「やさしい人」が損をするのはなぜか――トマト効果とは――

      2016/08/31

やさしいおとな

小学校の通知表にしるされた、先生による私の評は、六年間を通じて、おおむね以下のようなものでした。

「○○君はやさしく、思いやりのある子です。授業にも真面目に取り組んでくれています。ただ、もう少し自分の意見を言えるとなおいいですね」

どこかに見覚えありませんか。自分の成績表を思い返してみてください。

大人というものは、独自のレトリックを使って、「おまえは無能な人間だ」と小学生に上手に刷り込みます。

上の評価書の真意はこうでしょう。

 

「○○君は気が弱く、他人に嫌なことをされても言い返すことができません。

論駁するだけの頭の回転の速さもありませんし、だいいちいつもキョドキョドしています。

とても見るに堪えません。いちどくらいやってみればいいのに、授業中先生に反抗する勇気もありませんし、授業を抜け出すような度胸もありません。ほかの生徒がそういうことをしても指をくわえてみているだけです。

自分にそれをやってみる勇気がないというのが本当なのに、一度でいいからやってみたいというのが本音なのに、僕はルールを守る方が好きなのだし人間はみなそうあるべきなのだ、と自己を正当化する嘘をついている。ですからある意味、教師の側からすれば扱いやすい生徒と言えます。

ただこのままいけば、中学・高校・大学と上がっていくにつれて、○○君の学内ヒエラルキーは転落の一途を辿るでしょう。自分の言いたい事すらはっきりと言えない人間は、一見して、おとなしく利他的に見えますが、単に自分が傷つくのが怖くてそうしているだけなので、実はいちばん自己中心的な人間なのです。

まわりの人間はその程度の薄っぺらい嘘を鋭い嗅覚をもって見抜きますから、当然、良いようにあしらわれることになります。自分の言いたいことを言う勇気のない人間は、やりたいことをやり言いたいことを言う人間たちによって脇道に押しやられ、一生なにも成し遂げることもなく損を被り続ける運命にあるのです。」

このくらいズバっと言ってほしかったですね。母親は真っ青になるでしょうが。

 

正直者はバカをみるというあれ

優しい人が損をする、という心理学の法則があるそうなんです。

その名も「トマト効果」。

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温室で育てられるようなトマトというのは、一夜温度調整をサボっただけで壊滅的な被害を受けます。

これが転じて、「普段の言動が優しい人に限って、一度悪いことをするだけで、ものすごく悪いイメージが付く」ことをトマト効果と呼ぶんですね。

 

ホラー漫画なんかではこれを上手に活かしています。
akuno貴志祐介原作の『悪の教典』の一コマ。一見して魅力的でにこやかの主人公の本性を描いた

ですから創作にとても有用です。ただ、そのまま使えば、多少の陳腐さは否めない。

かなりの工夫が必要です。貴志祐介の『黒い家』なんかでも同じテクニックが使われています。

「大人しいと思ったやつが実は黒幕だった」という事実は、大きなインパクトを持つのです。

・・・『名探偵コナン』の黒幕も、たぶんそういうタイプの奴なんでしょう。

 

きたねえぞ不良!

ちなみに、これと対極にあるのが、「雨の日に、不良が、段ボールに入れられて捨てられたネコを助ける」というアレですよ。

C(F.N)catandrain1←アレ

普段悪いことばっかりしている不良少年が、たった一つだけいいことをすると、ギャップ効果により、「本当はいいヤツなんだ」と思われる。

「トマト効果」も「不良とネコ効果」もともに、心理学でいう「ギャップ効果」を活かしたものです。

人は、普段とは違った一面をチラリと見せられることで、コロッと騙されるもの なんです。

 

肝に銘じておきましょう。

つまり、普段大人しい人間は、そのまま大人しくしてろ、と。

そういうことです。

 

 

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