打球の飛距離や球速がまるで変わってくる

三関節直列のポイントは2つ。1.下半身がパワーポジションに入っていること 2.下半身の骨が、地面反力を効率よく受け取れる配列になっていること


前回の記事で、三関節直列の条件を紹介しました。おさらいします。

 

「三関節直列」の条件

1.股関節・膝関節・足関節が「パワーポジション」に入っていること。要するに、「軽くジャンプして着地を繰り返したくらいの関節角度」になっていること。特に、股関節が骨盤となす角度(大腿骨と骨盤とのなす角度)と、膝関節の角度が重要。股関節が外旋しすぎず内旋しすぎずの適度なポジションに収まっていること。膝関節は曲がりすぎずまっすぐ過ぎずの角度になっていること。その人にとって「地面反力をもらいやすい形」「各関節が力を発揮しやすい形」という二つを兼ね備えた形。

2.膝の向き、つま先の向きが揃っていること(膝関節は蝶番関節で、足関節はらせん関節なので、膝の向きとつま先の向きとが不一致な場合がままある)

3.一見して一直線上にない場合でも、違うアングルからみると一直線上に並んでいることがよくある。

 

この3つのなかで特に重要なポイントを抜粋すると、↓の2点となります。

 

1.股関節・膝関節・足関節がそれぞれ筋力を発揮しやすい形になっていること。言い換えると、下半身がパワーポジションに入っていること。簡単に言うと、軽くジャンプして着地、を繰り返した時の形。下の図の①の一番左の形。

2.股関節・膝関節・足関節が「地面からの反力=地面を押した時に返ってくる力」を、骨(大腿骨・脛骨)を使って最も効率良く受け止める形になっていること。図の②の真ん中3つの形が典型的。下3つの形は骨の向きの組み合わせが不適切で、地面反力が十分に伝わらない。

→この1.と2.の共通項をとると、必然的に「三関節直列」という答えが導き出されるわけです。

(この写真に補足ですが、下段中央のアーロンジャッジ選手は軸足のつま先を少し内側(一塁側)に閉じています。また、左下のスタントン選手は軸足のつまさきを捕手側に開いています。よって、三関節直列の方向もそれに合わせてずれることになります)

 

さて、今回は、三関節直列にプラスして「トリプルエクステンション」という概念を紹介します。

「三関節直列」と「トリプルエクステンション」の2つがそろうと鬼に金棒ですよ。

 

「トリプルエクステンション」って何?

トリプルエクステンションとは、

「股関節・膝関節・足関節(下半身にある三つの関節)が、協調して&爆発的に、地面を押す力を発揮すること」

です。「3つの関節」が協調して「伸展力」を発揮するので、「トリプルエクステンション」と呼ばれています。

 

スナッチ↓やパワークリーン、陸上の走動作などが典型例です。身体を爆発的に加速させるために必須なのです。

https://twitter.com/m42jp/status/893798842306502656

トリプルエクステンションは、

「できる限り高くジャンプしようとしたときの下半身の力の出し方」

「ハイクリーン・スナッチ・陸上のスタート・メディシンを真上に投げ上げるときの下半身の力の出し方」

でもあります。股関節・膝関節・足関節が協調して地面に(ある)力を加える・・・ということです。

 

ここで、「トリプルエクステンションで身体が爆発的に加速する原理」について簡単に説明します。完全に理解できなくてもいいので、ぜひ文字面だけでも追ってください。

 

トリプルエクステンションの際には、股関節・膝関節・足関節が、互いに協調しつつ、爆発的に伸展力を発揮します。その力は地面へと伝わります。

すると作用反作用の法則(=力を加えると、それと等しい反対向きの力が返ってくるという法則)に従って、地面から反力(力を加えた方向と方向と180°正反対の向き)がハネ返ってきます。

ここで、そもそも「力」とは「質量のある物体の運動の様子を変えるもの」ですから、トリプルエクステンションに対する地面からの反「力」によって質量のある物体(人間の身体)が運動を始める…と、こういうわけです。

もちろん、地面反力の方向(地面反力と身体重心との関係)をコントロールすることによって、身体を正面に向かって加速させたり(陸上短距離のスタート)、身体を横向きに保ったまま並進運動を行う(ピッチング・バッティング)…という応用も可能です。

 

★なお、当たり前ですが「見かけ上の動き」と「実際の力発揮の方向」とは異なるケースがあります。

たとえば、バッティングで、ステップ直後の踏み込み足股関節は「見かけ上」は「外旋」していきますが、「実際に力を発揮している方向」は「内旋」です。なぜなら、ステップ後に踏み込み足股関節が「外旋トルクを発揮」してしまえば、回転してきた骨盤を適切にストップさせることができない(そのまま行くと、右打者の場合骨盤は三塁側ベンチに向いてしまう)からです。バランスをとるために、踏み込み足股関節は内旋トルクを発揮します。

整理すると、バッティングにおける踏み込み足の股関節は「見かけ上は外旋位に移行しつつ、実際には内旋トルクを発揮している」といえます。似たようなことが足関節や膝関節などにも言えます。「屈曲位から伸展位に移行すること」と「伸展トルクを発揮すること」はかならずしもイコールではありません。屈曲トルクを発揮しつつ伸展位に移行することもあるのです(エキセントリック収縮など)。

★ですから私は、トリプルエクステンションの本質は「三関節が全く同時に伸展力を発揮する」のではなく、「三関節が協調して、下腿三関節全体として強力・爆発的な伸展力(地面を押す力)を発揮する。それによって得られる地面からの反力をうまく運動に活かす」ことだと考えています。

 

「地面反力を使って運動する」という点では、バッティングもピッチングもスプリントも一緒です。

当たり前ですが、「クリーンやスナッチやボックスジャンプでトリプルエクステンションの感覚を掴んだら、それを実際の野球の動きに転用する」という手順も踏む必要があります。

 

この点から言うと、野球界ではなぜか「ビッグスリーはしっかりやるのに、ボックスジャンプやスナッチやクリーンやメディシン投げはあまりやらない人」がたくさんいます。非常に勿体ないです。せっかくビッグスリー(特にデッドリフトとスクワット)で股関節・膝関節伸展の最大筋力(と筋量)を強化したのですから、それを協調して使うトリプルエクステンション系の種目(分類としては「パワー系」です)にも習熟しましょう。

なお、トリプルエクステンション動作そのものに習熟するメリットとしては

「トリプルエクステンションが上手く行われると、効率よく協力に、地面を押すことができる」

「力のロスや余計な出力がないので、体への負担が比較的少ない(たとえば、トリプルエクステンションに習熟していない人が地面を力いっぱい蹴ろうとすると足が後方に流れてハムストリングスの肉離れリスクが上昇する)」

ことが挙げられます。

 

要するに、トリプルエクステンションができると

①身体を一気に加速させることができる→足が速くなったり、より高く跳べるようになったり、身体をより鋭く回転させることができるようになる! もちろん野球にも活きる。

②身体に余計な負担がかからない。ケガのリスクを軽減できる

といったメリットを享受できます。これはデカいですね。

 

トリプルエクステンションに習熟すると地面反力を効率よく使えるようになります。これはスプリンターに限らず陸上選手のフォームが美しい理由でもあります。陸上経験者とそうでない人との違いは、見る人が見たらわかりますよね?

ちなみに、トリプルエクステンションのうまさというのは、基本的に「訓練次第で身に付くし、訓練次第でどんどん磨かれる」ものです。小さいころからの遊びのなかで感覚を掴んでいる人もいますが、大人になってからでもきちんと訓練すればかならず習得できます。倒立や逆上がりと一緒です。

運動会のお父さんと

スプリンターの違い。素人とアスリートを比べて言うのも酷ですが、走り方がぜんぜん違いますね。

 

三関節直列とトリプルエクステンションは基本的にセットで考えるべき

今回の記事でなぜ「トリプルエクステンション」を紹介したかというと、

「三関節直列とトリプルエクステンションは基本的にセットで考えるべきだから」

です。

 

まず、三関節直列の条件を軽くおさらいします。

1.股関節・膝関節・足関節が、それぞれ筋力を発揮しやすいような関節角度を保っている状態(=下半身のパワーポジションができている)

2.股関節・膝関節・足関節が、地面からの反力をもらいやすいような形で揃っている状態(=下半身の骨がきちんと並んでいる)

この1.と2.が揃っていれば自動的に三関節直列になります。というより、三関節直列とはこの1.と2.を満たしている状態のことを指します。

 

それに対して、トリプルエクステンションとは

「股関節・膝関節・足関節(下半身にある三つの関節)が協調して、爆発的に地面を押す力を発揮すること」

です。

↑スタントン選手。少ない動きで打っているのは、上半身の力が強いからではなく、下半身のトリプルエクステンションを効率的にバッティングに活かしているから

 

三関節直列と、トリプルエクステンション。両者の関係性を一言で表すなら、

「三関節直列の状態を作っておくことは、トリプルエクステンションをするための必要最低限の準備である」

と言えそうです。

実際、三関節直列ができていない状態からいきなりトリプルエクステンションしてみろと言っても無理な話です。あぐらをかいている状態からトリプルエクステンションなんて不可能でしょう。

 

なお、「必要最低限の」というワンフレーズをわざわざ付け足したのは、

「トリプルエクステンションをうまく行うためには、三関節直列以外にも用意しておくべきことがあるから」です。

具体的に言うと、

・身体重心の位置と、トリプルエクステンションによって生じる地面反力の方向との関係を最適化する

・軸足に加重(ただ体重を乗せるだけでなく地面をグッと押す)しておくことによって、伸張反射(タメ)を作り、トリプルエクステンションの出力を最大化させる

といったことです。

①は「なんかぎこちない動きの選手の動きがぎこちない理由」の一つですし、②は日本人選手と外国人選手とのフォームの違いの原因にもなっています。このあたりは、詳しく書くと長くなるのでまた後日…。

 

今回のまとめ

・三関節直列の条件

1.股関節・膝関節・足関節が、それぞれ筋力を発揮しやすいような関節角度を保っている状態(=下半身のパワーポジションができている)

2.股関節・膝関節・足関節が、地面からの反力をもらいやすいような形で揃っている状態(=下半身の骨がきちんと並んでいる)

この1.と2.を満たせば三関節直列。というか、三関節直列とはこの2つの条件を満たした状態のことを指す

 

・トリプルエクステンションとは

「股関節・膝関節・足関節(下半身にある三つの関節)が、協調して&爆発的に、地面を押す力を発揮する(下腿三関節全体として伸展力を発揮する)こと」。うまく使えば、身体を爆発的に動かす原動力となる。

バッティングにも、ピッチングにも、スプリントにも応用できます。トリプルエクステンションができるのとできないのとでは雲泥の差です。

 

・三関節直列は、トリプルエクステンションのための最低限の下準備である

・ビッグスリーは熱心にやるのに、トリプルエクステンション系のパワー種目をやらない人が多すぎる

・トリプルエクステンションは「パワークリーン・スナッチ・ボックスジャンプ・垂直飛び・三段跳び・バウンディング」などで訓練できる

・訓練次第で誰でもできるようになるし、訓練すればどんどんうまくなる。

・「身体重心の位置と、トリプルエクステンションによって生じる地面反力の方向との関係を最適化する」ということも考える必要がある

・「軸足に加重(ただ体重を乗せるだけでなく地面をグッと押す)しておくことによって、伸張反射(タメ)を作り、トリプルエクステンションの出力を最大化させる」ことができる

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